★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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五人五通りの能力

 ハロウィーの呼びかけを無視して、ノエルはその場を立ち去ろうとする。

 が、スピードアップしたニゴーがすでに回り込んでいた。

 

「ふわっ!?」

『ますたーにごようか?』

 

 と、メッセージウィンドウで言ってもノエルには通じないのだが、つぶらな瞳に見上げられたノエルは頬を赤らめ、くちびるをはわはわさせている。

 

 ――ニゴー、いい仕事だ。

 

「どうしたノエル? 何か用か?」

 

 俺らが歩み寄ると、ノエルは腕を組み顔を背けた。

「よ、用など無い……貴君こそ、私にかまっている暇があったら、クラウスと連携の訓練でもすればいいだろう?」

「なんの話だ?」

 

 わけがわからず俺がまばたきをすると、ノエルは横目でちらりとこちらの様子をうかがってきた。

 

「貴君らは、チームを組んでいるのだろう? なら……なら……」

 

 しりすぼみに声が小さくなるノエルに、俺は手を横に振って否定した。

「いや、俺らチーム組んでいないぞ」

「……何?」

 

 ノエルの顔がぐるりとこちらを向いた。

 

「だが、学園新聞では貴君らが一緒にダンジョンの地下五階層を攻略したと……」

「あれはクラウスに誘われて一回仮チームを組んだだけだぞ。なぁ?」

「うん、そうだよ」

 

 こくんと頷いてくれたハロウィーと一緒に正式にチームを組んでくれれば助かる。

 

 だけど、クラウス本人の口からその意思は聞いていない。

クラウスは人気者だし引く手あまただろう。

 

 チームメイトは選び放題だ。

俺らを選んでくれなんて言うのはまだはばかられる。

 

「元貴族の俺にみんな冷たいし話してくれるのはゴーレムたちとハロウィーだけだ。当分チームメイトはできないと思うぞ?」

「ッ」

 

 一瞬、ノエルは表情をゆるめてからすぐに落ち込み、なんだか情緒が複雑な表情をしている。

 

「どうしたんだノエル?」

「………………ハッ」

 

 その時、ハロウィーが丸く目を剥き、何かの電波を受信したように固まった。

 

「あ、あのぉラビ、ノエル様にそういうことは聞かないほうがいいんじゃないかなと思うんだけど」

 

「なんでだよ? 聞かないとわからないだろ?」

「それはそうだけど、えと、その……」

「なぁノエル、何かあったのか? もしかして実家絡みか?」

「そ、そうではない! そうではなくだな、その、私は、だから……」

「とりあえずニゴーを抱いて落ち着け」

「わわっ……ッ~~」

 

 そわそわもじもじしているノエルにニゴーを手渡すと、急におとなしくなった。

 

「…………」

 

 それから、ノエルはニゴーと俺の間で何度も視線をいったりきたりさせてから、ニゴーを持ち上げ顔を隠した。

 

「私、邪魔じゃないか?」

「邪魔なんてことないよ。幼馴染だろ?」

 

 幼馴染、というワードにノエルは一瞬安堵してからちょっと落ち込んだ。

 ハロウィーは眉根を寄せて複雑な顔をした。

 

 女子にしかわからない何かがあるような気がして俺が頭を悩ませていると、生徒たちのざわめきが耳朶に触れた。

 

 振り向くと、赤ちゃんくらいの身長しかないちっちゃくて丸くて可愛いゴゴーが、短い脚でちょこちょことカフェに駆け込んできた。

 

 途中、勢い余ってころりと転んで転がり壁やテーブルの足にぶつかりピンボールのように跳ねた。

 

 それでも、体勢を立て直しつつ俺らの前でブレーキ。

 

『ただいまなのです』

「お、戻ったな」

『またあたらしいまほうせきをてにいれたのです。これできょうごこめなのです。えへん』

「おう。探知能力に特化させただけあって、今日は調子いいみたいだ」

 

 ゴゴーは俺の足元まで来ると、両手をバンザイ。

 その手には、さまざまな色の魔法石がくっついている。

 イチゴーたちの手に指は無いけれど、物が吸い付く機能がある。

 

『みるのですますたー、これがゴゴーのじつりょくなのです』

 

 と、メッセージウィンドウに表示させながら、ゴゴーは両手の魔法石を自慢げに掲げた。

 

「おー、今日もたくさん取ったなゴゴー。偉いぞー」

 

 綺麗な魔法石を見せびらかすゴゴーは、変わった形の石集めが趣味の幼児みたいで可愛かった。

 

「小さな子供って石集め好きだよな。いいこいいこ」

 

 なでなで。

 かく言う俺も、幼い頃にツルツルの石を拾って喜んだことがある。

 

『あたまがしあわせなのです』

「魔法石だと? そんな貴重な物をどこで手に入れたんだ?」

 

 ノエルはニゴーを抱いたままぎょっとして、やや前のめりになった。

 

「校舎裏の森だぞ。と言っても俺自身は見つけたこと一回も無いけどな」

 

 身長と目線が低くてAIのゴゴーたちだからこそだろう。

 人間と違い、AIのゴーレムたちは視界映像から何かを見逃す、ということはなく、どんなに小さな物でも、たとえ草の陰に隠れていても、わずかにでも視界に入れば敏感に認識できる。

 

「そういえばノエルにはまだちゃんと紹介したことなかったな」

 

 俺は一人ずつ指を差しながら、イチゴーたちの紹介をしていく。

 

「魔法耐性の高いイチゴー、スピード抜群のニゴー、頑丈なサンゴー、力持ちのヨンゴー、そして探し物が得意なゴゴーだ」

 

 俺に指を差された子から順に、謎のポージングをキメていく。

 ゴゴーはまた、ビー玉みたいに綺麗な魔法石を掲げている。

 

「今回は炎石と冷石、風石、光石に水石だな」

 

 魔法石の数々に、ハロウィーが口を開いた。

 

「これでまた魔法アイテムが作れるんだね?」

「ああ」

「なんの話だ?」

 

 俺はハロウィーに頷いてから、ちょっと考える。

 

 ――ノエルになら言ってもいいだろう。

 

 俺は彼女に一歩近づくと、声を潜めた。

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