バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

170 / 333
この調子なら今日も3話投稿できそう
やるぜやるぜ俺はやるぜ


黒鉄の魚影②

 

 顔認証ソフト「老若認証」の制作者、直美・アルジェントの誘拐に成功。

 

 縛り上げられたまま眠っている彼女の姿を見下ろし、私は今後のことに思考を巡らせた。

 

 彼女の誘拐は原作通りで、さほど苦労をすることもなく警備を掻い潜ることができた。

 水に濡れる金髪の美男美女とか言う特大に目立つ二人での犯罪は実に緊張したが、誰にも見咎められなくて済んで何よりだ。

 

 原作と同じく途中でコナンくんとニアミスしたのだが、分かっていても心臓が口から出そうになったものだ。

 

 結局、コナン君にこの件について電話はしていない。

 今回に関してはコナン君達の生死がかかるうえ、展開を変更した場合の流れがまるで読めないからだ。

 

だが。

 

 彼女の老若認証が原作で破壊されなければならなかったのは、このソフトが今身を隠している「あの方」の所在を白日の下に晒す危険性があったからだ。

 裏を返せば、このソフトをうまく使えば、最大の謎だったあの方───烏丸蓮耶の所在を知ることができるということ。

 

 奴を消すことさえできれば、私達の悲願は達成されたも同然。

 残りの残党など私一人でも処分できる。

 

 冷徹にならざるを得ない瞳で、私はするりと口角を上げた。

 

 ベルモットが直美の眠る部屋へと入ってきて私に声をかけた。

 

「彼女が老若認証のデータのコアを持っているはずよね。見つけたかしら?」

「ああ、すみませんベルモット。ぼうっとしていて…まだ見つけられていません」

「ちょっと、大丈夫なのキティ。昨日から貴方らしくもない。疲れてるんじゃない?」

「そう言うわけでもないはずですが。……いえ、やはりそうかもしれませんね。任務に支障が出ないよう気をつけます」

 

 心配そうなベルモットに、私は眉をやや下げて返答する。

 

 今も急速に高まっていく神性に気疲れしてしまっている節が無くもなかったからだ。

 できること、できないこと、新たなルールがどんどん増えて目が回りそう。

 己の拡張に伴い自分の人格すら変わってしまいそうで、背筋を撫ぜるような恐怖もあった。

 

 ふう、と息をついて視線を眠り続ける直美へと戻す。

 

 直美・アルジェントのペンダントをすっと持ち上げ、その中にUSB端末が潜んでいるのを確認する。

 ベルモットがやや目を見開いて微笑んだ。

 

「へえ、かわいい事するじゃない」

「意外とデザインもいいですよね。普通なら気づかれることもなくデータを持ち歩ける。いい手です」

「そうね…後で同様の製品が無いかを調べておいてちょうだい」

「かしこまりました」

 

 罠の可能性も考え、念の為独立したPCにUSBを差し込めば、速やかに中のデータが立ち上がった。

 中に入っているのは老若認証のコアデータと、複数枚の写真のみ。

 

 それはやはり。

 小学生・灰原哀のデータが逃げ出した黒の組織の研究員・宮野志保と一致したという、機密中の機密であるはずの情報であった。

 

 

 

 写真を確認するなり、ウォッカは語気を荒らげて熱弁した。

 

「あの女はガキに姿を変えて潜伏していやがったんだ!奴は研究者だ、そう言う薬を秘密裏に開発していてもおかしくねぇ!」

「下らないわ」

 

 ピシャリと言ったのはキールだ。

 ウォッカに緊急に集められたのだが、声だけで本心から呆れているのがわかる。

 あぁ?とウォッカが凄んだ。

 

「バカじゃないの?そんな夢のような薬を個人が秘密裏に開発できるなら組織は苦労なんてしないわ」

「だったらこの結果はどうだって言うつもりだ!」

「単にソフトウェアの判定ミスじゃない?若返りの秘薬なんて妄想に比べたら万倍はあり得ることよ」

「なんだと!!」

 

 キールは随分とトゲトゲしいが、言ってることは間違いでは無い。

 普通に考えれば若返りの秘薬なんてルパン案件がポンポン飛び出すはずがないからだ。

 そしてそれに加えてコナンくんの友達である女の子を守りたいという想いもあるのだろう。

 

 キールの嘲笑の裏側に真剣な表情が見え隠れしている。

 

 これ幸いとキールの発言に乗っかって私は口を開いた。

 

「何にせよ、この件の扱いは慎重になるべきかと思います。ただでさえ老若認証の案件はあの方直々の命令。あまり予定外の行動は推奨されません」

「……そ、そうだな。悪いなバーボン。俺も焦っちまってたらしい」

「念の為ジンに報告はしましょうか。それで指示を仰ぎましょう」

 

 と、この辺りが落とし所か。

 どうせジンならどんな話の流れであったとして、宮野志保の件であれば「そのガキを攫え」とか言うだろうし。

 

 ジンは宮野志保のことを虐めがいのあるクラスの気になる陰気女子だと捉えている節があるからな。

 恋愛と紙一重の、見つけると積極的に虐め倒す謎の厄介系執着を抱えている。

 

 電話するためにウォッカが部屋をバタバタと出ていく。

 ついでキールと疲れた様子のベルモットも部屋を後にすれば、中には私と直美・アルジェントだけになる。

 

───不味い流れだ。志保さんの身の安全が保障されないだけでなく、彼の……コナン君の正体がバレるかもしれない

───どちらにしろ老若認証だけは組織には渡せない。あんなものがあったらNOCは皆消されるしかないですから

───僕らが元公安だと言うことも当然明るみに出る、か。厄介極まりないな

 

 ここで直美・アルジェントを消すのも、選択肢の一つだろう。

 データを自壊プログラムが仕組まれてあったように見せかけて消し、舌を噛みちぎったよう偽装して殺害する。

 烏丸特定のためにデータのバックアップだけは隠し持てば、それでおしまい。

 それだけで大半の懸念は解消されるはずだ。

 

 ぴくり、と指が不随意に動く。

 同じ考えに至った降谷さんが冷徹に直美・アルジェントを睥睨した。

 

 直美・アルジェントの首に手がかかる一瞬前。

 

 ばっ、と扉が開かれ、ウォッカが重々しく告げたのだった。

 

「兄貴からの命令だ。あの写真に写っているガキを攫え、だそうだ」

 




・ベルモット
ペットの子猫ちゃんの元気がないわ、流れ弾で自身の不老もバレそうだわで完全に鬱。

・キール
ジンに肩を撃ち抜かれた怪我も治ってないのに呼び出されて、あげくバーボンは胡散臭さ全開で笑ってるしで苛ついている。
直美・アルシェントをどう助けようか思案中。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。