★書籍発売★追放転生貴族とハズレゴーレムの異世界無双――隠し機能がチート過ぎ――え!?ゴーレムが倒した敵の経験値も俺に入るの!?   作:鏡銀鉢

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ドローンでマッピングしようぜ

 ノエルに頭をなでられたイチゴーは、その手にころころと甘えた。

 

「じゃあそろそろ会議を始めるか。てきとうに座ってくれ」

 

 俺が着席を促すと、二人の視線はイスとテーブルに向いた。

 

 平民科の木目剥き出しの部屋の中には場違いな、象牙色の上質な家具に二人は興味を惹かれていた。

 

「これってラビのスキルで作った家具だっけ?」

「土から作ったのだったな? 陶器や土壁のようなものか? すべすべとして肌になじむ、珍しい家具だ」

 

 ——一応ケイ素素材ってやつなんだけど、専門的なことは俺も知らないんだよなぁ。

 

「ほい、お茶とお菓子」

 

 炎石で作ったコンロで沸かしたお湯を使い、森で採集した薬草茶を淹れさせてもらった。

 

 それをお盆に載せて、イチゴーとニゴーに運んでもらう。

 

 二人共身長は赤ちゃん並の五〇センチなのでテーブルに届かないのはご愛敬。

 

 ハロウィーとノエルは笑顔で自らお盆を受け取った。

 

「む? ラビ、小皿が空なのだが?」

「イチゴー、クッキーを頼む」

『まかせてー、えいー』

 

 むぎゅっとイチゴーが謎のポーズをキメると、ハロウィーとノエルの小皿の上に青いポリゴンが出現。

 

 消えた後には、きつね色のクッキーが一〇枚載っていた。

 

「いい香りぃ」

 

 ハロウィーは顔をほっこりとゆるませた。かわいい。

 

「ラビのスキルは料理も作れるのか?」

「なんでも作れるわけじゃないけどな。構造が単純なものならある程度は。味は保証するぞ」

 

 ハロウィーがクッキーを口にすると、目がほころんだ。

 

「おいしー。甘くてサクサクだよぉ。こんなおいしいクッキーをすぐに作れるなんて、ラビとイチゴーちゃんはすごいことだらけだね」

 

『すごいのー』

 

 両手を腰?に当てて、ちょっと胸?を張るイチゴー。

 

「うむ、これは貴族に出しても恥じることのない味だ。商品になるぞ」

 

 子爵家令嬢で、高級な菓子を食べ慣れているはずのノエルも、クッキーとお茶の味に感心していた。

 

「……このクッキーを作ったのはラビとイチゴーどっちになるのだ?」

「俺だけどスキルの使用にはイチゴーが側にいないと駄目だな」

 

 息を吐いて、ちょっと説明モードになる。

 

「俺自身のスキルはゴーレムを生成すること。そのための材料をストレージに保存すること。それ以外の派生スキルはイチゴーを介して使っている。それが俺の弱点だな」

 

「ではイチゴーは森へ行かせず常に側に控えさせていたらどうだ?」

「それは可哀そうだろ? イチゴーだけ外で遊べないなんて」

 

 途端に、ノエルが微笑を浮かべた。

 

「ふふ、やはりラビはラビだな」

「どういう意味だ?」

「そのままの意味さ」

 

 ノエルは涼やかに笑った。

 

「じゃあそろそろ今後の方針について話そうか」

 

 俺もテーブルに着くと、ノエルが軽く手を挙げた。

 

「その前に、明日行われる、貴族科との合同授業について話さないか?」

「そういえば、掲示板ホールでもそんなこと言っていたよな。じゃあノエルとも組めるのか?」

「うむ、明日は世話になる」

 

 普段は厳格なノエルの声がちょっと弾んでいる。

 イチゴーたちと組めるのがよほど嬉しいらしい。

 

「明日は探索階層の規制も解除され、各チームごとに自由に探索ができる。ハロウィーから聞いているが、ダンジョンの地理に詳しいクラウスのいる我々は有利だな」

「そのことなら、明日はたぶんクラウス抜きだな」

 

 ハロウィーがまばたきをした。

 

「え? どうして?」

 

「最近、俺らクラウスと組みすぎじゃないか。正式なチームでもないのにこれ以上組んだら他の生徒からやっかまれる」

 

「う~む、学園新聞での扱いを見る限り、ラビ達は事実上の正式なチーム扱いであったし、問題はないように思うが?」

 

「みんなもそう思っているかわからないだろ? それに俺がクラウスの誘いを断った時、気にしなくていいとか僕らは親友だとか言っていたけど、こっちが気まずいって」

 

「ていうことはダンジョンの地理を知っている人がいないってこと?」

 

 ちょっと不安げなハロウィーに、俺は頷いた

 

「ハロウィーの言う通りだ。けど、安心しろ。俺ら一年生は地図の閲覧はできないけど、俺のドローンでマッピングはできる」

 

 俺はストレージから一台のドローンを取り出し、天井辺りを自由に飛ばしてみせた。

 

「こいつには映像記録機能がついている。これをダンジョン中に飛ばしてイチゴーと情報を同期させてマッピングすれば、明日は有利に進めるだろうな」

 

「それはいい。何から何まで、高等部になってからラビは規格外だな。正直妬けるよ」

 

「火傷させて悪かったな。でも規格外なのはイチゴーたちだよ」

 

 俺がイチゴーを抱き上げると、ハロウィーも貪欲にサンゴーを、ノエルも欲望のままにニゴーを抱き上げ、なでくり回し始めた。

 なんという本能の奴隷。

 

「ただ今更なんだけど、イチゴーたちの能力は秘密にしてくれないか?」

「どうして?」

「悪用を防ぐためか?」

「ノエルの言う通りだ。でも……」

 

 一瞬、クラウスとのやりとりを話してもいいものか悩んで、だけど俺は二人にはむしろ打ち明けるべきだと判断した。

 

「一番の理由は、革命軍の存在だな」

 

 穏やかではない単語に、二人の表情がやや険しくなった。

 

★単行本2巻発売中★

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