バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】 作:ラムセス_
留置場から逃げ出して今現在、たぶん諸伏さんも散々話し合ったので脱走にも納得してくれた頃かと思う。
次なる任務はお宝返却大作戦。
ウィリアムズ氏が昔盗んだ六つのお宝を、元の場所に返しにいくという変則的なお仕事だ。
六つ返し終わればウィリアムズ氏のお宝、トリックダイヤが手に入る。
それを求め、ルパンは動き出すのである。
返却対象物の隠された暗い教会の地下にて不二子さんと話をして、私たちが頷き合ったその時である。
私は静かにルパンへと警告した。
「外に気配があります。数は六。恐らくはロシアンマフィアのお礼参りかと」
「あらー、しつこい奴らだこと。俺らはこのお宝を運ぶから、弾払い頼んだー!」
「承知しましたルパン」
瞬間、上の階でサブマシンガンが盛大にぶっ放される轟音が石造りの部屋を揺らした。
無理やり地下室へと押し入ってくるつもりらしい。
全弾軽く弾き返して、同時に角度を調節して跳弾にて敵を倒すことニ、三、四人。
それに狼狽えた残りの1人も近接戦で武装全解除。
サブマシンガンを破片になるまで切り落とし、残るは凛とした佇まいの女性が1人。
美しい女性マフィアは銃を構えて優雅に笑った。
銃口が光を反射する。
瞬時に六発。どれも関節を狙った恐るべき射撃能力が私を襲う。
それを難なく打ち払えば、女性は腰にさした短剣をするりと抜いた。
どうも短剣もかなりの使い手のようだ。ビリビリとした殺気が絶え間なく私へと浴びせられている。
まず軽く一閃。爪の攻撃は短剣にて防がれた。
間髪入れず左手の爪で道を横薙ぎにすれば、女性は高く飛んで回避した。
空中で私の側頭部に蹴りを放つが、そちらはしゃがんで回避。
中々の腕だが、化け物とはいえない程度。
ルパン界隈でも堅実に中堅組織のトップを狙えるだろう腕前だ。
私は不意をついて射出式ワイヤーを彼女の右手に巻きつけ、こちらへと勢いよく引き寄せた。
素早く体勢を立て直して短剣を向けるも、地面の踏ん張りが利く私の方が有利である。
短剣を弾き返し、右脇腹を大きく切り裂いてから、私は急いで離脱した。
もうルパンが逃げ切ったころだ。そろそろ私も車に乗らねば。
「トドメは刺さないつもりか!!」と激昂する女性を置いて、私はルパン達と共に夜の闇へと姿を消すのであった。
さて。
それからはいつも通りの流れ作業だ。
ローマにて真実の口をさらっと返却し、ヴェネツィアでは1700年代の名もなきポットを返却し。
どうも価値の振れ幅のでかいあたり、ルパンの友人の怪盗という感じがする。
映画の撮影で使われたゴンドラって盗んでどうするんだという感じであるのだが、まぁウィリアムズ氏本人がそれで満足なのだからいいのだろう。
途中、五エ門師匠に会ったのだが、ルパンが師匠を騙してお宝を返却させようとしていたので割って入る珍事があった。
にししと笑うルパンの前に出て、年代物の金のポットをぶんどれば、ルパンは目を白黒させたようだった。
「師匠を騙すのはやめてください!僕が代わりに行きますから」
「なに!?謀ったのかルパン!」
「あちゃー。うーん、ま、言葉のあやというか何というか。悪いな五エ門」
「お主というやつは!本当に油断ならん!!」
ぷりぷりと怒る五エ門師匠を「未遂なので許してあげてください。僕はこれからこれを返しに行きますので」と宥める。
五エ門師匠は目を吊り上げてルパンを睨み、大きなため息をついた。
「弟子の頼みだ。ここは大目に見るが、次はないぞ」
「はーい。反省してまーす!」
1ミリも反省していないニコニコ顔のルパンが揉み手で返事をする。
こりゃダメだ……と五エ門師匠も思ったのだろう。
無言でルパン達の車に乗って「ヒッチハイクは疲れた。お主達の車に乗せてもらうぞ」と完全相乗りの姿勢に入った。
なんだかんだ、仲のいい人たちである。
そこで私がさらっと裏口から忍び込んでポットを返し終わると、スマホに着信があることに気がついた。
どうやら相手は不二子さんのようだ。
通話に出れば、カフェらしい雑踏の向こう側に不二子さんの声が聞こえてくる。
「ねぇ狐ちゃん、私と組まない?」
「……というと。トリックダイヤをルパンたちから頂戴してどこぞの組織へと売り飛ばした金を僕に分けてくださると」
「そう。本当に貴方は話が早くていいわね」
「配分は、貴方の想定だと8:2とかですよね。めっちゃぼってくるじゃないですか。流石にどうかと思います」
「じゃあ7:3でいいわ」
「やめてください。それ10:0って聞こえます。8:2でいいですから勘弁してください」
「あらそう?いい子は嫌いじゃないわよ」
完璧に尻に敷かれるスタイルだが、正直なところ金には興味がないし、それ以上に不二子さんのやり方を学ぶチャンスなので妥協する。
不二子さんも私の望みが学習なのは百も承知なので、こうして適当な言葉遊びで終わらせる。
まさにWIN-WIN。
実に気持ちのいい取引である。これだよこれ。
本当に不二子さんが2割くれるかはその時の気分次第だが、恐らくは渡しても今後の取引のため構わないと本気で思っているだろう。
いやまぁ、今回のトリックダイヤの件は宝としては「思い出こそが至高の宝なんだ」みたいなオチなので二割も三割も無いのだが。
宝としても結局はルパンの目の前で展開されるのだから、不二子さんと組んでも裏切ることにはなるまいよ。
こんなやりとりもタタリ様の影響が強くて神に寄ってしまっていた時はできなくなっていただろう。
やはり神というのは足枷にしかならないものだ。
不二子さんが優雅にふふふ、と笑って身じろぎする音がする。
「ねぇ、今後もあることだし明日の夜に私と食事でもしない?」
「勿論。いいお店があるのでエスコートさせてください」
「素敵ね。楽しみにしてるわ、狐ちゃん」
ピッと電話を切り、ふと振り向くとそこにはサル顔があった。
くしゃくしゃなむっすり顔でルパンが私を見ている。
どうやら帰りの遅い私が気になって見にきたらしい。
私は何事もないようにスマホを懐にしまい、笑顔を作った。
「別に何でもないですよー」
「嘘つけぇ!!!!」
ルパンが叫んだ。
何ともいえず難しい顔で「腹芸族は本当に怖いな…」などと感想を漏らす降谷さんをそえて。
・不二子さん
それなり以上にバボ主を気に入っている。
ルパン並に話が早いし、五エ門並みに強いし。護衛として本気で組んでもいいかなと思っている節がある。