バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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FBI連続殺人事件①

 

 現在、FBI連続殺人事件の真っ只中である。

 

 そんなわけで私は逃げる男を追っている。

 プレデターの如くに静かに確かに、這いよる混沌の如き不気味さで街を駆ける私を捉えられるものは誰もいない。

 

 男はSHIT!と舌打ちして三つ目のビルを曲がった先で待ち伏せに転じたらしい。

 曲がり切った瞬間、こちらにやぶれかぶれに拳を繰り出してきた。

 

 それを軽く足をとって転ばせれば、男は無様にコンクリートに顎から落ちて酷い擦り傷だらけとなった。

 まぁ元より、私の爪による傷跡でボロボロではあったのだが。

 全身切り傷だらけに擦り傷だらけ。滲んだ血で長袖のシャツがぐっしょりと濡れている。

 失血が行きすぎたか、震えも出てきているようだ。

 

 もはや立ち上がる体力もなくなったらしい。

 男は這いつくばったままはぁはぁと息を荒らげるだけだ。

 

 私の後ろからやってきたジンが、つかつかと革靴の音を威圧的に響かせて立ち止まる。

 吸っていたタバコを地面に落とし、それを踏み潰して消した。

 ジンよ、タバコのポイ捨ては行儀が悪いぞ。

 

「機嫌良さそうじゃねぇか、ウルフドッグ。そこのFBIを弄んで切り刻んで、やはり上質な餌は味が違うか?」

「ええ。こんなふうに頑張って抵抗する方は珍しいですから。遊びがいがありますよ」

「そりゃあいい。存分に遊んでやれ」

 

 人を幾人も殺したみたいな凶悪な顔でジンが嗤っている。

 いつも機嫌がいいのはジンの方なんだよなぁ、などと思いつつ私は内心のため息を堪えて眉を下げた。

 

 今回の任務はRUMから発せられた結構大規模なもので、内容はFBI狩りとなっている。

 

 ただ、それに私がメイン戦力として参加しているのは、ジンの労いというか、私への親切心で企画されたにすぎない。

 ジンいわく、「最近お前も生きのいい獲物で狩りを楽しんでねぇだろう?あのコソ泥のところじゃ殺しもまともにできなくて息が詰まるはずだ」とのこと。

 

 無論、親切心が180度屈折していて私は七転八倒した。

 日本の水面下で動くFBI達の動きを、RUMが暗号解読を通して暴いていたらしいのだが。

 その処分というか、実働部隊を任せられるとは思ってもみなかったからだ。

 

 最近は私は実働部隊系幹部と見せかけて後ろでドンと座って名前を貸すだけの簡単なお仕事がほとんどだったからな。

 他組織との折衝でも、私が後ろからヌッと顔を出すだけで場に緊張が走ったものだ。

 

 しかしまぁ。

 

 この男も、散々逃げる機会を与えたというのに逃げ切れないド素人さんである。

 これだけ遊べばキールや赤井秀一ならとっくの昔に逃げおおせているだろうに、まだこんなところでぐだぐだもぞもぞとしているとは。

 

 いや、あそこまでの切れ者を一般FBIと一緒にするのが間違いだとはわかっているけれど。

 こちらも立場があるのでこれ以上は逃しておけないのだ。

 

 深いため息とともに私は爪をじゃきりと返し、精一杯冷酷そうに見える顔で舌なめずりをした。

 

「ですが、そろそろ飽きてきましたね。獲物の動きもなくなってきましたし、後片付けのお時間としましょうか」

 

 私が爪を夜闇のネオンに翳せば、ジンは凶悪な相貌をいっそう凶悪に歪めて嗤う。

 

 ほら、この隙を狙って身体の陰でFBIに連絡を入れろ!ほら!

 わざとメールを送らせた後「…おや、もう少し遊べるようですね」って遊びタイム続行に持っていくから!

 あーーーもうなんで動かねぇんですか!

 知らんもう知らん!

 恨むんなら自分の機転の利かなさを恨むんだな!

 

「では、さようなら」

「ひっ、たすけ、助け……!」

 

 泥だらけ傷だらけで涙を浮かべる男へ、爪を振り下ろす。

 

 過たず肩から背中を抉り取られ、男は速やかに絶命した。

 遅れてやってきたウォッカが「バーボンは相変わらずだな!殺しの派手さが違ぇぜ!」とややキャッキャとはしゃいでいる。

 邪悪な女子過ぎるだろうに。

 

 そこに残されたのは一面の血溜まりと無惨な死体、そして暗号が映るFBIのスマホのみであった。

 

 胸に残る一抹の後悔が隙間風のように不愉快だ。

 降谷さんが冷え切った顔で「こいつが死んだのはこいつの力不足が故だ。気にするな」と冷徹に語る。

 

 ウォッカが死体の処理係に電話し終わってから、こちらへウキウキの様子で話しかけてくる。

 

「しっかし、昨日の宴会は良かったな!飯はうめぇし、オメェの彫刻を一等景品にしたビンゴ大会も盛り上がった!」

「……あれ大丈夫なんですかね。一等になったの名も無い下っ端ですよね?彫刻なんて殺されて奪われません?」

「まぁその辺はテメーの命も守り切れない奴の責任だぜ。兄貴も惜しかったし、来年も品を変えてやるとするか!」

 

 ジンが「無駄口はそこまでだ。ズラかるぞ」と言ったので「了解」と一言ウォッカと一緒に返事をした。

 ジン、あとちょっとでビンゴなところで一生揃わない不運さんだったもんな……。可哀想に。

 

 運ばれていく男の死体を見守りながら、私は開きっぱなしのメール画面を確認した。

 

 それは今日送ったばかりのメールで、相手は江戸川コナン。メールは短文。

 「組織に動きあり。FBIの暗号がRUMに解かれた」。

 ぴっ、とシステムから削除を選択し、その痕跡すらも消し去る。

 

 暗号化したそれをコナン君なら解けると信じて、速報として託したものである。

 

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