バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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ハロウィンの花嫁④

 

 コナン君からの緊急連絡を受け、私は現場に急行していた。

 

 コナン君いわく、ナーダ・ウニチトージティの連中が夫婦揃ってカフェにいたクリスティーヌ夫妻を襲撃したらしい。

 

 実際、ナーダ・ウニチトージティの連中はきちんとプラーミャを全勢力を以って狙ったらしく、集会所はもぬけの殻だった。

 本当に全員で行くとは、流石は復讐のための組織。

 

 拳銃を持って取り囲んだナーダ・ウニチトージティはクリスティーヌにこのように迫ったらしい。

 私たちはお前の悪行をしっている。正体を表せ、と。

 

 それを始めこそクリスティーヌは否定したものの、構わず村中元警視正ごと殺そうとするナーダ・ウニチトージティの様子に豹変。

 私に切り裂かれた傷跡を指摘されたのも化けの皮を剥ぐきっかけになったのだろう。

 

 隠していた傷を曝け出し、それが事故によるものではなくフォックステイルとの交戦によるものだと自白した。

 

 呆然とする村中元警視正の無力に罵詈雑言を吐き捨て、プラーミャは違法改造を施した短機関銃を構えた。

 それをナーダ・ウニチトージティは拳銃14丁で包囲し、応戦。

 

 しかし、やはり元は素人さん。

 短機関銃をうまく使って一人ずつ仕留めたプラーミャに軽く蹴散らされ、逃げられてしまったらしい。

 

 ……というか弱過ぎないかナーダ・ウニチトージティ!?

 あれだけ数がいたのに全滅かよ。

 

 いや、一般人が多少鍛えただけと思えば、プラーミャを形だけでも包囲できたことを褒めるべきだろう。

 

 今、プラーミャはコナン君を人質に逃走中だ。

 商業ビルの屋上に追い詰められたらしく、大量の警察に取り囲まれながら、おそらくは手配した脱出用のヘリを待っていることだろう。

 

 私はワイヤーを使い商業ビルの外壁に張りついて、およそ屋上から1F下の窓際の出っ張った縁に足をかけて上の様子を伺っていた。

 

 ここからコナン君を助けるには、痙攣一つ起こさせずに一撃でプラーミャを仕留める必要がある。

 とするなら、狙うは脳幹。

 背後から斬鉄爪で頭蓋骨を粉砕して、脳幹をぶち抜くのが最善手だ。

 

 上で一瞬光と爆発音が乱舞する。

 おそらくはプラーミャが手榴弾を投じたのだろう。

 警察官達の悲鳴や「救急車!至急救急車を呼べ!」という叫びが聞こえてくる。

 

 私は足音からプラーミャの大まかな位置を特定し、鉤爪をゆるりと構えた。

 これ以上放っておけば被害が広がるばかりだ。コナン君も死にかねない。

 

 そうして突入しようとした、まさにその時。

 

 バチッという派手な電撃の閃光が空を乱舞した。

 急いで壁際から頭をわずかに出して確認すれば、コナン君がキック力増強シューズで思いっきりプラーミャに電撃を浴びせていた。

 

 全身を激しく痙攣させて、プラーミャは哀れにも倒れ込んだ。

 

 どうやらキック力増強シューズの起動のための電力をそのままスタンガンに変える改造を施していたらしい。

 そのままコナン君は短機関銃を持つ手を蹴り上げた。

 ゴキっと派手に骨折したような音が漏れ聞こえてくる。

 

 その瞬間を警官達も見逃さなかった。

 

 確保ッ!!!と盾で武装した警官達が一気にプラーミャの元に傾れ込む。

 隠れて見えないはずの私の方を見て、コナン君は片手ピースサインでイタズラげに笑った。

 

 流石主人公、この世界の中心地。

 一人で身を守る程度はお茶の子さいさいということなのだろう。

 

 私と降谷さんは顔を見合わせ、にっこりと微笑みあった。

 

 

 

 

 

 とまあ。

 場はコナン君に任せ、私はハロウィン飾りから回収した爆薬液およそ80tを輸送するお仕事に戻った。

 

 流石は渋谷を丸ごと吹っ飛ばすための爆薬。凄まじい量だ。

 無論いくつもの会社に小分けにされて保存されていたので、風見さんを呼んで全てをあちらで処理してもらうこととする。

 

 そのあまりの量に唖然とする風見さんに、降谷さんは二瓶のサンプルをドンと机の上に置いた。

 

「風見、これを分析に回してほしい」

「……とんでもない量ですね。これほどの量の爆薬をいったいどこで使う予定だったんでしょうか」

「そりゃあ渋谷だろう。ご丁寧に液体火薬を入れるハロウィンの飾りも大量にあるんだ」

「いや………いやいやいや、そんな、まさか。こんな量の爆薬が渋谷で爆発したら、何百万人の死人が出るか…」

 

 まさに何百万人もの犠牲者を出さんとしていたのがプラーミャである。

 テロの規模で言えば地下鉄爆破ダム崩落すら超える超級のテロリストだ。

 

「火薬の組成の分析は公安に任せる。爆薬さえ中和してしまえばヒロの首輪の分解も楽だろう」

「ですね。すぐ手配します」

 

 言い切って、風見さんは少しばかり沈黙した。

 こちらを見て、様子を伺うように恐る恐る口を開く。

 

「降谷さん、公安に戻りませんか?」

「……なに?」

 

 驚いて降谷さんが風見さんをまじまじと見やる。

 風見さんは居心地悪げに視線を落とした。

 

「世界情勢の変化、など理由をつけてはいますが。やはりフォックステイルの情報と力は日本政府にとって、公安にとって大きな切り札でした」

「それで?」

「司法取引になりますが。上はあなたに戻ってもらいたいそうです。米国との駆け引きもあったそうですが」

 

 そこでふと、私はマモーとの一件で米国の軍事長官と話をする機会があったことを思い出した。

 長官は随分と私のことを気に入ってくれて、あの後も熱心に私のことを勧誘し続けた。

 その縁もあり、2度ほど長官からの依頼をこなしもした。

 

 ともすると、今回の急な公安の提案には彼の「親切心」が働いたのかもしれない。

 

 だが、やはり。心に残る蟠りというのは消えないものだ。

 降谷さんは吐き捨てた。

 

「都合のいい話だな」

「私もそう思います」

 

 あいにくと賽は投げられた。

 夫婦関係じゃあるまいに、元の通りヨリを戻すというわけにはいかないのだ。

 

 風見さんがいかにも何かの原稿を読み上げるように視線を逸らしながら口を開く。

 

「諸伏景光の身柄はこちらで預かっています」

「なるほど。脅す気か?それは悪手だぞ」

「私だって好きでこんなこと言ってませんよ!早く一部の腐ったお偉方を何とかしてください!」

「ははは、道理だな」

 

 上に渡しておいてくれ、と言って風見さんに一枚の紙切れを押し付ける。

 

 所詮紙切れ一枚だが、無視もできず燃やせもしない強靭な情報の書かれた一枚だ。

 実は昨日、ようやく白馬警視総監に御目通りが叶ったのだ。

 

 

 すなわち、決着をつける時が来た、ということだ。

 

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