★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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好き……なんだ……

 背中に地面の硬さを感じて、意識が戻ってきたことを自覚した。

 

 目を覚ますと、視界いっぱいに青空が広がっていた。

 雲一つ無い空に距離感も失い、空に吸い込まれ落ちていくような錯覚を覚える。

 

 上体を起こすと、周囲には数えきれないほどの生徒たちが倒れていた。

 俺らを中心に放射状に倒れる様から、まるで爆心地の衝撃で飛ばされたようにも見える。

 

「そうだ、ハロウィー!」

 

 彼女は無事だった。

 

 五人の男子たちから離れ、俺のすぐ近くに、ノエルと肩を並べて寝息を立てている。

 

 ノエルたちの頭の近くでは、ゴーレムたち五人が勝利のダンスをくるくると踊っている。かわいい。

 

 もちろん、イチゴーも一緒だ。

 

 ――元に戻った? なんだったんだ、あれは?

 

 メッセージウィンドウでチカチカと光っていた女神のエンブレムも、今はなんともない。

 

「ん、ラビ? わたしたち……」

「これは……何がどうしたんだ?」

 

 目を覚ましたハロウィーとノエル。

 

 二人になんと説明すればいいかわからず、俺は一瞬の間に散々苦慮した末に、まだくるくると踊り続けるイチゴーたちに親指を向けた。

 

「イチゴーたちが倒してくれたぞ!」

「あ、やっぱり?」

「貴君のゴーレムは底無しに凄いな!」

「だよな、本当、頼りになる連中だよ」

 

 いい感じに誤魔化せたので、俺は全力で肯定した。

 

「そうだラビ、お腹刺されていたよね!?」

「大丈夫そうだが、ポーションを飲んだのか?」

「いや、こいつのおかげだ」

 

 そう言って俺が見せたのは、ナイフが突き刺さった魔獣の前足だった。

 前にイチゴーたちが手に入れた素材の一つだ。

 ナイフの鋭利な切っ先が、皮膚を突き破り、肉に深く食い込んでいる。

 

「とっさにこいつをストレージから出して防いだんだよ」

「よかったぁ」

「あぁ、ラビが無事で良かった」

 

 二人が見せてくれた安堵の表情から俺への親しみが伝わってきて、胸が幸せでいっぱいになった。

 

 

 

 それからは当然と言えば当然だけど、先生たちが駆けつけて事件は収拾された。

 

 今回もゴーレムたちのやまびこスキル――録音機能――が大活躍で、ダストンと男子たちには厳しい罰が下るらしい。

 

 他の生徒たちは、俺の持つアイテム生成能力とイチゴーたちの性能に驚き、いつまでもざわめいていた。

 

 地盤ができていないのに悪目立ちしても、他人から利用されるだけだ。

凄いのは俺ではなく、ノエルの剣術だと思ってくれればいいんだけど。

 

 ――それにしてもみんな、平民落ちの俺だけじゃなくてノエルにも酷いこと言っていたな。

 

 面識も無いのに、貴族というだけであの批判ぶり。

 

 ――貴族って、本当に嫌われているんだな……。

 

 なんて思っていると、ノエルが体を寄せてきた。

 

「なぁ、覚えているかラビ?」

「な、なにをだ?」

 

 近い。

 

 ノエルは美人なので、急に顔を寄せられるとドキリとしてしまう。

 

 俺が冷静を装っていると、彼女は可愛く頬を染めながら、ためらいがちにくちびるを開いた。

 

「戦争の無い今、ダンジョンを攻略して領地に富と繁栄をもたらすのが貴族のたしなみだ。だが女は大人になれば他家に嫁いで剣を置く。昔、それを悲しむ私にキミは言ったな? 『なら、旦那さんより強くなればいいんだよ。僕も陰から応援しているよ』と」

 

「あ~、言ったなそんなこと」

「陰から表に出てしまったな」

「う……いやでもほら、凄いのはイチゴーたちであって俺じゃないし」

「だからそのゴーレムを作ったのは貴君だろう?」

 

 ノエルが視線を周囲に向けると、意識を取り戻した生徒たちが口々に囁き合っていた。

 

「ラビってあんな凄いゴーレム使いだったのか……」

「最後の光って全体デバフ魔法? あんなの先生でも無理でしょ?」

「平民落ちって言っても、やっぱ名門シュタイン家だよな……」

「いや、僕ラビのお兄さんの戦い見たことあるけど、ラビのほうが断然凄いよ」

「ラビ君って、もしかしなくてもとんでもない天才なんじゃ……」

 

 ――なんで? いや、この世界ではスキルは才能の一部だから、こうなるのか。

俺が頭を悩ませる一方で、ノエルは何故か、ちょっと嬉しそうだった。

 

「それとラビ、以前はもめ事を避けていたのに、何か心境の変化か?」

「それは……」

 

 前世の記憶を思い出した影響なのだが、そんなことを言っても信じてもらえないだろう。

 俺は誤魔化すように頬をかきながら話題を逸らした。

 

「ノエルを守るためだよ。でも、お前もどうしてこんなに頑張ってくれたんだ?」

 

 今度はノエルが黙る番だった。

 けれど彼女は必死になって、さっき以上に絞り出すような声で告白してくれた。

 

「好き……なんだ……」

「え?」

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