バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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与太話:トンネル?の怪①

 

 ルパン三世VS名探偵コナンTheMovieことヴェスパニア鉱石盗難事件から半月が経ち。

 私がアラン・スミシーを手に掛けた日は一日避けられて口をきいてもらえなかったが、些末な問題よ。

 いやいや、泣いてないから。

 翌日朝方、私が朝食の差し入れに来た時に目をそらしながら「助けてくれてありがと」とうつむきがちに小声で言ってくれたので良しとしようではないか。

 

 ちなみにだが、ヴェスパニア鉱石は無事ルパン達が回収し、ヴェスパニア王国へ返却したそうだ。

 一連の事件における死者はアラン・スミシーと、流れ弾に当たって運悪く昇天していたルチアーノのみ。

 

 ルチアーノに関しては死んでなかったら私が別途殺しに行く必要があったので、なんとなくだが五エ門先生がわざとやったのでは、という疑惑をぬぐいきれない。

 流れ弾というのも、五エ門先生の竜巻切りで弾かれた弾丸がルチアーノにヒットしていたんだよね。

 非効率だから普段はやらないが、五エ門先生ならば弾いた弾を狙った人間にぶつけるぐらいできそうなので事故死に見せかける程度造作もなさそうだ。

 

 ただし、そんな回りくどいことをする動機が薄いので本当に事故の線も捨てきれないのだが……ふうむ。

 

 私の方も任務失敗で多少のお咎めはあったが、ジンがかばってくれたためそう大きな問題にはならなかった。

 混戦になるのは初めから分かっていたことだし、自分にもそういう報告が事前にあった、と証言してくれたのだ。

 これが例えばキールだったりすれば、「疑わしきは罰せよ、だ」とかなんとか言って追い落としにかかるのに……兄貴…一生ついていきやす…!

 

 なお、銭形警部は全部終わって解散みたいな空気になったところでおもむろに水面から勢いよく飛び上がってきて、「逮捕だルパーン!」と躍りかかってきた。

 どうやら古い車なせいで脱出に手間取ったらしい。

 おいおい20分は水の中にいたぞこの人……割と命がけの脱出だったろうに第一声がルパンとは。まさに人生をルパンにささげた男である。

 

 

 と、そんなこんなで今現在。

 某県境にあるという田舎に住む依頼人の元から帰る、夕暮れ時のこと。

 

 事件についてはすでに済んでいるため詳細は省くが、因習村本当に怖いのは人間だった仕立て前中後編構成、みたいな感じだ。

 壊された祠をめぐり祟り殺されたという名目の死体がいくつも登場し、最終的には人を生きたままご神木の下に埋める因習のしきたりへと繋がっていく雰囲気。

 ひと昔どころかふた昔は前の推理小説的展開、お分かりいただけただろうか。

 

 案の定というか、そこでは金田一耕助の孫である彼と顔見知りとなった。

 高校生かつ同じぐらい頭が回るという事でコナン君と彼は気が合ったらしい。

 家庭的背景も趣味も性格も違うだろうに、意気投合して事件についていろいろ推理し合っていたのが思い出深い。

 

 まあ、元々真面目なできる君的雰囲気が苦手な金田一君は、にじみ出る端々が良家のおぼっちゃま風のコナン君とは事件以外では根本的に合わないようではあったが。

 巻き込まれカウンター型の金田一君と出現突進型のコナン君では推理に対する姿勢も違うしな。

 

 しかし、彼は気の抜けたおちゃらけと見せかけて、その頭脳の凄まじいこと。

 降谷さん&コナン君&金田一君の3人がかりで解けない謎は無さそうだ。

 無論、私は降谷さんにヒントを出されてようやく「ああ!」と気付くタイプの足手まといである。

 

 明智警視にも会ったが、私の顔を見るなり「なるほど…そういうことですか」と意味深な感じにうなずかれた。

 まさか降谷さんの警察学校時代を知っていたのだろうか。

 彼は確か28歳で、佐藤刑事と同い年のキャリア組。

 降谷さんの一個下のため、降谷さん達の残した悪い意味での武勇伝を聞いている可能性は否定できない。

 

 明智警視と金田一君の若干の衝突も無いではなかったが、これだけ頭脳派がそろっているのだ。

 猟奇殺人の続く因習村は速やかにその悪行が明るみに出ることになった。

 明日の朝刊・ニュースではこの話題で世の中は持ちきりになることであろう。

 

 などなど、充実した推理サスペンスを堪能した帰りのこと。

 

 借りたワンボックスカーを運転し、私たちは一路山を下って帰り道の途についていた。

 隣に毛利探偵、後ろに蘭ちゃんとコナン君を乗せて夕暮れの山道を走っていく。

 運転するのはもちろん降谷さんだ。私が山道やら高速道路など、とても怖くて運転できようも無い。

 

 というか、怖いという意味では山道なんぞよりよっぽど怖いことが今まさにあったのだが。それはそれ。

 

 トンネル続きの道の中でも特に長めのトンネルを越えた先で、私と降谷さんはよろよろと低速の車を路側帯に寄せて同時に大きなため息をついた。

 このトンネル、ちょうど位置的には因習村のご神木がある山を通っているようだ。

 中のライトも切れかけており、酷く明滅して視界が悪かった。

 

 私は後部座席のコナン君へとゆったりと声をかけた。

 

「起きてるかい、コナン君」

「……ふぇあー…うん、安室さん?パーキングエリアに着いたの?」

 

 今日起きた連続殺人因習村事件で体力を使い果たしたのだろう。

 先ほどまであんな状況だというのにぐっすりだったコナン君は眠そうに目をこすってぼんやり瞬いた。

 

「隣の蘭さんは起こせる?」

「え、いいけど……蘭姉ちゃん、起きて」

 

 揺さぶれども声を掛けどもピクリとも動かない。

 ばたりと、コナン君の方に色のない人形のように倒れ込む。

 コナン君がざっと顔を青ざめさせた。

 

「ら…蘭、おい蘭!しっかりしろ!っくそ、いったい何が、安室さん救急車を!早く!」

「スマホは圏外、車は不可思議なエンスト。それと、毛利先生も同様の症状で反応が無い」

「!!まさか今日の……毒か?」

 

 素早く思考の回転を取り戻したらしい。

 非常に現実的な線だが、残念。そうではないんだよな。

 

「うーん、何から話せばいいかな。まず、さっきそこのトンネル内で僕たちの乗ってる車が襲われてね」

「!!走行中の車を襲う!?どういうこと?」

「下手人はまだトンネルの中にいるから、ちょっと振り向いて見てみなよ」

「はぁ!?」

 

 思いっきり訝しげな顔をしたコナン君が後部窓からトンネルを覗いて……たっぷり10秒。

 ぎぎぎ、とさび付いた動きで私の方に振り向き、コナン君は「いやいやいやいや」と首を振った。

 

「見えたかな、下手人。こっちまでは追ってこないみたいだけど、陽光を嫌ってなのかトンネルから出られないのかは分からないんだよね」

「いやぁーー、僕ちょっと幻覚が見えるみたいで…早く救急車……」

「コナン君も気付いていると思うけど、この一帯が圏外なんておかしいよね。運転しながらなんとか僕が窓越しに振り払ったんだけど。嫌になっちゃうよね」

「うーん、えーっと、まさかアレが走行中の車に張り付いて……というか、蘭たちが目を覚まさないのは…」

 

 「そうだよ。多分蘭さん達は『盗られた』んだ」と自説を述べれば、コナン君の顔色はいよいよ真っ青になった。

 陽光を嫌ってあそこにいるなら非常にまずい。なにせもう夕方だし、日が暮れるのは時間の問題だからだ。

 魂を物質化した爪による一撃でなんとか撃退はできたのだが、返り血みたいな何かネチャッとしたものが魂に付いた気がして非常に不愉快極まりない。

 実際、降谷さんなんかは深層心理内で返り血まみれになってしまったらしく、今急ピッチでシャワールームを建設中だ。

 

 ああ、そうだ。肝心の下手人をまだ紹介していなかったな。

 およそ50mほど先にいる真っ赤なマダム風の服を着た品の良い女性……ただし顔のサイズが常人の5倍はあるし、カクカクした動きで笑顔のまま此方へ向かって来ようとしている。

 こちらへ向かって手を振り、口から血をまき散らしながらゲラゲラ笑っている。

 そんな彼女(?)が今回の下手人である。

 

 邪悪な湯婆婆かよ。大人しく湯屋に戻ってくれ本当に。

 




・赤い服のマダム
因習村と関係がありそうなナニカ。
常人にも見える。普通なら見えた時点で終わりのタイプの怪異。
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