バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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ハロとの遭遇

 

 木馬荘からほど近いセーフティハウスに、犬が1匹触手が3匹の大所帯がやってきた。

 

 触手はいつもの長さが不揃いな黒いニョロニョロたちである。

 任意で目と口も生やせるし、泣きも笑いもする。

 犬の方は白の雑種で、ポメラニアンにも似た小型犬だが少し柴犬に近いらしく凛々しい顔立ちをしている。

 野生でありつつも真っ白い色に特徴的な眉毛。

 まさに間違いなくこの犬は原作で言うところのハロであった。

 

 触手達は犬を荷馬車代わりに使っているのか、自身の私物を風呂敷に入れて犬の背中にくくり付けていた。

 自身も器用に小さな小さなバッグやら風呂敷やらで身を包み、完全なる旅姿だ。

 

 ちょっと気になって犬の背負った風呂敷をのぞいてみれば、荷物の中身はころりとした大ぶりのドングリだった。

 トトロかな?

 

 触手達は「きぃきぃ」「みっ」「くぅーん」と三者三様の鳴き声をあげて家に上げろと訴えている。

 長旅で足が疲れたとのことだ。

 足ってどこだよ君たち。

 

───どうします、降谷さん

───触手は家が壊れての帰宅組だろ。流石に上げないわけにはいかない。だが犬はなぁ

───僕ら移動が激しいですからね…特にルパンと一緒にいる時は世界中を飛び回りますからとても飼えませんよ。ただこれ、僕らじゃなくて触手の家畜っぽいですし…

 

 触手が移動のための足として使ってる犬を勝手に追い出すのも筋違いだ。

 

 犬が眉毛を下げ、くぅーんと哀れっぽい声で鳴くので、仕方なく一度セーフティハウスの中に上げることにした。

 やっぱ本家本元の愛玩動物は可愛さが違う。気づいたら言うことを聞いてしまってたいへん危ない。

 

 

 

 

 触手達はそれぞれ荷物を犬から下ろし、いたわるように犬をブラッシングしてあげてから部屋の隅でくつろぎ出した。

 しかもちゃんと犬の餌も用意したらしい。

 触手の一匹が帽子代わりにしている小物入れを裏返しにして、そこに具現化したドッグフードをカラカラと入れた。

 犬は喜んでムシャムシャと餌を食べている。

 

 小さな水入れも隣に用意していたらしい。

 そこに腰に差した小さな小さな水筒から水を注ぎ入れる。

 

 私たちは何とも言えず身を寄せ合って話をした。

 

───めっちゃ江戸時代の旅人感ありますねコレ…触手文明が芽生えてますよ

───こんな文明的な生き物だったんだな、触手って

 

 ひとまず重要なことなので、ごほんと咳払いをしてから重々しく触手達に告げる。

 

「えーっと、君たち。あのね、僕達は忙しいから、そのワンコは飼えないからね」

「!?!?」

 

 触手は衝撃を受けて固まってしまった。

 数秒硬直してから、堰を切ったように「ギィギィ!!」「みぃーっ!」「キィキューン!」などと一斉に犬を庇い出す。

 私がそれに取り合わないと、涙さえ湛えて犬に縋りつき出した。

 ヒンヒン泣いている。そんな鬼畜生みたいに言わなくても良いじゃない。君らの本体だぞ私は。

 

───本当どうしましょう?自分達で面倒見るって言ってますけど、散歩を触手に任せるわけにはいきませんよ

───予防接種もペットシャンプーも爪切りもあるしな。それぐらいなら俺たちがやってやれないこともないが、散歩ばっかりはな……

 

 おうおうと号泣して触手たちが犬にへばりつき、犬は迷惑そうな顔をして「フン」と息をついている。

 鼻先で触手を突き回し、触手は余計におうおうと泣いた。

 

───沖矢さんに任せるってのはどうでしょう。定期的な僕らとの接触名目ができるのは米国的にも大賛成でしょうし、触手の観察も間近でできるとあらば断られはしないでしょう

───あの暇そうなFBIに俺たちの触手を任せるのは気に食わない。それならコナン君に任せたい

───あー、なら毛利探偵に謝礼を渡して犬を預けますか。それならたぶんいけますね

───それでいこう。もし断られたら仕方ない。FBIのところへ行くか

 

 私は犬を優しく撫ぜてみせて、ぴっと人差し指を立てた。

 

「諸君。これから犬を病院に連れていきます。予防接種等々を済ませますから」

「!!」

 

 パァッと触手達の顔が明るくなる。

 いや、触手に顔なんて無いからイメージの話になるが、とにかく触手の顔が明るくなった。

 

「その後は君ら3体と犬1匹で、知り合いの探偵である毛利小五郎さんのお世話になってもらおうと考えています」

「キィ?」「きゅーん…?」「み?」

「そこで毛利探偵以下その家族をしっかり守るように」

 

 言っていることを理解したのか、触手達は姿勢を正して「きゅっ!!!」と敬礼した。

 そしてお互い抱き合って喜びを分かち合う。

 犬好きすぎだろう君ら。

 犬の方はなんかそこまで懐いていない様子だが。

 

 降谷さんがクールにそっぽを向く犬を撫ぜながら口を開いた。

 

───いつまでも犬呼ばわりもなんだな。名前でもつけるか

───触手達のペットみたいですし、彼等につけさせればいいでしょう。病院に行ってる間に考えてもらうとか

───そうだな、それでいいか。念のため犬の保険にも入っておいて…いや、触手が治療できるんだから必要ないか?

───それでは毛利探偵が困るでしょう。彼等が連れていく時のためにも保険には入っておきましょうか

 

 犬を抱っこすると、触手3匹も一緒に私の肩に乗ってはしゃいでいる。

 なんかミニオンズみたいな触手だな。個体差か?

 

───犬か……預けるにあたりいくらぐらいの謝礼にする?8000万くらいでいいか?

───安すぎません?毎日散歩行くんですよ?

───でも億まで行くと毛利探偵が萎縮しそうでな。使わないくらいなら適切な金額で使ってもらったほうがいいだろう

───それもそうですね。とするとやっぱり8、9000万が妥当ですか

 

 そんな感じで犬に混合ワクチンを打って、私は室井の姿で毛利探偵のところへと顔を出すのであった。

 

 名前は原作通りというか触手に本体の意思が反映されたのか、無事ハロに決まった。

 室井ハロは金に目のくらんだ毛利探偵によって快くぬいぐるみの仮宿を得た触手と共に引き取られ、毛利宅に居候することになったのであった。

 




・コナン君
みぃみぃ鳴く触手のぬいぐるみに揉みくちゃにされ、そこをハロに助けられた。
なんだこのぬいぐるみ(驚愕)

・蘭ちゃん
撮りまくった写真をさっそく園子嬢に送った。
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