★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

8 / 185
AIチャット無双

 試しに何か質問してみようかと思うも、そこで学園の鐘が鳴り、俺は慌てて着替えた。 

 

   ◆

 

 一限目の授業は魔法戦闘学だった。

 

 担当教師はカイゼル髭をいやらしくなでながら、居丈高にご高説を垂れ流していた。

 

「魔法戦闘に重要なのは重厚な知識です。ただ真正面から力押しをすればよいというものではありません。もっとも、このような高尚な話をしても育ちの悪い人や、環境を活かせない三流の生徒には無駄かもしれませんが」

 

 厭味ったらしい口調で生徒たちをねめつけてから、先生は俺を指さした。

 

「ミスター・ラビ。魔獣と動物の違いは?」

 ――そんなの常識だろ? 何を考えているんだ?

 

「一定以上の魔力を持ち魔法を使うのが魔獣。魔力を持っていないか持っていても魔法を使えないのが動物です。馬とか牛とか」

 

 例えば、ホーンラビットの場合、最低限だけどスピードアップの肉体強化魔法を使っているらしい。

 

「ではそれを最初に提唱した人物の名前は?」

 

 先生の口元がニヤリと歪んだ。

 

 ――いや、そんなの教科書に載っていないだろ?

 

 それに、誰が提唱したかなんて戦闘には関係ない。言っていることがめちゃくちゃだ。

 

 俺が答えられないでいると、先生は上機嫌に鼻を鳴らした。

 

 どうやらわざと生徒が答えられない質問をして、相手の無知を笑うのが趣味らしい。

 

 生前も、わざと難解な言葉を使って相手が知らないと無学と笑う奴がいた。

世界が変わっても、人間の質というのは変わらないらしい。

 

 そこでふと、俺は頭の中で神託スキルを使ってみた。

 

 俺にしか見えないウィンドウが開いて、チャット画面が表示される。

 

 本当にまんまAIチャットだ。

 

 ――イチゴー、魔獣と動物の違いを最初に提唱したのは誰だ?

 

 なんて、イチゴーが知るわけもない。だけど、駄目元で聞いてみた。すると……。

『シートルはかせだよー』

 ――へ?

 

 即答だった。半信半疑でメッセージウィンドウを読み上げてみる。

 

「シートル博士です」

「ぬっ、正解です……では魔法と魔術と呪文の違いは?」

 

「魔法は魔力を使った技術全ての総称。魔術は攻撃魔術、火炎魔術、支援魔術、回復魔術、のように魔法を種類ごとに分ける時に使う呼び方。呪文はさらに細かい技一つ一つのことです。火炎魔術の中のファイヤーボールみたいに」

 

「で、は、その分類を明確にしたのは誰で何年の話ですか?」

 

 ――イチゴー、今の話分かるか?

 

『アレイ・ローリーはかせでせいれき812ねんだよー』

「アレイ・ローリー博士が星歴八一二年に分類分けをしました」

「ッ、正解です」

 

 先生は憎らし気に舌打ちをすると踵を返して、今度は別の生徒を当てた。

 当てられた生徒はさらに難解な質問を浴びせられ、たじたじだった。

 もっともその生徒は俺をバカにしていた生徒なので、可哀想とも思わない。

 それより気になるのは……。

 

 ――イチゴー、お前凄いんだな。

 

『しられているちしきはしっているよー』

 

 つまり、知識としてこの世に存在することは知っている、ということか。

 生前も、ネットの知識を元になんでも答えてくれるAIチャットアプリがあったけど、似たようなものだろう。

 

 さっきの一件で懲りたのか、先生は授業が終わるまで、一度も俺には質問をしなかった。イチゴーには感謝しかない。

 

 ふと、生前、父さんの会社が作ったAIコンシェルジュにもやったように、自己紹介をさせてみる。

 

 ――お前は誰だ?

 

 自分の名前やスペックを言ってくれる。そう思って尋ねたのだが、イチゴーは……。

 

『アクセス権限がありません』

 ――え?

 

 メッセージウィンドウの一文に、俺はしばし唖然とした。

 ――どういう意味だ? アクセス権限を持っている奴が別にいるのか?

 

 イチゴーは、神様から授かった俺のスキルで創造したゴーレムのハズだ。

 俺以外に所有者がいるとなると、それこそ神様本人しかいない。

 

 ――イチゴーって、神様が作ったゴーレムなのか? 自律型AIゴーレム生成スキルって、神様から作った物をレンタルするスキルなのか? いや、まさかな。

 いくらなんでも考え過ぎだと、俺は思考を遮った。

 

 

 そうして二限目、三限目と授業は進み、迎えた昼休み。

 食堂で安いパンとサラダを食べながら、俺はリザルト画面と各種ウィンドウを眺めていた。

 俺のレベルは六から九に上がっていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。