★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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落とし穴

「ヨンゴー!」

『かそくそうちっす!』

 

 以前、コマンダーメイルを倒した後にヨンゴーたちに配合した魔石が起動。

 身体能力が一時的に上昇したヨンゴーは急加速。

 予想外の動きに前脚は空振り、五指は地面に深く突き刺さった。

 

『しょうりゅうけんっす!』

 

 腹の下に潜り込むや否や、ヨンゴーは指の無い右手を突き上げジャンプ。

ドレイザンコウの被毛に抉り込ませた。

「■■!」

 

 再び、煩わしそうにボディプレス。

 だけど、今度は潰されることなく退避に成功。

 

 超加速したヨンゴーが腹の下から飛び出すのが見えた。

 その姿に、俺はほっと胸をなで下ろす。

 

「待てよ……なぁノエル、お前のカリバーって、お前の魔力を一度に全部使えるんだよな?」

 

「うむ、その通りだ」

「それって、装備品の魔力はどういう扱いになるんだ?」

 

 わずかに視線を伏せて、一瞬悩んでからノエルは首を横に振った。

 

「わからないな。外部の魔力を使えるのかどうか、試したことはないが、それがどうかしたのか?」

 

「前回のダンジョン攻略の後、イチゴーたちに魔力を溜めている魔石を配合したのは知っているよな?」

 

「うむ」

「じゃあ、イチゴーたちを背負って、ノエルの装備品として使った場合、魔石の魔力を一度に全部使えるんじゃないのか?」

「ッ!?」

 

 ノエルは言葉を失い、不敵に笑った。

 

「なるほど、試す価値はあるな。そうなると後はどうやって奴の下を取るかだな。流石に警戒して、もう堤防の上には登ってくれないだろう」

 

「問題はそこなんだよな。仮にカリバー級の火力を用意できても、当てる方法が無い。しかも、考えている暇もない!」

 

「■■■■■■■■!」

 

 ドレイザンコウが再び丸くなった。

 また蹂躙突進をする気だろう。

 

 だけど今度は、俺らのうしろ五〇メートルの地点に、クリストファーたちがいる。

 巻き込むわけにはいかないと、俺は真横に走った。

 

 ノエルたちもついてきてくれる。

 それを見逃さず、ドレイザンコウはこちらに向かって回転を始めた。

 

「そうだ、そのままこっちに来い!」

 

 ドレイザンコウが加速するのと同時に、俺は3Dプリンタースキルで今度は壁ではなく、立方体を作った。

 

 幅五メートル、高さ五メートル、そして厚み五メートルの土壁だ。

 これなら、いくらなんでも貫通はできないだろうと踏んだ。

 

 けれど俺の期待を裏切るように、ドレイザンコウの蹂躙走行はまさかの軌道を描いた。

 

 ドウンッ!

 

 聞いたこともないような重低音と同時に、ドレイザンコウの巨躯がバスケットボールのように跳ね弾んだ。

 

「嘘だろ!?」

 

 あまりの理不尽に驚愕の絶叫を上げてしまう俺の視線の先で、青い空をバックにドレイザンコウが落ちてきた。

 

 頭上から迫る巨大な天然削岩機の重圧に息が止まる。

 

 脊髄反射でバックステップを踏むも、間に合わなかった。

 

 ドレイザンコウが地面に激突すると、大地が崩落。

 

 耳をつんざくような破砕音と無重力感に襲われ、俺はなすすべもなく、みんなの悲鳴と一緒に地中に呑み込まれた。

 

 気絶は免れた俺は、体の周囲の土砂をストレージに入れて自由を得ると跳ね起きた。

 

「地割れを起こすなんて、こいつ魔王か!?」

「いや、どうやらそういうわけではないらしい。見ろ」

 

 ノエルに言われて振り返ると、背後には洞窟が広がっていた。

 

「どうやら、ここは地下空洞らしい。それが奴の攻撃で落盤したにすぎない」

「なんだ、天然の落とし穴か」

 

 俺が束の間の安堵をすると、ハロウィーが首をひねった。

 

「でもなんでこんな場所が?」

「きっと元はここも川の一部で、水が流れ込んでいたんだと思う。それが地殻変動か何かで川の本流から切り離されたんだろうな」

 

 俺の説明に、ハロウィーが提案した。

 

「ねぇラビ、わたしたちだけここから脱出して穴を塞いで、あの子を閉じ込められないかな?」

「いい発想の転換だけど、あれだけの巨体と爪だ。すぐに突き破って出てくるだろうな」

「そっか……」

 

 ハロウィーは肩を落とした。

 天井の高さはぱっと見五メートル。

 ドレイザンコウには、大した高さではないだろう。

 

「まったく、落とし穴ならもっと深くあれよ」

 

 つい、大自然に理不尽な注文をしてしまう。

 

 けれど、そこで俺は天啓を得た。

 

「落とし穴……」

「どうしたんだいラビ? まさかあいつを落とし穴に落とす気かい? 仰向けで落ちてくれればお腹を攻撃し放題だけど、そこまで上手くはいかないんじゃないかな?」

 

「いや、逆だよクラウス」

「え?」

「あいつを落とすんじゃない。あいつが登ってくれないなら、こっちが落ちればいいんだ!」

 

 瓦礫の中からドレイザンコウが這い出し、邪魔な岩石を長いシッポで払いのける中、俺はみんなにまくしたて、作戦を説明した。

 

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