バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】 作:ラムセス_
哀ちゃんと直美・アルジェントが無事に潜水艦脱出を決意したらしい。
私が脅しかけをちょいとやり過ぎてしまったため、直美さんが抜け殻のようになってしまったからダメかもとは思っていたが……よかったよかった。
あの後の直美・アルジェントの様子は本当に酷かった。
泣いて泣いて、絶望のため息をするのもやっとという有様で。
気配察知で小さな子供の気配と大人の気配が2人揃って魚雷発射管室に入っていくのを確認できたときは本当に安心したのだ。
世界の眩むような絶望の中、きっと灰原さんに光を見たのだろう。
人間賛歌って感じで胸が熱くなるよね。
などとかけらも匂わせることなくジンに媚を売る今現在。
相変わらずの上機嫌で船内を練り歩くジンの姿は支配者のそれだった。
「備え付けのカメラで見てたぜ、テメェの脅しっぷり。流石ウルフドッグ。やるじゃねぇか」
「恥ずかしいですよ、結局良い返事は貰えなかったのであれは失敗の部類ですし」
「いや、あの女の心はもうズタズタだ。次で折れるだろうさ」
犬を褒める飼い主みたいに優しい(当社比)視線に、どうも居心地が悪くなる。
彼女が一人だったならそうかもしれないが、彼女のそばにはどん底から光を見た灰原さんが付いている。
それが彼女の心を光の方向へと引き上げることだろう。
つまり私の任務は完全に失敗だったのだから。
───それにしても、よかったな。欧州議員の父親がタタリ様彫刻を肌身離さず持っていてくれて。俺たちもあれで躊躇いなく銃撃を許可できた
───ですね。どう言う理屈か知りませんが、あの触手なら素早く救命処置ができますから
───いやなんでお前が理屈を知らないんだよ制作者
降谷さんに素早く突っ込まれる。
知らないものは知らないので仕方ない。私には触手を使った他人の治療なんてできないのだし。
じとっと猫目で見てくる降谷さんから視線を逸らす。
とはいえ、チラッと見えた彼のホテルの部屋にタタリ様彫刻が映っていなければ、こうもことを上手く運ぶことはできなかっただろう。
またタタリ様伝説の一つを刻んでしまうがそれはそれ。マッチポンプと言ってはいけない。
まったり雑談しながらキールの見張っているはずの部屋へと向かう。
見張りを押し付けたのは哀ちゃんらが逃げやすいようにするためでもあったが、私がジンに怒られたくないチキンさも否定できない。
だって嫌だろ!
これだけ好感度稼いでる相手に「見損なったぜウルフドッグ」とかいって銃向けられるの!傷付くだろ!
さて。
入ってみれば案の定、部屋はもぬけの殻。
瞬時に激昂したジンがキールの額に銃口を突きつける。
「これはどういうことだ、キール」
「知らないわよ。私はさっきかかってきたウォッカからの電話を中の直美・アルジェントに聞かれないように少し離れたけど、それだけよ」
「……良い度胸だ。死にたいらしいな」
「待ってくださいジン。これは管理者である僕の失態でもあります。彼女の行動にそれほどの非は見当たらない」
「…チッ。草の根を分けてでも探し出せ。奴らはこの潜水艦の中からの脱出を企てているはずだ」
本当にウォッカ以外には厳しい男である。
荒っぽく銃をしまって私に指示を出したので、私も慌てるふりをして部屋を出る。
私が庇ったのを予想外といった驚愕の顔で見るキールに少しばかり不服な気持ちになるが…それもまぁ当然か。
はてさて、彼女らの行方はすぐに見つかった。
走り寄ってきた下っ端乗組員の一人が「発射管室で誰かが不正に操作を行っているようです!」と叫んだからだ。
走って魚雷発射管室に辿り付けば、その頃にはもう海水が注入されて発射管扉は開かなくなっていた。
「ふむ。僕なら扉を斬り開けられますが、流石に危険過ぎますね。ここが水浸しになる程度で済むとは到底思えません」
「………殺すか」
「うーん。ですがもしあの少女が本当にシェリーなら、相手は若返りの薬を開発した知恵と知識を持つんですよ?処分なんてしたら僕らの方があの方から殺されません?」
「……………チッ。このまま海のど真ん中でのたれ死んでもらっても困る。ソナーを使って後を追わせろ」
「かしこまりました」
あとはコナン君に二人を任せるだけだ。
ミッションコンプリート。満足満足。
くふくふと内心笑いながら乗組員達に指示を出せば、呼びつけられた乗組員達は恐怖に顔を青ざめさせながら慌てて動き出した。
ノリで適当に乗組員達へ激励をかける。
「失敗した人員から3枚に捌いて行きますから気張ってくださいねー」
「はい!!承知しました!!」
「良い返事ですね。よろしい」
士気も高くて何よりだが、結局コナン君の囮作戦に引っかかって2人ほど皆の目の前で掻っ捌くことになってしまったのはご愛嬌。
いや、君らは上手くやったよ。ただ結果が出ないとこの組織では死ぬしかないわけで。
すまんの……。
まあ、無論だがこの乗組員達も多少の専門技能があるだけの悪党である。
特に後腐れはないし、降谷さんも無関心そうに無表情のまま視線を動かしただけだった。
・降谷さん
罪悪感に無表情と化している。
許せとは言わない。これも俺の罪だ。