バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

186 / 333
緋色の弾丸②

 

 コナンは昴と車の中でしばしの密会を果たしていた。

 

 元は昴からの声掛けだったが、コナンとしても渡りに船。

 今回のWSG誘拐事件と似たような事件が15年前にも起きていたことを昴から聞かされ、コナンはしたりと頷いていた。

 やっぱり、と苦い顔を隠さずに奥歯を噛む。

 

 昴が意外そうな顔をして交差点を曲がった。

 

「何か知っていたのか?」

「安室さんが何か言いたそうな顔をしていたから、きっとこのことだったんだろうなって」

 

 コナンは「顔に出てんだよバーロー」とぷっくりと膨れてむすっとした。

 安室という男が最早謎でしかない能力で事件を解き明かすことを、コナンはとうの昔に理解している。

 そして、その智慧を頼るのは探偵としてズルであるとも断じていた。

 

 それはそれとして、子供扱いされているようでプライドが刺激されるコナンではあったが。

 

「安室君も相変わらずだな。いや、公安から出奔してますます好き勝手するようになったというか」

「にしたってやりすぎだよ。対外的にはルパン一味なんだから多少はわかるけどさ、彫刻に変装顔出しに。隠れる気あるのかなあの人」

「元来目立つ性分なのだろう。彼も降谷君も。何かと駆けずり回っていたからな、組織でも」

 

 前に昴から聞いたところによると、変なところで一般人的な感性を見せて組織でも目立っていたらしい。

 一緒に任務をこなすことになった幹部に菓子折りを配ったり。

 お菓子とドリンクの出る情報交換会なる話し合いの場を下っ端と設けていたり。

 

 バリバリの裏社会である黒の組織では目立つことこの上ない行動である。

 

「降谷零君とはあまり話したことはないが、あのプライドの高さと鮮烈な眼差しを見るに人に埋もれるような安っぽい男ではないことは確かだな」

「ははは…」

 

 昴の言葉にコナンは苦笑いだけで返した。

 まず最初に「プライドが高そう」が感想に出るあたり、降谷は降谷で凄まじいアクの強さは確定である。

 

 米花町を一周するようにハンドルを切り、川の前で左折する。

 昴がチラリとコナンの姿を横目で確認した。

 

「今回安室君が出席すると聞いて、急遽WSG会長であるアラン・マッケンジーも壮行会に参加することになったしな」

「……過去の経歴を見たら、15年前にはFBI長官もやってた人だよね」

「そうだな。次期大統領候補とも目される人物だ。是が非でも狐の彫刻師は取り込んでおきたいのだろう。米国は今は彫刻の是非を巡り真っ二つに割れているのだからな」

「あー……」

 

 コナンはなんとも言えずに言葉を濁した。

 

 二つに割れる米国。

 すなわち新しい祝福・科学の源としてタタリを受け入れるか、偽りの救い・人類文明を貶めんとする罠として排除するかだ。

 

 コナンもニュースで報道されているため、問題の表層ぐらいは理解している。

 日本では割とスムーズに受け入れられたタタリ様だが、米国ではそうはいかないのはすぐに想像がついたことだ。

 日本では他国と違い神社に堂々と飾ってあることも大きいかもしれないが。

 

 海外、特にアメリカだと貧富の差に加えて宗教的な問題から、タタリ様像に触れられる機会に格差が生まれている。

 また医療関係者のデモも起き始めているらしく、それが大きな社会問題にもなっていた。

 

「昴さんは行った、あの神社?」

「ああ、任務でな。あそこの警備は尋常じゃないな。あと外国人の数も。病人に混じって目をぎらつかせた男達が幾人も行き交っている」

「その任務、後ろ暗いものは何もない任務だよね?」

「それは流石にボウヤ相手でも言えないな。少なくとも、安室君を敵に回すような愚かな真似は米国もしないだろうよ」

「本当かなぁ」

 

 疑わしそうなコナンの声に、昴はふっと小さく笑ってみせた。

 

「この後ボウヤはどうする?」

「ひとまず毛利のおじさんに来る情報を待って出方を窺おうかと思ってるよ。どうせ犯人は捕まってるんだし。それに、もしかしたら安室さん側から何かコンタクトがあるかもしれない」

「そうか。俺の方も追加情報があったら連絡を入れるとしよう。もしかしたら長官から何か連絡があるかもしれん」

「アランさんから?」

「いや」

 

 端的に言葉を切って口角を上げる姿には、赤井秀一の影が見え隠れしている。

 コナンが「昴さん、赤井さんが漏れてるよ」と指摘すれば「おっと失敬」と言って首を振った。

 

「国防長官の方さ。今の俺は死人だからな。所属なしをいいことに方々にこき使われてるのさ」

「……くれぐれも政治的な争いを阿笠邸に持ち込まないでね」

「勿論だとも。今も元気に世界中を飛び回っている明美に誓ってもいい」

 

 いつのまにか車は米花町を一周し、毛利探偵事務所の前まで戻ってきていた。

 スバル360がゆるく速度を落とし、路肩へと停車する。

 

 コナンはシートベルトを外して別れ際に昴へと問いかけた。

 

「あ、明美さん最近はどうだって?」

「ルパンを3回も捕まえて、かの銭形警部殿は上機嫌だったそうだ。お祝いに和定食を作ったら喜んだと言っていた」

「な、なるほど……3回……?ひとまず元気そうでよかったよ」

「ああ。スコッチも幼馴染を無事締め上げて話し合いができたというし、彼らが嬉しそうで何よりだ」

「うーん???」

 

 ルパン一味と銭形一派の摩訶不思議な関係性に、何度聞いてもコナンは首をかしげざるを得ないのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。