バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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炎の記憶⑤

 

「このアクアタワーは黒い彗星が占拠した!」

 

 黒い全身タイツを身に纏った戦闘員達がカチカチと威圧的に刃物を鳴らしている。

 

 場所はアクアタワー。

 そこではこのアクアポリスの開園記念式典が開かれており、世界各国のVIP達が招かれている。

 そこを白昼堂々、警備の警察官達を排除して占拠してみせた彼らの腕前は確かに違いない。

 

 どうやら、乾と巽の二つの徳川慶喜像が手に入ったマイケル・スズキは計画を最終段階に移すことにしたらしい。

 すなわち、遺伝子強化兵のデモンストレーションだ。

 

 このVIPの集まる場で騒ぎを起こすことで、自らの兵の優秀さを披露するつもりなのだ。

 まったく、だしにされる日本警察も迷惑極まりないだろうに。

 

 ちなみにだが、ルパンはすでに黒服の遺伝子強化兵に混じって潜入している。

 次元さんは五エ門師匠とともにヘリにて上で待機中。

 

 そして私はといえば、強襲役として窓から堂々とダイナミックお邪魔しますだ。

 

 パリーンと地味に間の抜けた音を響かせながら、入り口のガラス面を蹴破ってエントリー。

 一斉に銃口が私の方を向いた。

 

 紅白の服からぞろりと爪を出せば、向こうも私が何をしたいのか理解したらしい。

 「誰だ!?」「殺せ!」と怒号が飛ぶ。

 

 声と共に黒服の男達がVIP達の間を縫って次々と私の方へと殺到してくる。

 警視庁の警官達が軽々とやられた遺伝子強化兵だ。

 並の人間なら手も足も出ないだろう。

 

 私はというと、膂力は互角か、負けているくらい。

 速さとしなやかさは私が上だが、それもわずかな差だ。

 

 降谷さんの楽しそうな声が心のたもとに響く。

 

───やれるか、安室。強敵のようだぞ?

───ふふ。誰にものを言っているんですか?私は…私たちは石川五エ門の弟子にして斬鉄の名手、フォックステイルですよ?

 

 磨いてきた技術は私の方が何段階も上をいく。

 

 ジャガーのような動きは昔の私のようにしなやかだが、野生的で読みやすい。

 飛び込んできたところを顔を蹴り飛ばしてカウンター。

 さらに次の男は無防備な腹に爪の一撃でバッサリと。

 

 そうして4、5人処理すれば、流石の黒服達も怯んだ様子だった。

 

 次の動きは猫目の黒服だった。

 「動くな!」とVIPを人質に取られるが、構わず走り寄って鋭い突きで一閃。

 後ろの方に園子さんのお父さんである鈴木史郎会長の姿が見えた。

 

 なんとか被害を少なくするためにも、黒服達には私に人質は無駄だと思い込ませねばならない。

 

 そうやって半数以上が倒れた頃、リーダーであるゴンドウは舌打ちして前に進み出た、

 「お前は人質だ!」とわざとらしく叫び、マイケル・スズキを捕らえて俵抱きにする。

 このマイケル・スズキはもちろん黒幕なので、実際は偽装人質なのだが。

 ここは知らないふりで通す。

 

「僕に人質は無駄ですよ?わからなかったですかね」

「フン。貴様には無駄だろうが、後から来る日本警察を牽制するには十分だ」

 

 そう言い放って何事か無線機の向こう側に指示をし始めた。

 

 ビキリ、と降谷さんの額に青筋が立つ。

 「俺たちを前に警察の心配か。悠長なことだな」と絶対零度の瞳で呟いた。

 

 それには完全に私も同意だ。

 まさか私達を無視するような発言をするなんて、よほど命が惜しくないと見える。

 

 指示を耳をそば立てて聞いていれば、どうやら不測の事態のために逃走用のジェット機を自分たちのところでも用意していたらしい。

 

 本当なら世界のVIP達を人質にとってジェット機を奪い取る手筈だっただろうが、彼としてもこれは大きな痛手であり失敗なのだろう。

 私の方に敵意を持った瞳を向けて唾を吐いた。

 

 通信を終えたゴンドウが顎でしゃくれば、黒服達は一斉に窓から外へと雪崩を打って出ていく。

 その道中、動けない者は殺したりトドメを刺したりとみみっちい動きをしている。

 口封じのようだ。

 まったく、健気なことで涙が出る。

 

 これ以上ここで戦闘するのを避けるために黙ってゴンドウ達を見送れば、残ったのは多数の重傷者。

 

 戦闘での流れ弾だったり、人質になりかけて斬られたりと散々たる有様だ。

 「うう…助けてくれ」やら「痛い、痛いぃ!」やら悲鳴がこだまして地獄の様相を呈している。

 

 私は一つため息をつき、踏み荒らされたバッグから五十本ほどの御神酒を一気に取り出した。

 

 仕方ない。

 触手に御神酒を纏わせてわっと展開。

 負傷者の口に無理やり突っ込むという荒療治を開始した。

 まぁ、おじさん達の口に順番に手を突っ込むみたいなもんで、気分のいいものではない。

 

 だがこれも怪我人のためには仕方な……あっ、降谷さんがオエー鳥のアスキーアートみたいな顔をしている!

 

 気持ちはわかるが耐えろ!

 耐えるんだ!

 

 

 と、そんな行くも地獄帰るも地獄みたいな状況を終え、私が外に出た頃にはジェット機はとうに飛び立っていた。

 

 銭形警部がロープを使ってジェット機に引っかかっているのが遠くに見える。

 相変わらず凄まじいバイタリティだ。

 同じようなダイナミック密航をコナン君もしてたとかそう言う話はよくわからない。いいね?

 

 あとはルパン達に任せればいい……と、思っている間に唐突に空中でジェット機が真っ二つになった。

 煙を上げてジェット機の後ろ半分が海へと落ちていく。

 展開が早いがこれ大丈夫か?

 

 降谷さんが半分になったジェット機を見上げてポツリと言った。

 

───おい、あのジェット機、アクアタワーに突っ込むぞ

───え……確かに今日はやや風が強いですが、ルパンがこの手の運転を誤るとは……

 

 確かにこの角度ではもうアクアタワーを避け切るのは不可能だ。

 ルパン達ならくしゃくしゃなジェット機が爆発してもなんだかんだ無事助かるだろうが。

 アクアタワー一階にいるVIP達は死んでしまうことだろう。

 

 仕方ないが、やるしかない。

 

 触手をアクアタワー側面から大量展開し、ぶつかりそうなジェット機を触手でやわらかく包み込んだ。

 

「ぐっ……!」

 

 速力を失いフラフラとはいえ、相手はジェット機。

 ぐぐぐぐぐ、と触手が速力に負けて後ろに下がっていく。

 触手がジェット機に侵食し、ビチビチと灰色の触手が翼の間でうねる。

 

 全力で力を入れて踏ん張るが、すごい疲労感だ。

 ビル側面から生やしているため私自身が押されているわけではないのだが両手両足にバキバキに力が入ってしまう。

 

 無事に受け止めたジェット機のせいで触手が何百本も潰れていたが、痛みはないのでよしとする。

 ゆっくり下ろしたジェット機から「さ、サンキュー安室。もうダメかと思ったぜ」とルパンのヘトヘトの声がした。

 そして隣には「逮捕だマイケル・スズキ!」と怒鳴る銭形警部の姿があった。

 

 やっぱ銭形警部のバイタルおかしいだろうに。

 

「もう一分もすれば警視庁の警官が雪崩こんできます。逃げましょうルパン」

「おうよ。じゃあな、とっつぁん!」

「今は見逃すが、次は捕まえるからなルパン!」

 

 どう言う会話が二人の間であったかはしらないが、仲良きことは良いこと也。

 私は若干ほっこりした気持ちになりつつ、ルパンと共に下水道へひゅんっと退避したのであった。

 




・VIP達
触手に助けられた。信仰に目覚めそう。

・新築の神社
寄付金がたくさん来た。
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