★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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異世界転生者なんて信じてもらえないだろうな

 ニゴーに手を貸してもらい、イチゴーが起き上がると、ノエルとハロウィーが部屋に入ってきた。

 

「ふむ、ここがラビの部屋か。思ったよりも立派だな」

「わたしの部屋より綺麗だね」

 

 二人共、意外そうかつ珍しそうに室内を見回した。

 

「ストレージの中にゴミや汚れを全部収納して欠けた部分はケイ素、じゃなくて土素材で埋め固めて滑らかにしたからな」

 

「ストレージって、ラビのアイテムボックススキルのことだよね?」

「ああ。厳密にはアイテムボックススキルじゃなくてゴーレムの素材貯蔵庫スキルなんだけど、言いにくいから俺はストレージって呼んでいる」

「ストレージってどういう意味?」

 

 ハロウィーにきょとんとされて、俺は固まった。

 

 ――しまった。俺の馬鹿。

 

 この世界の人間のハロウィーに、ストレージの意味なんてわかるわけもない。

 墓穴を掘ったことを悔やみながら、てきとうに誤魔化すことにする。

 

「どっかの国の言葉で倉庫みたいな意味だったと思う。まぁ俺が勝手に呼んでいる通称だから覚えなくていいよ」

「ふぅん、ラビって物知りなんだね」

 

 ――ただの異世界転生者です。

 

「しかしアイテムボックスを掃除に使うとは。ラビがいれば清掃業者が職を失うな」

「それはそれでいい副業になりそうだな。どんな頑固な汚れも俺にかかれば一発OK。一回銅貨五枚、なんてな?」

「乗り気だな。では私の制服を綺麗にしてみてくれ」

 

 ノエルは制服の胸ポケットから、銀貨を一枚取り出し指ではじいた。

 空中でキャッチして、ノエルに確認する。

 

「いいけどせっかくだし汗とか埃とか、体の汚れも綺麗にしていいか?」 

「いいぞ?」

「ありがとう。他人の物は所有者の許可を取らないと収容できないからな」

 

 なので、アイテムボックススキルで泥棒は不可能だ。

 

「よっ」

 

 俺がストレージスキルを使うと、ノエルのまぶたが一ミリ持ち上がった。

 

「な、なんだこれは、この、爽やかな感覚は?」

 

 ノエルは自身の手の甲や首筋、顔をなでた後、うなじからポニーテールをふわりとなで上げた。

 

 長い金髪が空中にふんわりと舞い上がり、艶やかに煌めいた。

 

「ノエルが今まで以上に綺麗になっている!?」

 

 ハロウィーが目を丸くして驚いていた。

 

「ラビ、この風呂上がりとは違う爽快感は……」

「ああ、ノエルの皮膚の汚れ、埃、汗、余分な皮脂や毛穴の汚れとかも全部ストレージに入れたからな」

 

「ラビ、それ、わたしにもお願い」

「料金は私の銀貨から出してくれ」

「いいぞ。よっ」

 

 ストレージスキルを使うと、ハロウィーもハッとした顔になる。

 

「うわぁ、すごい……なんか、すごいね、これ……すっごくきもちぃ」

 

 感嘆の溜息をもらすハロウィー。

 そんな反応をされると、こっちもやりがいがある。

 

「喜んでもらえて何よりだよ。肌の汚れ回収もお金になるかな?」

「それはもちろん……待てラビ。ということは今、私の肌の汚れが貴君のストレージに保存されているのか?」

「え、そうだぞ?」

 

 ノエルの顔が沸騰したように赤くなった。

 

「捨てるんだ! すぐに! 今すぐ!」

「は!? おいどうした急に!? おいハロウィー」

「すぐに捨ててラビ!」

「ハロウィーまで!?」

「「いいから! すぐに外に捨てて!」」

 

 顔を真っ赤にして怒り顔で怒鳴り詰め寄って来る二人の圧に負けて、俺は窓の外に汚れを解放した。

 

 とは言っても目に見えるようなものではないので、よくわからない。

 

 ——う~ん、女子的には何か恥ずかしかったのかな?

 

 二人の機嫌を直すためにも、俺は次のサービスを紹介することにした。

 

「あとこんなのも考えてみた。二人とも腕まくりをしてくれ」

 

 まだ顔に赤みの残るノエルとハロウィーが左袖をまくり、白くたおやかな手を突き出してきた。

 

 ハロウィーは農作業と家畜の世話で、ノエルは剣術修行で、それぞれ手を酷使しているはずなのに、二人の手はとても綺麗で、目を惹かれてしまう。

 

 ——体質なのかな? 美少女遺伝子?

 

 とかボケたことを考えながらストレージを発動させた。

 二人の指先から肘にかけて、ストレージの赤いポリゴンが展開した。

 

「ぬっ、なんだこれは!?」

「わわっ!? あ、でもなんだか気持ちぃかも」

 

 赤いポリゴンが消えると、二人の左腕が、今まで以上にぷるぷるのつやつやになっているのが一目でわかる。

 

 どうやら成功したらしい。

 

「ふわぁ……」

「!? ラビ! これは何をしたのだ!?」

 

「皮膚用の回復ポーションだよ。皮膚は普段から空気の乾燥や服との摩擦、太陽光や汗の刺激、顔は手で触ったりして目には見えない傷がついていてそれが皮膚荒れや乾燥肌、肌の劣化に繋がるんだ。だからダメージが蓄積する前にポーションで定期的に回復すれば赤ちゃん肌をキープできると思ったんだ。イチゴーたちのように」

 

 イチゴーたちの体は岩より硬いけど、なでた感触は赤ちゃんの肌そっくりである。

 つやつやのすべすべだ。

 

 俺の足元で、イチゴー、サンゴー、ヨンゴー、ゴゴーが誇らしげに、むふーんとお腹を突き出している。

 

 ニゴーはちょっと迷ってからお腹を突き出した。空気を読んだ。後でなでてあげよう。

 

「ラビ」

 

 不意に、ノエルが俺の両肩をわしづかみにし、鬼気迫る顔を寄せてきた。

 

「この事は時期が来るまで伏せておくんだ。でなければ君を巡って世界中の貴族令嬢が戦争を起こしてしまうだろう。いいな?」

「は、はいっ」

 

 あまりの迫力に、つい敬語になってしまった。

 

「あ、じゃあそれまではわたしたちが実験台になるよ。腕以外の場所も。ね、ノエル?」

 

 ——おっと、欲を出してきましたねハロウィーさん。

 

「そ、そうだな! ラビ、今度は全身を頼む」

「ぶはっ! おいノエル、制服を脱ぐな!」

「え? は!? す、すまん、私としたことが取り乱した」

 

 ノエルは耳まで赤くして、脱ぎかけた上着を羽織り直した。

 

『あとでしてあげるねー』

 

 イチゴーが頭上に、メッセージウィンドウを表示させた。

 

「そういえばイチゴーもストレージの中の物を使えるのだったな。では後で私の部屋に行こう」

 

『いくー』

 

 ノエルに頭をなでられたイチゴーは、その手にころころと甘えた。

 

「じゃあそろそろ会議を始めるか。てきとうに座ってくれ」

 

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