モンスターハンター オーガ   作:銭形

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 数刻後 総司令がオーガの前に現れた。

 「導虫の準備ができたぞ オーガ。 もう出発するのか?」

 

 「当然だ。」と返し、「討伐対象はプケプケといったか そいつは強いのか?」

という質問を続ける。総司令は

 

 「難しい質問だな もちろん弱いわけではない。強力な毒と長く伸びる舌が厄介な怪鳥だが、随分と臆病な奴でな。 威嚇をしても相手が意に介さないのを見るとすぐに逃げてしまう。 注意点を上げるとするならそこだな。 まあ君にとってはそこまでの相手ではないだろう、ついでに森を見てきたらどうだ。それとプケプケは尻尾が珍味らしいぞ。」

と返す。

 「了解」

オーガはそう言い放ち翼竜につかまって飛んで行く。

 

 


 

古代樹の森 初期キャンプ地

 

オーガはキャンプ地に降り立ちそのまま広場に出る。

 (狩る前にいろいろとみておくか)

そう思ったオーガは森の中に足を進める。

 

 

数時間後 オーガが森の中を歩いていると腰に付けた容器から導虫の光の筋が出来上がり、地面につけられた足跡へと集まっていく。

 (ホゥ これがプケプケとやらの足跡か 大きさの割にかなり深く荒れている)

導虫に従い足跡をたどっていくオーガ。

その時、導虫が活発化し、1体の生物の周りを飛び回る。

 

 (あれがプケプケか。 臆病な性格と聞いていたが、そうは見えん。 何かあったか?)

 

事実 プケプケの体は赤く充血し、興奮して周りに当たり散らしている。 通常のプケプケではとても見られない光景だ。 

 

 (まあ俺には関係ない むしろ好都合か) 

そう思うと オーガはプケプケに向かって走り出す。

 

オーガvsプケプケ 開戦の合図はオーガの飛び蹴りであった。

 

ただでさえ後方からの奇襲、しかもオーガの蹴りである。 通常避けることができないといっていい攻撃 しかし、これをプケプケは回避する。

 

 (回避けたッッ!! あの眼球かッッ!!)

オーガの推測通りプケプケの眼球は 自在に動き、まるで琉球空手のサンガンのように死角がない。 加えて嗅覚も鋭く、オーガの攻撃は奇襲の意味をなさないものであった。

 続くプケプケの反撃が来る。 体を回転させたうえでの尾の振り回し オーガは腕を交差させてこれを受け止めそのまま距離をとる。

 

 (見た目から考えられる以上の重さ 興奮からくるリミッターの外しだけではないッッ!! ため込んだ毒の重さかッッ!!)

 

その己の攻撃の威力すら向上させるほどため込んだ毒が口から吐き出される。 

触れただけでダメージを負う猛毒。直感的にそれがわかっていながらもしかし、オーガは回避を選択しない 急激に息を吸い始め 胸が膨張する。 そして手を丸め口に当てた。

 

   ヒュウッッ

 

莫大な肺活量から繰り出される砲弾のような息の塊 それはプケプケの毒弾を空中で破裂させた。 そのまま距離を詰めようとオーガが走り始めた直後、プケプケの舌が伸びオーガに襲い掛かる。

 

 (長いッッ!! ゆうに10mはある距離に届く舌 こんな攻撃 向こうにはねえ!!)

 

舌という特異な武器。 これを躱して跳びあがり、鼻の下、人間でいうところの人中に正拳突きを食らわせる。かなりの大ダメージ しかし、この一撃で落ち着きを取り戻したのか攻撃をもらって距離をとったプケプケの体表の赤みが薄くなっていく。 これにより元々臆病な性格の生物であるプケプケはすぐに逃走を選択する。

最後っ屁のように毒霧を尻尾からまき散らし、羽ばたき始めたプケプケ。

これにオーガはブチ切れた。

「貴様ッッ!!」

しかし追いかけようにも目の前には行く手を阻む毒霧の壁。プケプケはさらに高く舞い上がる。このまま逃がしてしまうのかと思われたその時、オーガの体に異様な変化が起こった。 体表に血管が浮き出て、筋肉 とりわけ下半身が肥大化、それによる発熱からか 呼気は白く色がつく。

 (刃牙との喧嘩であいつが見せた脱力からのインパクトを生かしたタックル。 確かに速い、だがあんなもものは俺の流派じゃねえ 俺は俺のやり方でやる。)

 そして、  

 

    ドン!! 

 

 

オーガの足元が爆ぜる。 間髪入れず響き渡る破裂音 オーガの姿が掻き消えいつのまにかプケプケの背をつかんでいた。オーガの変化からコンマ1秒もかからぬ間の出来事 何が起こったのか、彼のしたことは単純明快 ただ全力で走っただけ。

誰もが一度は考える、例えば雨の中をものすごく速く走ったら当たらないのではないか、水の中にあるものをとるときにものすごく速くとったら濡れないのではないか、そんな妄想ともいえる発想 をオーガの「強さ」は可能にした。

その速度は音を超え、その際に生じた空気との摩擦熱により毒霧の壁を加熱消毒、勢いそのままに10m高くを飛翔していたプケプケまで跳躍したのである。

 

そのままオーガは裸絞め(チョークスリーパー)に移行。脳に酸素がいきわたらなくなったプケプケは羽ばたきの勢いが弱くなり地面に落下する。プケプケに踏みつぶされないように落下中に態勢を変え、オーガは地面に激突寸前でプケプケの首をクッションに着地に成功。100㎏を優に上回るオーガの体重が衝撃として首にかかったプケプケは二度と動かない。

 

決着がついた。 

 (苦戦はしなかった。だがヤツが途中で見せた舌による攻撃、いつ以来かの想定外 やはりここは面白い。)

 凶悪な犬歯をむき出しにしてオーガは笑みを浮かべる。

 (次はどんな奴と()ルのか 楽しみで仕方ねえ)

プケプケを担ぎながらオーガは拠点へと足を向ける

 

 

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