バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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組織の収穫

 

 体が完全に回復するまでは、安全のため私達はまったりルパンのアジトで羽を伸ばすことになった。

 

 具体的にはちょこちょこ料理を楽しみつつ、あまり動かずできる宝石花作りに精を出した。

 

 すでに狐の彫刻師の名は不動のものとなっている。

 

 主に私たちが出している彫刻は三種類だ。

 大いなる謎が潜むと好事家の間で噂される宝石花シリーズ。

 二つ目の水晶を用いた宝石彫刻グラスシリーズは、安価に売り出すつもりがプレミアが付きすぎてとても普段使いできる金額ではなくなってしまった。

 

 そして三つ目として、最近は富裕層から「居間に飾れる大きな作品が欲しい」と要望を受け、巨大な大理石での彫刻にも手を出した。

 一応、これまでに世に出した作品は二つだけ。

 降谷さんが3日かけてデザインした贈答花&鳥の彫刻と、海をモチーフに日本の水族館に寄贈した大作だけだ。

 

 特に贈答花の彫刻については、一枚剥けばそこに本物の鳥と花が姿を現すと錯覚するような生命力と息遣い、と絶賛されることとなった。

 

 これには私も鼻高々。

 降谷さんの品のいいセンスあるデザインが世に評価されて嬉しい限りである。

 私はあくまで彫刻のみ、彫る係だからな。

 

 絵的センスのない私ではとてもこんな美しい作品を作ることはできなかっただろう。

 

 なお、水族館の方に関しては名を伏せて寄贈したため、子供が登って先端が欠けたり、雨ざらし野ざらしでカビが少々生えてきてしまっているらしい。

 

 耐久力を考えなかったのは私たちの失態だ。

 体が回復すれば現地に赴き、きちんと保存料等を塗布して責任持って管理するつもりだ。

 

 

 さて。話は変わるが、騒ぎといえば美沙さんの血の方もかなりの騒ぎになっているらしい。

 

 氷室の残党が漏らしたようで、「八百比丘尼の血を受けて生き残った男がいる」と裏の組織が血眼になって私を探しているのだとか。

 それがフォックステイルだというところまでは一部組織は掴んでいるらしい。

 

 なお、美沙さんに危険が及ばないよう、ルパンが意図的に噂を操作して注目を私に集めたとのこと。

 「悪く思うな?」と挑戦的な笑みで言われたので、降谷さんともども「上等。罪のない女の子を守るためなら満足ってものだ!」と答えておいた。

 いやはや、すっかりルパンに染まっている気がする。

 

 

 さて、そんなわけで私達は本日、組織の会合に呼ばれることとなった。

 

 まだまだ体調は八分といったところだが、仕方あるまい。

 組織のアジトの一つ、病院の併設されるそこにいるのはいつも変わらぬ銀髪ことジン、そして時は金なりおじさんRUM、最後にベルモットだ。

 

 ベルモットの顔は随分と憂いていて、私を見るなり悲痛そうに眉を下げた。

 まず重い口を開いたのはジンだった。

 

「テメェが不老不死の血を受けたってのは本当か、ウルフドッグ」

「……本当ですよ。失態でした。石川五エ門と次元大介と僕、三人がかりで傷一つつけられない強者に出くわしてしまったんですから」

「!!」

 

 さしものRUMもこれには目を見開かざるを得なかったらしい。

 ジンも困惑の色を強くして聞き返してくる。

 

「お前のみならず、あのルパンの一味がよって集って負けただと?冗談……という様子でもねぇな。あの氷室製薬のところにそんなバケモンがいたのか」

「ええ。影浦という二刀流の男でした。大抵の組織ならあの男を投入するだけでお釣りが来ます。恐ろしい強さでした」

「……最近になって武器製造の組織がどんどん謎の壊滅に見舞われていたのと関係がありそうだな。商売敵を物理的に潰してたってわけか」

 

 ふむ、とRUMが悩んでから、「氷室についてはその辺でいいでしょう。それで、あなたの不死性についてはどうです?」と片目を細めてニタリと笑った。

 

「大したものでありませんよ。少々傷を治す程度……と、言っても信じてはいただけませんよね」

「時間は有限ですから、何をするべきかは分かっていますよね?」

 

 つまりRUMが言いたいのは、この場で生き返ってみせろ、ということだ。

 ふざけやがって、死んだら化けて出てやる。

 

 ジンが銃を取り出した。

 冷徹冷酷……に見えて、その瞳が動揺に揺れていることが分かってしまう。

 私に銃向けて、ジンは苦いものを吐き戻すような苦痛をはらむ声を絞り出す。

 

「生きろよ、ウルフドッグ」

 

 パン、と軽い音。

 

 瞬間、胸に灼熱を感じる。

 心臓を過たず貫通した一撃に、遅れて口から大量の流血を嘔吐する。

 凄まじい痛みに降谷さんが崩れ落ちる。

 

 これで2度目だ。

 私はただ冷静に頽れた心臓を魂で編み直し、太い血管を繋ぎ、肺を修復し、折れた肋骨を元通りの場所に固定する。

 そして最後に八百比丘尼の血にて細胞をつなぎ合わせ、その修復を完璧なものとした。

 

 「素晴らしい…!」とRUMが白々しく拍手する。

 血まみれの床をそのままに、RUMは満面の笑みを見せた。

 

「これにはあの方もお喜びになるでしょう。それでは、データを取るためここの附属病院へ入院してもらいます」

「……それには及びません。氷室のところからデータを盗ってきてあります。僕の検査データも」

 

 入院なんてまっぴらごめんだ。

 押し付けるようにUSBを渡して言い募る。

 

「氷室は僕の体に何もデータ的異変がないことを訝しんでいました。通常のやり方で調べても無駄でしょうね」

「……念のため、2日ほどの検査は受けてもらいます。準備をしておくように」

「分かりました」

 

 氷室が検査をしたのは私に八百比丘尼の血を入れる前なのだが、まぁそれはそれ。

 八百比丘尼の血を魂内で解析していた私からすれば、どうせなにも情報は出ないことは明白だった。

 

 なにせこの血液、魂を媒体に肉体へと作用するものなのだから、魂の観測ができない限りなんの謎も解明されないというわけだ。

 

 時は金なりの言葉通り、ベルモットを連れてそのまま急ぎで次の場所へ向かうRUMの後ろ姿を見送りながら、私はようやっとずっしりと重い体をパイプ椅子に預けた。

 銃をしまったジンがどこか所在なさげに視線を彷徨わせている。

 

 そしてポツリと一言。

 

「………悪かった」

 

 ジンが謝った!?!?

 

「あれが一番手っ取り早いのは間違いなかった。あなたの腕だからこそ、ほぼ心臓のみを修復することに注力することができました」

「………」

 

 まだ何か言い足りないらしい。

 ジンは押し黙ったまま何も言わない。

 意外とこの男も繊細だったようだ。あっ、降谷さんが「オッエー、キッショ!!!」と吐き捨てている。行儀悪いぞ。

 

「てめえが言うんなら嘘はねぇんだろう。RUMに進言して研究に伴う拘束は最低限にさせる」

「いいんですか?これは組織の悲願にもつながる…」

「テメェはもう十分以上に組織に貢献している。このくらいの優遇はあって然るべきだろうぜ」

 

 フン、と息をついて憤りのようなものを逃したジンは踵を返した。

 帰るらしい。

 

 やさしい…兄貴ぃ……。

 

「ありがとうございます」

「気分転換になるよう、これが終わったら新鮮なガキのモツでも切り裂ける任務を用意しておく。暫しの拘束だ。気張れよ」

 

 優しげにも見えるような表情で、ジンは振り返って私へと笑いかけた。

 

 あっ、それは結構です……。

 




・傷心の兄貴
タバコが増えた

・ウォッカ
「ウルフドッグを撃たざるを得なかった!?なんて可哀想な兄貴!可哀想なウルフドッグ!こっち兄貴の好きな酒ですぜ!これも、これも、さあ座って!ウルフドッグへの入院土産を一緒に選びやしょう!気分転換に向こ(略)」
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