バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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探偵活動

 

 シェリーのいる研究所から帰ってからは流れ作業だった。

 

 鬱々MAXな降谷さんをなんとか叩き起こし、公安との今後の調整。

 調べ上げたFBIのアドレスにも例のスナッフフィルムを送りつけて、証拠となる通信媒体を破棄した。

 足がついてSATやらが出動したとして怖くもなんともないが、やはり目立つことは控えねばなるまい。

 

 夜はすこぶる上機嫌なジンとの飲み会だ。

 あのスプラッタフィルムの件で大いに盛り上がり、推しのサッカーチームが優勝したみたいなテンションのジンがひたすらに私を誉めまくり、シェリーがいかに醜態をさらしたかを罵倒しまくり。

 最終的にこの場はジンの奢りとなった。

 お前ほんと……ほんとそういうとこやぞ……。

 

 ヤケっぱちでいい酒をカパカパ飲んでやったのだが、魂で思考する転生者たる私が酔うはずもなく。

 心理の底で降谷さんの呂律が回らなくなるだけだった。

 

 後日電話をくれたウォッカもウォッカだ。

 兄貴が嬉しそうだった、兄貴がウルフドッグのことを褒めていた、兄貴が、兄貴が……。

 お前はジンのこと好きすぎか?

 

 もう皆あの悲しい事件については忘れようぜ。

 話が出るたびに降谷さんが布団に引きこもろうとするんだから、毎度毎度それを無理やり引きずり出す私の身にもなってくれ。

 

 ちなみに、逆にキールあたりは「前々から思っていたけれど。貴方、悪趣味ね」と一刀両断だった。

 NOCの貴方からすればそうでしょうね…。

 でもその絶対零度の蔑んだ瞳でこちらを見るのは止めてください死んでしまいます。

 

 また、下っ端たちとの関係性にも変化が生まれた。

 廊下ですれ違うたびに震え上がるようになった。

 下っ端達を絞り上げて話を聞けば、どうやら裏切ったらどうなるかの教育フィルムに私の処刑動画が使われるようになったらしい。

 発案はジン。あの銀髪やってくれやがるぜFxxx。ついつい言葉が汚くなる。

 

 もはや心の支えは五エ門先生との死合のみである。

 誤字にあらず。死線の先に見えてくるものがあるというものだ。

 

 ついこの間、五エ門に突如「そろそろ実戦で学ぶのもよかろう」とかいってルパンの案件に駆り出された記憶が真新しい。

 乱れ飛ぶ手榴弾、容赦なく発射される対戦車ミサイルなど軍事兵器には事欠かず、同席したルパンも「死ぬなよ~ウルフドッグ!死んでも責任は取らねーかんな!」と笑いながら発言する程度の修羅場であった。

 あくまで忍ぶことがメインの黒の組織では体感できない、想像を絶する現代兵器の暴力の嵐だ。

 本物の紛争地帯舐めてたわ。死なずに本能だけで地雷原を走り抜ける体験だけでも私の柔らかい心臓がつぶれそうだった。

 

 降谷さんは「泥棒の仕事に私用で参加するのはさすがにいただけない」と否定的立場だった。

 しかし、ルパンの動向を監視するためとして公安から正式に許可が下りてしまえば前言撤回せざるを得ず、ちょっとむくれながら某国秘宝を盗むお手伝いと相成ったのである。

 

「降谷零、だっけか?二重人格の捜査官たぁ珍しいコト!仲良くしようぜ?」

「どこから俺の名を調べた!?───正直ルパンなら何処から情報を得てもおかしくないと思いますよ、主人格」

「そゆこと。俺にかかればこの程度ちょちょいッとな」

「諜報ならルパンに師事を仰ぐのもいいんじゃないでしょうか。ねぇルパン。───いやそれはダメだろ。警察官として」

「んー、どうしよっかなー。おじさんも忙しいしなー」

 

 などと弄ばれつつ、一週間の研修期間は矢のように過ぎていった。

 

 そこでの訓練の結果、五エ門先生の教えが生き、新たに私は戦闘ヘリの一斉掃射を鉄爪で防ぎ切る絶技を習得することができた。

 コレそろそろ違うアニメじゃないかな、と思う今日この頃。

 ……え?戦闘ヘリの一斉掃射を避けるなんて原作でもうやってる?純黒の悪夢を見ろ?

 そんなこともありましたね……。いやアレはアレで何なんだよ一体。

 

 そんなこんなで組織の凶爪バーボン、ウルフドッグの名声は悪い意味で高まるばかり。

 

 公安の総まとめたる黒田管理官直々に「そろそろ自重しろ」と一言注意されてしまった。

 どうやら公安でもバーボン脅威説とか出ているらしく、対外的な問題も考えて今のうちに処分したほうがいいんじゃないかと上層部の間でささやかれているらしい。

 

 ここで公安がバーボンを切れば反社会的組織に無料で戦力を贈呈してしまうようなものだから、私たちの無事が保障されているとはいえ。

 動き辛くなるのは間違いない。

 風見さんも報告を上げるたび毎度毎度胃痛が酷そうで、私としても非常に申し訳ない思いでいっぱいだ。

 

 そんな私の八面六臂の活躍に触発されたか。

 降谷さんもルパンとの邂逅をきっかけに最近は私に負けじと諜報・話術方面の腕を機会があるたびに磨いている様子だ。

 私の動きの合間に「私立探偵・安室透」として各方面に手広く動いている。

 組織には「社会勉強のため」とか適当なこと言って許可させているが、組織もガバガバ過ぎか?

 

 それを聞いたウォッカが「成長したな、バーボン……!」とか卒業式に出席するカーチャンの顔で言うものだから、危うく噴き出すところであった。

 

 そんなわけで、今週の任務はお休み。

 

 代わりに今は安室透宛に来た浮気調査の依頼を進めているところだ。

 標的の後を気付かれぬようにじっくりつけ回し、証拠を撮る地道な作業。

 相手の生活リズム、行動パターンから最適な場所と時間を読み取る頭脳。

 私の不得意な分野ばかりだ。

 

 降谷さんが帽子を目深に被り、50メートル手前の男を一定のリズムで追っている。

 私はその気配を内側から感じ取り、主人格へと助言する。

 

───ターゲット、警戒の気配があります。もう3メートル後ろへ下がるべきかと。

───了解。

 

 気配を探るは獣の得意とするところだ。

 同時に、本能によらない技術としての追跡は私には到底真似できない。

 これはつまり、良いとこ取りというやつだ。

 研ぎ澄まされた本能と感覚とを私が提供し、人の技術の粋を降谷さんが行使する。

 

───主人格、もう昼ですよ。そろそろ昼食にしません?

───まだ依頼の途中だろうが。あと1時間は待て。最低限今日で密会現場を押さえておきたい。

───そんなご無体な。明日でいいじゃないですか。

───いいわけあるか。つべこべ言ってないで集中しろ。

 

 はーい、としおしお萎れて降谷さんの言葉に従う。ハラヘッタ。

 これが何だかんだ私に甘いウォッカなら「仕方ねえなぁ」とか言って飯の時間にしてくれるのに。

 

 

 ああ。

 もはや原作開始は秒読みだ。

 

 私はその時を内側にて狩りの如くじっと待つ。

 それがより良き未来であると信じて。

 

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