「
ほわぁ! 私も! 頑張って国王になりたい! そしてお母様の役に立つの! でも......お母様が期待してるのは私達じゃなくて......。
「ペルヴェーレは......来てないのか?」
ほら、お母様は今ここにいる私達じゃなくてペルヴェーレのことを期待してる。国王になるのはきっとペルヴェーレ。それはそれとしてお母様の質問に答えなきゃ!
「お母様! あの子は自分の蜘蛛のお葬式中です!」
手を上げてペルヴェーレの事を教えてあげる。きっとこの後はクリーヴにペルヴェーレの様子を見に行くように頼むの。
そしてクリーヴはケーキを持っていく。
「まったく......クリーヴ見に行ってくれ」
......あれ? なんでお母様がクリーヴにペルヴェーレの様子を見に行くよう頼むって分かったの? なんで私はクリーブがケーキを持っていくことを知ってるの?
すごい既視感に襲われる。心臓がバクバク言っていてうるさい。
どうしよう、どうしよう、全て思い出してしまった。
私は......名前もないバブルオレンジの髪留めを付けた女の子。これから”原作”が始まる前に(おそらく)ペルヴェーレに殺される女の子だ。
顔が蒼白になっている自信があるけどなんとか今日を終えた。幸い今まで生きてきた記憶が消えなかったから今まで通りの生活ができた......はずだ。
ちゃんと誤魔化せたかな? ......うん、きっと大丈夫だろう。究極的に言うとお母様......クルセビナは
他の孤児達も......周りを気にしてない。唯一周りを気にするクリーヴもペルヴェーレの所から帰ってこなかった。......きっとケーキの件でお仕置きされていたのだと思う。だから誰にも不審がられていないはずだ。
布団の中でやっと一息付く。周りの目がある間はとてもじゃないけど気が抜けなかったし、
今朝までの”私”は何一つ気付いていなかったけど......”前世”の記憶を思い出した事でクルセビナの話や訓練のあらゆる所で異常さが目につくようになった。こんな環境でクリーヴやペルヴェーレのような子が育ったのは奇跡だと思ったよ。
記憶の整理は思っていたよりあっさりできた......私にとって重要な記憶はたった一つ。このままではペルヴェーレ以外全員死ぬこと。
フォンテーヌの未来の記憶もあるけど......これは旅人に任せれば問題ないから私が考える必要はないよね。
私だって死にたくないし、クリーヴにも生きていてほしい......。そのためにもこれからどうするかを考えないといけないよね。となると......。
私の目標は第一にクリーヴの生存。第二に私の生存。第三に他の孤児達の生存。
そうだよ! 前世の私は召使いの伝説任務とショートアニメに脳を焼かれたの! 二人の救済が最優先だよ!
ペルヴェーレ本人が入ってない? あの子は私が何もしなくても勝手に助かるから......。
他の子供達は......正直私の手に終えないと思う。というかクルセビナの洗脳教育のせいでクリーヴとペルヴェーレ以外の人を助けようとしたら後ろから刺されるから何をしようにも成功率0%になっちゃうよ。改めて二人の成長が奇跡だって実感するね。
それを踏まえて私にできることは......。
1. 原作通りに進める。
これは無し。私もクリーヴも死んじゃう! 成り代わったのか憑依したのか分からないけどこれは無しの方向で! 原作を壊すと未来で大変な事になるかも? 私は! 今の! 話を! してるのよ!!! はぁはぁ、次っ!
2. ペルヴェーレに勝てるように努力する。
......ムリムリムリムリ。我らが主人公が半分近く力を取り戻しても睨まれて動けなくなるような相手だよ? 流石に原作よりも幼い分弱いとはいえ現実的じゃない。というか勝てるようになったとしてもペルヴェーレを殺したら意味がない。
3. クリーヴ、ペルヴェーレを連れて
......これも無理! できたら原作でクリーヴが成功してるはずだ。二人が三人になったところで誤差だろう。なんなら見せしめにしやすいから私かクリーヴのどっちかは消されちゃう。
4. クルセビナを消す。
......はぁ。もうちょっと現実的な案を考えようよ私! 大人になったペルヴェーレがやっと倒せた相手に私が勝てるわけないだろ! いい加減にしろ!
5. 死んだふりをする。
......意外と良い案ではなかろうか。決闘で負けたときに良い感じに攻撃を受けて死んだふりをする。みんながいなくなったら起き上がって逃げ出す。私もクリーヴも同じようにすれば二人とも逃げ切れる? ......よくよく考えたら一番無しだった。......死んでも博士の研究材料にされる可能性が高いじゃん。生きたままあのマッドの研究に使われるの? ムリムリムリ。死んだ方が幸せルートまっしぐらだよ!
......。
............。
............詰んでるじゃん! 実質、強制原作ルートじゃん! つまり......クリーヴの行く先は......死! それだけは......それだけは絶対に嫌だ!!
と、とりあえず......今まで以上に頑張ろう! やれる事が増えれば新しい選択肢が沸いてくるかも! 記憶を思い返すと才能だってある! ペルヴェーレほどじゃないけど......。
「いたっ! なに?」
頭に何かが当たって辺りを見渡す。......これって!
周りの子に見つかる前に”神の目”を懐に隠す。
ああ! ああ! 感謝します! 女皇様!! これで希望が見えた! ......マッチポンプじゃねえか!!
はぁはぁ。思わず幼女らしからぬ口調が出ちゃった。そう、貰った神の目の元素は氷だったの。
私の願いってどれだけ強いのよ......。我ながら呆れる。でも神の目があればできることが増える! これできっと勝つる!
明日からは隠れて元素力の制御をできるよう練習だ!
興奮して眠れないかも! でも明日からの特訓のために早くねな......zzz。
お、おはようございます......。
思ってた以上に疲れてたからかぐっすり眠れたよ。
まずは今の身体能力の確認が急務だね! 神の目を持つ人は持たない人と比べてできることが多いから差を把握しておかないとすぐに神の目持ちだと気付かれちゃう。目をつけられると動きにくくなるからあまり注目を浴びたくないかな。少なくとも今は。
他にも調べるないといけないことがいっぱいあるね。何度かお仕置きされちゃうかもだけど......。可愛い悪戯の範囲であれば消されないはず! 処刑名簿に入るかもだけど......。消される前にはとんずらできる......はず!
とりあえず目立たないように暗躍頑張ろう!!
神の目を貰ってから8年後、私はとある一室でクリーヴとお話をしていた。
「本当に上手くいくのかな?」
「絶対。絶対大丈夫だよ」
そう、今は二人で作戦会議中なの。ペルヴィにはクルセビナに話を聞かれないように足止めをお願いしているよ。
8年の間で元素の制御力も向上したし、クリーヴ達とも仲良くなった。最初こそペルヴィは警戒してたけど今では私も愛称で呼ぶほど仲が良いの。
待って! 石を投げないで! 当然二人の間には挟まってないよ! でも特等席で二人の掛け合いが見れるの尊いです!!
環境が最悪じゃなかったら関わることなく
「虹色のオーロラ見るんでしょ?」
「ええそうね! 絶対に三人で見るの!」
「じゃあーー」
「うんーー」
”前世”を思い出してから考えた作戦も二人には伝えていて、もうすぐで最終局面に入る。
失敗したら......と恐怖もあるけどやらなければ待っているのは”死”だから。
「大丈夫。ペルヴィもいる。私もあなたのことも信じてるわ!」
「うん......うん! 私に任せて!!」
「何を任せるのかしら?」
「お、お母様......」
突然聞こえてきたクルセビナの声に肩が跳ねる。ドアを見ると一見無表情だけど申し訳なさそうな雰囲気を出すペルヴィがいた。
「明日も頑張ろうって話よ!」
目で「ごめん」「大丈夫よ」と会話をしてからお母様の相手をする。これぞ阿吽の呼吸ね。と私が和んでいられるのは次の言葉を聞くまでだった。
「明日決闘を行う子供を通達しに来たわ。察してると思うけど......あなた達二人よ」
「「はい、お母様」」
遂にこの時が来てしまった。覚悟は......できている。
「では、始め!」
クルセビナの合図と共に走り出す。一回、二回と剣がぶつかりいい音が鳴る。
数回斬り合ったあと、クリーヴのお腹を蹴って距離をとった。
「行くよ! クリーヴ!」
「受けてたつわ!」
衝撃によって
「流石ね......」
「先に待ってて。私もすぐに追うから」
クリーヴの背中から刀身が伸びる。
血を吐き、崩れ落ちるクリーヴを受け止めた後、冷たくなった身体を優しく地面に寝かせた。
ニヤニヤと笑いつつ、私を褒め称えるクルセビナに感謝を述べて部屋に戻る。
ペルヴィの表情は見れなかった。
クリーヴとの決闘から2年間。私は無数の決闘を行った。無数の任務を行った。
ペルヴィとは......この二年間一度も話していない。
孤児の数はどんどんと減っていった。決闘によって......任務によって......。
そして......。
「あなたたち二人のうち勝った方が”王”よ」
私と同年代で唯一残っているペルヴィと向かい合っていた。
「こうして向き合うのも久しぶりだね」
「あぁ。そうだな」
一言だけ交わすと決闘が始まる。
戦いは壮絶だった。私の氷とペルヴィの炎がぶつかりあう。
私が”前世”を思い出す前は二人の間には圧倒的な実力の差があったけど今ではもう違う。
私の氷がペルヴィの炎を凍結させ、できた氷をペルヴィの炎が溶かす。
ペルヴィの蹴りが私を吹き飛ばすと次の瞬間には私の拳がペルヴィを殴り倒す。
幾千もの剣撃が交わりあった。炎が舞い、氷が煌めく。
最後に立っていたのはペルヴィだった。
私の背中からは刀身が伸びている。
「あの時みたいだね」
「......そうだな。燃やしはしない。残影を残すつもりもないからな」
「家を......任せたよ」
薄れ行く意識の中、”任せろ”と頼もしい言葉が確かに届いていた。
「いつまで寝ている。さっさと起きたまえ」
「うぐっ」
全身の激痛で意識が覚醒する。......どうやら賭けには勝てたようね。
「少しだけお前の知識に興味がある。取引するかはお前次第だがな」
「ありがとうございます。先に彼女を確認させていただいてもよろしいでしょうか」
「そこにいる」
2年前から変わらない姿のクリーヴに安堵する。良かった。
「
「それを知れると思うか? お前が提示する対価もなしに?」
「どうせ断片がありますよね? ペルヴィの様子を教えてほしいんです」
「ほう......。まさか断片を知っているとはな。一応確認してやろう。......ほほう。なるほどな」
さすが博士。理解が早い。そして作戦は成功していたみたい。
「良かろう。お前の価値を認めよう。お前は運も良いようだな」
「ペルヴェーレも興味深いな。いやはや、あの呪いにそんな使い方があるとは......取引成立だ」
「ただいまペルヴィ! 大きくなったわね」
「待っていたぞ。クリーヴ」
私がペルヴィに負けてから一年。博士との取引を終えた私はクリーヴと共に
「それにしても私まで助手として駆り出されるとは思わなかったわ。お陰で頭が良くなっちゃった」
「良いことじゃない。手伝ってくれてありがとう」
「上手くいっていて良かった」
私は博士に三つの対価の代わりに三つのお願いを聞いて貰っていた。
一つ目の対価。”未来”の知識。
要は原作の知識の一部を提供した。とはいえそのせいで旅人に迷惑をかけると最悪テイワットが滅びる可能性があるため必要最低限の話だけね。
二つ目の対価。”前世”の知識。
元素がないからこその知識を提供した。もしかしたら博士がより強大な敵として旅人に立ちはだかるかもしれない......でもきっと大丈夫だと思ってるの。だって”前世”の知識は”テイワットの外”の知識だからね。きっと話を聞いた断片は”禁忌”に侵されているはず。......違ったらごめん! 頑張って旅人! 旅人が博士と敵対するのは私達と接点を持った後だと思うから責任を持って力を貸すよ!
三つ目の対価。ペルヴィによる”断片”へ攻撃の中止。
一つ目と二つ目の対価だけだと立場的にも実力的にも一方的に搾取されてしまうと思ったの。だから博士を牽制する必要があった。ナヒーダが神の心を破壊して天理を呼ぶと脅したように、私は私とクリーヴに不都合が起きたらペルヴィが”断片”を燃やし尽くすと脅したの。
私達の命は軽い。だから博士からしたら私達の命を消すことで複数の”断片”が消されるのは割に合わないと判断すると踏んだのよ。
ペルヴィには呪いがあって違う物が見えると聞いていたから......”断片”について説明をすれば見える可能性があった。
ペルヴィの炎は記憶を燃やすと知っていたから......
とても危険な賭けだったと思う。もし私と対峙する”断片”が他の”断片”を気にしない人格だったら......脅しにもならずに知識だけ抜き取られていたと思う。クリーヴもそのまま保管して貰えずに助けられなかった可能性もあった。
それでも......それでも他に方法がなかった。三人で何度も話し合い、時にはお仕置きを受けながら......それでいて最後は外道で有名な博士に賭けるしかなかったのよ。
一つ目のお願い。冷凍保存したクリーヴの保管。
私はクリーヴとの決闘の時、氷元素で作った刀身の剣を使っていた。止めを刺したときもクリーヴを瞬間凍結しただけ。クリーヴの背中を起点にして刀身を作っていたからクリーブの体は貫通していなかったのよ。私が元素スキルを解除してクリーヴを復活させるまでの生命維持と復活後の健康状態の確認をお願いしたの。
二つ目のお願い。私の蘇生。
私とペルヴィの決闘でも最終的には私自身を瞬間凍結して決着をつけたの。でも自力で凍結を解除することができなかった。だから博士に私の蘇生を頼んだのよ。
三つ目のお願い。
私を蘇生して一年後、
どうせならと助手としていろんなことを手伝わされたけど......。
今日、やっと三人無事に戻ってくることができたの。
「綺麗なオーロラね!」
「ああ、本当に綺麗だ」
「こうして今の
「おおう! 三人とも無事でよかったなぁ!」
数年後、予言を無事に乗り越えたフォンテーヌにてリネと旅人が話をしている。
「僕達がこうして無事でいるのは
原作通りペルヴィはファデュイ
クリーヴは私とペルヴィの反対を押しきってお母様を引き継ぎ、私は何故か長姉様と呼ばれている。
新しくなった
博士に気に入られてしまった私はたまに呼び出されるようになっちゃったけど......私とクリーヴが生きていること以外は原作通りに進んでいるみたい。
召使いの伝説任務だけはクリーヴが生きていたため全く違うものに変わっていた。それでも旅人対召使いが発生したのには驚いちゃったけどね。
「これほど差があるとは思わなかった」
「お母様と長姉様もお父様と同じくらい強いって聞いてるよ」
「嘘だと言ってくれよ! あんなヤバイやつが更に二人もいるなんて信じられないぞ!」
ふふふ。クリーヴも無事に神の目を手に入れたし、実は邪眼も持っている。......よほどのことがなければ使わないけどね。
そして実は、私達三人の邪眼は私が作った特別製だったりする。博士の助手をしている間に私も邪眼を作れるようになっちゃったのよ。しかも原作の邪眼とは違って身体への負担は少ない上に特殊な特訓をしなくてもタルタリヤの魔王兵装と似たようなことができる上位互換なの。
だから原作よりもペルヴィは強い。当然だよね? 私とクリーヴというライバルも生きてるし。
女皇の目的も聞いたし、こっそりと聖地巡礼も行った。スネージナヤのオーロラだって見ることができた。
そしてもうすぐテイワットの運命を決定付ける戦いが始まろうとしている。
でも私達は絶対に負けない。だってクリーヴとペルヴィと......
あとがきという名の補足
Q.博士とどうやってコンタクトとったの?
A.クリーヴの死体()にメッセージを残しました。ちょっとした未来の知識を使って興味を引いています。ここも上手くいくか大分賭け。
Q.原作ではクリーヴとペルヴェーレが戦ってたのになんで主人公とクリーヴが戦ったの?
A.ご都合主義......クルセビナの意地悪です。ペルヴェーレを王とするのに仲の良かったクリーヴと主人公が邪魔だった。ペルヴェーレに直接二人とも手を下させるよりも主人公がクリーヴを殺すところを見せて友情なんて糞の役にもたたないんだよ。と見せつけるために先に主人公とウリーヴを戦わせています。
主人公もペルヴェールもクルセビナの意図を読んだためクルセビナが上手くいっていると勘違いさせるために主人公対クリーヴが終わった後は仲違いしたと見せていました。
ドラクエと原神のクロスオーバー二次も書いています。
良ければ読んでくださいな。
魔竜幼女ネドラが行くテイワットの旅
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