バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】 作:ラムセス_
一週間後。
エッジオブオーシャンのネットが開通しても、ガスバルブを通じた爆発もそのほか爆発物の設置も無かった。
どうやら日下部検事もこれ以上のエッジオブオーシャンへの干渉は諦めたようだ。
現在、風見さんとは状況の報告をもらうために通話中だ。
エッジオブオーシャンの無事にほっと一安心した風見さんだったが、しかしすぐにハッと気合を入れ直した様子で緊張した声を出した。
『あなたに失望されないよう、警戒は怠らず万全な状態で当日を迎えたいと考えております!』
「ははは、そう気負わずに」
『はいっ!』
返事にはなんだかやけに気合が入っている。
私に忖度している?いや、もう公安を抜けた一犯罪者に忖度する必要もないし、気のせいだろう。
降谷さんもわずかばかり首を傾げ、表に出て私に替わり返事をした。
「あまり気負い過ぎると失敗の元だ。適度に息抜きはできているか?あの職場は神経が休まらないことも多いが、お前も身体は大切にしろよ」
『……はい、降谷さん』
風見さんが従順に頷いたようだった。
風見さんはどうも、私も降谷さんも両方とも「降谷さん」と捉えている節があるようだ。
話が早くてありがたいし、大抵別人と扱われている中ではなんだか物珍しい気分になる。
電話を切り、降谷さんはPCを開いて作業へと戻った。
今から試みようとしているのは日下部検事のPCへのハッキングだ。
何か計画書に類するものが残っていないかの確認がメインの目的になる。
───ちっ、前に作ったバックドアからは入れたが、やはり証拠になりそうなものは何一つ無いな
───相手は検事ですからね。何が証拠になりうるかはよくご存知なことでしょう
しかしさすがは慎重な日下部検事。
ネットにつながっているPCに証拠を残すような真似はしない様子。
予備の捨てPCを独立させて使っているか、それとも古式ゆかしく安全に紙で作っているか。
詳細はわからないが、ネットの検索履歴も定期的に消してあるようだ。
ただ、Nor(通信匿名化ソフト)が入っていることは確認できた。
それだけ、と言ってしまえばそれだけの話だ。入れているからと言って何か罪に問えることでもない。
最近起動した形跡もあるため、これで彼が犯行を諦めていないという確信にはなる……と言った程度だ。
後ろでは、部屋の中に広げた子供用ビニールプールで大きな錦鯉が狭そうにピチピチと動いている。
鯉はパクパクと口を水面から出してじろっとこちらを見た。
これでも色・艶ともに最高級の錦鯉だ。市場価格に出せば良い値がつくだろう。
───餌か。こいつ食べ過ぎじゃないか?今日何度目だ?
───いえ、この大きさですし多少は食べるでしょう。お腹を空かして可哀想ですしあげましょうよ
───お前は甘過ぎるんだよ。デブったらこいつのためにならない
これは無意味に錦鯉を出しているのではなく化身/眷属をどれだけ出しておけるかのテストだ。
あと知能がどれだけあるかの確認も兼ねている。
よくよく触れ合ってみれば、こいつも普通の錦鯉ではなかった。
呼べば寄ってきて頭を出すし、撫でれば喜ぶし。教えれば多少の芸もする。
およそ犬くらいの知能はあるようだ。
だからどうしたって言うな。可愛いじゃろ。
鯉の餌やビニールプールも深層心理からとってきたものだ。
食べ物は通常深層心理で食べても腹は膨れないが、こちらに出した時点できちんとした通常の食べ物と変わらない性質に戻るようだ。
それがわかってからの動きは早かった。
スーパーに買いに行かなくてもいい!と嬉々として降谷さんが深層心理内に正式に食料品専門店を建てたのだ。
普通では売っていないニッチな調味料なども、深層心理で作ってしまえば手間なくすぐに手に入る。
あとは人体に影響が出ないかだが……。
紅子さんは警戒していたし、多少取り扱いに注意する必要があるだろう。
一応、いずれ風見さんを呼んで食わせてみようと言うことで話はついた。
それである程度はわかるはずだ。
また、大型食洗機や業務用の洗濯乾燥機も屋敷に設置済みだ。
現実で使用した食器や衣服は、その後深層心理に取り込んで洗濯、そしてまた出して使う。
こうすることで設備が貧弱なセーフティハウスでも家事を極限まで減らすことが可能になった。
まさに深層心理さまさまである。
神域に取り込んだときの出現位置も自由自在だし、言うことなしだ。
一応、昔作った後飽きて倉庫で埃をかぶっていたモビルスーツ的ナマモノを外に出してみようという話も出ている。
一昨日などは人のいない太平洋の先まで行って、無事起動を確認することもできた。
その後きちんとモビルスーツは深層心理内に戻した。
……うむ。
これはちょっと個人では背負いきれない。
ロマンとかもそうだが、割とシンプルに戦略兵器に片足突っ込んでるからだ。
───なぁ、少し思ったんだが、俺のガンダムで探査機撃ち落とせば良くないか?あれ、成層圏なんて楽に行けるだろ
───俺のガンダムってなんですか。……いいですけど、日本なんかでやれば衛星に映って国防の観点から大騒動、下手すればガンダムの写真が撮れて次の日の新聞の一面が「日本の新兵器!?モビルスーツは実用化していた!」になりますよ
何処のトンチキジョーク新聞の話だ。
海外の反応、みたいな記事が雨後の筍のようにポコポコ出現しそうな内容だが、流石にそんな世間を賑わせるようなことはしたくない。
───いいじゃないか。俺の魂は基本的に日本所属だし。モビルスーツは日本の兵器。間違いない
───軽率に宇宙世紀に突入させようとしないでください。それ、僕ら完全にモビルスーツ工場として全世界から狙われるやつじゃないですか
───はっ!俺たちを捕らえられるものなら捕らえてみるがいいさ!だろう、俺の相棒?
挑戦的な瞳で降谷さんが私をみる。
私は横の袋から鯉の餌を取り出し、パラパラとビニールプールに撒いた。
───……はぁ、それは最後の手段にしておきましょうね。流石にそこまでルパンに迷惑かけるわけにはいきませんから
───おう。あと鯉の餌はそのくらいにしろと言っただろう。デブ鯉が俺らの化身なんてごめん被る!
───おっと手が滑った。すみません
降谷さんが素早く体の主導権を奪い返し、鯉の餌が袋に戻される。
ああ鯉……ごめんな……。
・モビルスーツ
原作通りの性能。フィンファンネル付きνガンダム。トテモスゴイ。
冗談では済まされない性能なので神域の底に封印されている。