米国 ニューヨーク
あるホテルの一室で男は退屈していた。
己に挑むものがいなくなり、息子との親子喧嘩ですら全力を出すには至らない。
闘争いを、男に流れる血は闘争いを欲していた。
いつの日か己の持つ全てをぶつけられる相手が現れることを望みながら、
男は眠りについた。
ーーーその日世界中の生物の「強さ」のランクが上がったーーー
目を覚ます。 強烈な違和感。 男は木造の部屋の中にいた。
(少なくとも今までに嗅いだことのない匂い、それと強烈な潮の匂い、火薬、それもかなり質の低いもの。
揺れている・・・船かッッッ!)
男は困惑していた。己の身に何が起こったのか現状把握が出来ていない。
(軍の新兵器か? それをこの俺に使用った? 気づかずにだと!!!
絶対にありえん!!!)
この状況においてすら『絶対』と思い切るほどの自信、何よりそれに見合うだけの強大な力を身につけた男、 "鬼" が今この地に降り立った。
ドアノブに触れる。
(周りに人の気配はない、少し離れたところに集まっているようだ。行ってみるか。)
オーガ部屋を出て、廊下を歩く。
(部屋だけが木造かと思っていたが、船自体が木で出来ているのか、俺はどこにいるんだ、それと俺に何が起こったのか。まずは現状把握か。)
廊下を抜け、明るい大部屋に入る男。そこでオーガは言葉を失った。
(大勢、しかもかなりの割合で武装をしている人間。
鎧、それも金属ではないのか? 獣臭、何を使用った!? 武器も異なる。大剣、太刀、巨大なハンマー様々なものがありながら銃火器が一切見当たらん!! しかも模造品ではない、どれも一級品と言って良いもの!!)
いきなり目の前に現れた情報量の多さに圧倒されていると酔っ払い二人組が話しかけてきた。
「なんだぁ、お前見たことない顔だなぁ、デケェの。」
「そうだぞ、顔合わせはもう終わった。寝過ごしたかぁ?」
(どちらも鍛え上げられている、全身の古傷、かなりの歴戦か?騒ぎにするのも得策ではなさそうだ)「知らん、気づいたら部屋の中にいた。ここはどこだ?」
二人組は顔を見合わせ、片方が
「なんか訳ありみてぇだな、ちょうどもうすぐ新大陸に着く。そこで総司令に会ってみろ。なんか分かんだろ。」と言った。
オーガが新大陸というものを詳しく聞こうとしたその時、船が大きく揺れた。
「なんだ!なんだ!船が傾いてやがる!!」「糞!船長め!座礁しやがったのか。出航前あんだけ啖呵きってたくせによぉ! とりあえず甲板にでろ、沈むかもしれんぞ!!」
突然の緊急事態、しかしオーガは平然として2人についていく。
甲板にでて、船が傾いている理由が理解った。
それは巨大な火山?だった。
(なんだあれは!!海底火山でも噴火したのか!!とてつもなくでかい。これほどまでにも大きいのにぶつかるのか!?
!!! いやあれは火山ではない!! 動いている!!まさか生物なのか!? あんな物が本当にいるのか!!)
「ゾラ・マグダラオス!!現れやがった!! 新大陸はすぐそこだ!!」
オーガ 異世界での初会合 ゾラ・マグダラオス