★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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うちのゴーレムはラブリーでモテモテである。

 原因はAIが人から仕事を奪うから。

二〇〇年前、蒸気機関が発明された時も、機械が人から仕事を奪うと言われていた。

 

 けれど実際には工業機械が経済規模を拡大させ、機械の整備士などの仕事が生まれ、雇用が増え、文明は大きく発展した。

 

 だからAIも大丈夫と言う人がいる。

 

 でも、最近では近い将来、プログラミングをするAIや、機械の修理整備をするAIもできると言われ始めている。

 

 一昔前は創作活動などクリエイティブな仕事しか残らないと言われていたのに、俺が死ぬ直前にはAIがプロ級の作詞、作曲、作画、脚本を手掛けていた。

 

 AIはいずれ人の頭脳を超える。

 AIが人を超えたら、二四時間三六五日、常にトップモチベーションで仕事を続けるAIに、人類は絶対勝てなくなる。

 

 あらゆる仕事はAIに取って代わられ、人々は失業し、大規模なAIの導入に成功した一部の資産家だけが得をする。

 

 けれど、それすらも搾取対象である庶民たちが路頭に迷えば維持できなくなり、社会システムは崩壊する。

 

 政府は社会維持のため、国の全てをAIに任せた人間動物園を作らざるを得なくなる。

 

 ならばAIの研究をやめれば良いという意見もあるけれど不可能だ。

 

 全ての国家が同時に研究をやめるならともかく、どこかの国が極秘裏に研究を進め、実用化してしまえば一人勝ちになる。

 

 抜け駆けを阻止するには自国もAIの研究をしなくてはいけない。

 

 そしてAIの水準が人を超えた時、人類は滅亡せざるをえない。

 

 身分制度が無くなっても、どれだけ文明が進んでも、楽園は訪れない。

 

 二〇〇〇年前の女神と魔王が俺と同じ異世界転生者なら、そして二人も自律型ゴーレム生成スキルを持っていたなら、もしかすると神話の戦いは、進みすぎたAI社会の成れの果てだったのではないか。

 

 そんな想像をしてしまう。

 

「…………」

 

 ふと、無邪気に遊ぶイチゴーたちの姿が脳裏に浮かんだ。

 同じAIでも、イチゴーたちなら大丈夫なのではないか。

 イチゴーたちが人類を支配したディストピアを作るとは思えない。

 

 無邪気で子供っぽくて、人間たちに可愛がられながら生活をサポートするパートナー。

 

 そんなAI社会を実現できたら。

 

「いや、考えすぎだな」

 

 そこまで考えて、俺は苦笑した。

 

「急がないと。一時間目に遅刻する」

 

 遅れて教室から出ると、ハロウィーとノエルが待っていた。

 

「どうしたんだ二人共? 授業に遅れるぞ?」

 

 二人は無言で顔を見合わせてから、ノエルが先に口を開いた。

 

「ラビ、クラウスから何を言われたのだ?」

「それは……」

 

 正直に言ってよいものかどうか悩み、俺は頭をかいた。

 

「まぁ、正義の味方の勧誘だよ。これからも平民を救うヒーローやろうぜ的な。俺には俺の生活があるから断ったけどな。そういうわけでハロウィー、放課後に俺の部屋で今後のチーム方針を話そうぜ。俺もハロウィーも卒業したら冒険者になるんだろうし」

 

「ラビの部屋で!? ふゃぁぁ……」

 

 ぽぁぁっと顔を赤くして瞳孔を開いて固まるハロウィー。

 俺は彼女の前でおーいと手を振った。

 

「ハロウィー、聞こえているか~」

「ふゃっ!? きき、聞こえているよ! うん!」

「ラビ! そういうことなら私も参加するぞ!」

 

 ノエルがずいっと首を突っ込んできた。

 

「おっ、ノエルも進路相談か?」

「うむ。貴族科ではラビ達とチームを組めないが、今後も一緒にクエストを受ける事はあるだろうし、卒業後に組むこともできるだろう」

 

「そうしてくれると助かるよ。ノエルは頼りになるからな」

 

 首を引っ込め、ノエルは毅然と背筋を伸ばした。

 

「ふっ、任せるがいい。そこらの冒険者以上の前衛を務めてみせる」

 

 よくわからないけど、ノエルがとても上機嫌だった。

 

「じゃあ放課後前にイチゴーたちを呼び戻しておかないとな」

 

 ハロウィーとノエルの顔がそわそわわくわくし始めた。

 

 ――わかりやすいなぁ……。

 

 イチゴーたちは今日もモテモテである。

 

   ◆

 

 放課後。

 

 平民科男子寮で会議の準備をしていると、背後からコロコロと何かが転がる音が聞こえる。

 

 なんだろうと思って振り返ると、床に寝転がったゴゴーがタイヤのようにコロコロと転がっていた。

 

 イチゴーとヨンゴーが、両手でペシペシとゴゴーのことを押し転がしている。

 

「何をしているんだ?」

『あのねー、ゴゴーをころがすとたのしいことにきがついたのー』

『おおだまころがしっすー』

『ころがされるとたのしいことにきがついたのです』

「そっかー」

 

 楽しそうで何よりである。

 壁際では、ニゴーがその様子をジッと眺め、そわそわしていた。

 

 ——ニゴーも転がしたいのかな?

 

 そのことに気が付いたサンゴーが、ニゴーの背中を押し倒した。

 

『ニゴーはよくまわるのだー』

 

 コロコロコロ。

 

『や、やめるのだ』

 

 と、言いながらも抵抗しないニゴー。

 

 ——そうか、転がるほうをやりたかったのか。

 

 俺もまだまだだと思っていると、部屋のドアがノックされた。

 

「イチゴー、ニゴー」

『はーい』

『ぎょい』

 

 遊びを切り上げ、イチゴーがぴょこんとジャンプしてドアノブからぶら下がり、それからニゴーがドアにぺたんと手を当てた。

 

 指はないけれど、なんでも吸い付くのでニゴーが短い足でちょこちょこバックすると、ドアが一緒に開いた。

 

 イチゴーがドアノブからぽよんと落ちて、ニゴーの頭にお尻からぶつかり、床にころりと落ちた。

 

 ——なんだろう。何をやらせても可愛いな。

 

 まるで赤ちゃんパンダを見ている気分である。

 

 ニゴーに手を貸してもらい、イチゴーが起き上がると、ノエルとハロウィーが部屋に入ってきた。

 

★とっても可愛いゴーレムのイラストと巻末エピソードは現在発売中の単行本2巻で見られます。

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