バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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明日は旅行ゆえ、投稿できないかもしれぬ。許せ。


炎の記憶④

 

 速報。ルパンが逮捕された。

 

 ま、留置場程度いくらでも脱出できるだろうが。

 形だけでも心配するふりをしなければ拗ねるだろうから、帰ったら脱獄おめでとうのケーキでも作っておこう。

 

 先に釈放された一色まりやちゃんが心配なので、私は次元さん達と別れ、一人彼女の家に見に行くことにした。

 確か原作だと彼女の家が襲撃を受けるはずだからな。

 

 アジトの方も襲撃があるが、そっちには原作と違い斬鉄剣を取り戻した五エ門師匠がいる。

 特に問題はないだろう。

 

 彼女の家は一軒家だった。

 父から受け継いだものなのか、はたまた購入したのかはわからない。

 一般的な住宅とは言え地価の高い東都の駅から徒歩数分という場所だ。

 やはり優秀な研究者として収入も良かったであろう父の財産と考えた方がいいかもしれない。

 

 ドアのチャイムを鳴らせば、しばらくしてまりやちゃんが姿を現した。

 

「あなたは……フォックステイルね」

「はい。先日ぶりですね、一色まりやさん。あの時は失礼いたしました」

 

 まずは謝罪から。

 あれが何なのか自分でもよく分かっていないが、少なくとも初手から首を絞めるのが尋常ではないことぐらいは分かっているつもりだ。

 

 菓子折りと共に頭を下げれば、彼女は快く受け取って苦笑してみせた。

 

「気にしてないって言ったら嘘になるけど。でも、何か事情があったんでしょう?」

「……ご配慮感謝します」

 

 立ち話もなんだと招かれ、家に上がらせてもらう。

 女性の一人暮らしの家に上がるというのはちょっぴり緊張したが、まぁそれはそれ。

 私は居住まいを正して、できる限り礼儀正しく見えるように指を揃えてダイニングの椅子に座った。

 

「まず。あなたは悪党に狙われています。あのラボの主に、貴方に未来予知の遺伝子があることがバレたんです」

「それってどういうこと?」

「詳細は省きます。貴方の直感は遺伝子に刻まれた未来予知の能力に基づくものだとさえ分かっていれば、今はそれでいいでしょう」

「未来、予知」

 

 彼女は困惑の表情だったが、同時に納得もしているようだった。

 やはりあれが勘にしては鋭すぎるとは自分でも分かっていたのだろう。

 

 瞬間。

 ざざ、と体内をまさぐられるような不愉快極まりない感覚がする。

 まったく、見るなと言っているのに。

 愚かナ小サきもノよ。

 

「見ルな。再三にワタる不敬、許されマい。縊り殺そウぞ……ではなく。ええと、というわけなので、その超能力は大変貴重です。悪党に狙われる程度にはね」

「それって、あの地下施設にいたマイケルスズキのこと?」

「はい。おそらく今夜にでも襲撃をかけてくるでしょう」

「!」

 

 まりやちゃんが息を呑む。

 あの地下施設で見た光景を思い出しているのだろう。

 

「ルパンが言ってた。私の力は遺伝子工学の産物で、だからこそよりタタリ様の逆鱗に触れるって」

「………」

「貴方、あの最新の神、タタリ様とどういう関係なの?」

 

 無言。

 私の答えられることは何もなく、故にこそ黙らざるを得なかった。

 

 私だって聞きたい。

 あれが何なのか、私がどうなってしまっているのか。

 

───落ち着け、安室。どんなお前でもお前はお前だ。神の相棒か……いいじゃないか。胸が躍る

───遅い厨二病は痛々しいですよゼロ。あーー、私が祟り神になったらゼロのせいですからね!

───祟り神か。実に日本と言う感じで俺的には百点満点なんだよな。小さな祠でもアジトに作るか

───やめてくださいね!?

 

 

 ちょうど、その時のことであった。

 ぼうと勢いよく立ち上がる炎はガソリンを撒かれたが故か、入り口に炎と共に一人の男が立っていた。

 

 マイケル・スズキの用心棒、ゴンドウの襲撃だ。

 

 彼はニヤリと笑って手元のナイフを凶悪そうに煌めかせた。

 

「早かったですね。悪党というのはもう少し日が落ちてから動くものだとばかり思っていました」

「ふん。フォックステイルか」

 

 ゴンドウはゆっくりと近づいてくる。

 驚いて立ち上がったまりやちゃんが、姿勢を低くしていつでも逃げられる体勢を整えた。

 

 ルパンと銭形警部相手にタコ殴りできる相手に接近戦は悪手か。

 しかし、あまりグロテスクな戦いをまりやちゃんに見せるのはよろしくないだろう。

 

 一旦普通に戦ってみよう。

 

 私はそう考え、勢いよく踏み込んでゴンドウへと接近した。速攻だ。

 しかし、振るった爪は関節をうまく利用して刃を打ち払われた。

 ギリ、と肉が痛めつけられる音がする。

 

 そして滑らかかつ無音で足をかけられて転倒しかけるが、触手でなんとか体勢を立て直して距離を取った。

 

 ゴンドウが触手を使った不自然な動きに首を捻る。

 

「なんだ、今のは?」

「さあ。何でしょうね」

 

 短い戦闘だったが、この男が類稀なる技巧者だということがいやというほど分かった。

 正直近接戦だと翻弄されるだけだ。

 あれだけ鍛錬を積んだのにまだ上がいるなんて、ルパン世界はつくづく化け物ばかりである。

 

 仕方ない。

 腰から生やした九つの触手をうねらせ、もう一度接近する。

 

「なんだそれは!?さっきの動きの正体がそれか!」

 

 ゴンドウが狼狽えて叫ぶ。

 単純に手足が倍になったようなものだ。

 太い触手でゴンドウの手足を押さえ込み、そのまま無防備な腹に全力で蹴りを入れる。

 

 胃液を吐き散らしながら壁に叩きつけられ、ゴンドウは動かなくなった。

 相当な威力なはずだが、念のため拘束はしたままにする。

 これでも意識が落ちていない可能性も否定できないからな。

 

 大量の触手で放たれた火をむりやりもみ消して、私はまりやちゃんの方に振り返った。

 

「さあ、いったん僕たちのアジトへ避難しましょう。ここに一人でいるのは危険です」

「分かったわ。ありがとう、タタリ様」

 

 彼女はそう言って微笑んだ。

 

 物分かり良すぎないかこの娘。

 聞きたいことの百や二百は余裕であるだろうに、その言葉だけで止めるとは。

 それにこの真摯な瞳。真摯な感謝。真摯な祈り。

 

 ぽう、と胸の袂が信仰心であたたかく満たされる。

 私は柔らかく笑って、彼女の手をとった。

 

「善イ。不敬を許ス。加護を授けヨう」

 

 

 この娘が己の力を正しく制御できるように、私はこの小さき者に祝福ヲ授けタ。

 

 

 

 

 

 アジトへの帰宅途中。

 携帯にコナン君から着信があった。

 

『あ、安室さん?実は明日東都にオープンする巨大リゾートアクアポリスのオープン記念パーティに参加する予定なんだけど』

「うーん欠席しようね!!!」

 

 開幕とんでもないことを言われ、私は絶叫した。

 

 それに参加するなんてとんでもない!!!

 同じ東京開催の弊害だろう。

 そりゃ世界のVIP達が集まるパーティなら、鈴木財閥経由でコナン君の一人や二人参加するに決まってるわな!

 

『何かあったの?』

「うん。包み隠さずいうとそのパーティでルパンと一緒に巨悪とドンパチする予定なんだよね。園子さんも蘭さんも危険だから来ないほうがいいよ」

『それ本当!?計画の予定時刻は!?その巨悪って誰のこと!?』

 

 ああ、コナン君の声が輝いておられる…絶対参加するやつだこれ。

 私はぐっと奥歯を噛んで言葉を捻り出した。

 

「いいかいコナン君、銃弾と僕並みの近接戦能力を持つ下っ端が渦巻く超危険地帯になるんだよ?子供なんてゴミみたいに死ぬからね!?」

『……本当に行っちゃダメ?』

「荒事は僕らが解決しておくから、後の事件解決やら証拠集めやらを頼んだ。法の下の処罰は僕らにはできないことなんだから」

『……はーい。なら今回は大人しくしておくよ』

 

 真摯に真剣に言えば、コナン君も名残惜しそうにしながらも納得したようだった。

 

 ……本当に納得した?

 そう言って当日現場でしれっとサッカーボールが飛んできたりしないよね?

 

「本当かな?信用ならないので復唱して。はい、『僕は現場に行きません』」

『信用ないなぁ……えーっと、僕は現場に行きません』

 

 結局、なんとなく不安な感じになりながらもコナン君の不参加の約束を取り付け、通話を終えたのであった。

 




・タタリ様
根がバボ主なのでかなりちょろい。

・降谷さん
わくわく覡。心はいつだって小学生。
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