★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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主人公を追放とか実家はバカなの?

 

「支援部隊の派遣、感謝致します。ですが、復興はこちらのラビさんが半日で終わらせてくれました」

「なんですと!?」

 

 部隊長だけでなく、その場にいた他の軍人やゴーレム使いたちも、仰天しながら集まって来た。

 

「貴殿がこの町を半日で!? 貴殿は何処の者だ!?」

 

 詰め寄って来る部隊長に、俺は少したじろぎながら答えた。

 

「王立学園平民科高等部一年のラビです」

「王立学園の……シュタイン殿と同じか。一体どのような手品を?」

 

 一瞬、兄さんの口角が反応した。

 たぶん、自分と比べられるのを意識しているんだろう。

 

「スキルです。一応ゴーレム使いなので、邪魔な瓦礫や泥をそのまま材料にして、ゴーレムを作るスキルや魔法の応用で家を建てました」

 

 スキルの全容を濁しつつ、相手に理解しやすいよう、要約して説明した。

 けれど、部隊長さんは懐疑的に口を濁した。

 

「ゴーレム使いにそんなことが? シュタイン殿からはそんな話は聞いていないが……」

 

 部隊長さんの視線が刺さり、兄さんは少し居心地が悪そうにした。

 そこへ、ハロウィーが口を挟んだ。

 

「ラビは特別なんです。ラビは一流のゴーレム使いで、ドレイザンコウだって倒しちゃったんです。冒険者ギルドに聞けば証明できます!」

 

 いつもはおとなしいけど、俺のピンチには意外な行動力を発揮してくれるハロウィーの言葉に、部隊長さんはハッとした。

 

「もしや最近、新人冒険者がドレイザンコウを仕留めたと聞いたが、あれは貴殿の仕業か?」

「俺一人の手柄じゃありません。みんなが協力してくれたからです」

 

 実際、トドメを刺したのはノエルだ。

 

「何を言うんだラビ。貴君の適切な判断力とゴーレムの力が無ければ、あの大物は仕留められなかっただろう」

 

「ほぉ、これほどの若い才能が育っているとは、卒業後の進路が決まっていなければ、是非軍に志願してもらいたいものだな」

 

 周囲のゴーレム使いの人たちも、口々に俺のことを賞賛してくれた。

 

「あの歳でドレイザンコウを倒したのか」

「小さな英雄だな」

「それに町の復興を一日で成し遂げる手腕。本物の天才だぞ」

 

「オレも土壁の小屋程度ならできるけど、二階建ての家なんてうちのじい様でも無理だ」

 

「ゴーレム作りだけでなく、土魔法のエキスパートということか?」

「せっかく来たのに私たちの出番がないな」

 

 大人たちの称賛に、ハロウィーたちは自分のことのように誇らしげだった。

 けれど、俺は町の人たちから感謝された時と違い、喜べなかった。

 喜びよりもまず、兄さんたちがこの場にいることが不思議でならない。

 

 ――町の復興に、軍とゴーレム使いを派遣した? 王室が?

 

 王室や軍にとって、ゴーレムとは大切な軍事力だ。

 

 町の中や工事現場で運用されているゴーレムもあるけれど、それは民間用の備品としてゴーレム使いに発注した商品だ。

 

 ゴーレム使い自らがその場で使役するゴーレムを、町の復興や工事に使うなんて聞いたことが無い。

 

 ——王都ならともかく、郊外の小さな町のためにそこまでするのか?

 

 何か裏を感じてしまい、他の感情が湧き上がらなかった。

 その間も、ゴーレム使いの人たちは俺の前に集まり、陽気に笑った。

 

「いやぁ、将来が楽しみだなぁ」

「そうだシュタイン殿。これほど優秀な人材なら、将来シュタイン家に婿入りでもさせては?」

「なんて気が早いか?」

 

 誰かが余計なことを言って、兄さんは表情を崩した。

 

「いや、それは……」

 

 なんとも複雑な状況に俺は悩んだ。

 

 この状況で俺がシュタイン家の人間で追放されていることを言えば、兄さんの立場は悪くなるだろう。

 

 かといって、無言や嘘を言うわけにもいかない。

 

 兄さんも言葉に詰まり、そんな兄さんを周囲の大人たちは不思議そうに見つめている。

 

 そこへ、クラウスが一言。

 

「いえ、彼はシュタイン伯爵家本家の息子ですよ。追放されていますけど。理由は確か、スキルが魔獣型ゴーレムを作ることだったからでしたっけ?」

 

 わざとらしく、兄さんに語り掛けるクラウス。

 平民には爽やかヒーローだけど、貴族にはちょっと毒がある気がする。

 

 クラウスの発言に、俺は少し慌てた。

 兄さんにとってはただの嫌味だろう。

 

 シュタイン家はこんな優秀な人間を追放したのかと。

 案の定、周囲の大人たちはざわついた。

 

「あ、シュタイン家の方でしたか。これは失礼!」

「魔獣型か……う~ん、天は二物を与えずか」

「惜しい人材ですね」

 

 貴族らしきゴーレム使いたちは、有能なゴーレム使いなのに魔獣型で残念と複雑な表情をした。

 

 ゴーレムは女神が創造した人型に近い程に崇高で、魔王が創造したゴーレムと同じ魔獣型ゴーレムは不吉の象徴。

 

 それが教会、貴族、特にゴーレム使いの間で共有される価値観だ。

 けれど、戦力や効率を重視する軍人たちは違った。

 

「えぇ!? こんな優秀な人材を追放ってなんでですか!?」

「魔獣型だからって、外見気にし過ぎじゃないか?」

「というかフェルゼンて土魔法で家作れるのか?」

 

 周囲の反応に、兄さんは顔を赤くして、苛立たし気に表情を変えた。

 

 これはまずい。

 

 将来、貴族に復帰して実家に戻る場合、次期当主である兄さんの不興だけは買いたくない。

 

 元からあまり仲の良い兄弟ではなかったけれど、憎まれてはいなかったのに。

 それから、話題を変えるように兄さんは語気を強めた。

★★本作の単行本2巻は本日発売! オーバーラップより本日発売!★★

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