バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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FBI連続殺人事件②

 

 小学校からの帰り道、コナンは少年探偵団らに囲まれながらスマホのニュースに目を奪われていた。

 

 ここのところ、この近辺で外国人の不審な死体が相次いで発見されているそうなのだ。

 必ず二人組で死亡していて、身元は不明。

 何か裏があることは間違いないのだが……。

 

 と、そこまで考えたところで光彦に声をかけられた。

 どうやらコナンがランドセルにつけている大きなぬいぐるみのキーホルダーが気になっているようだ。

 

「コナン君なんですそれ?何のキャラクターの」

「あん?ただの旅行の土産に貰ったもんだよ」

 

 と言ったものの、無理やりキーホルダーに仕立て上げたぬいぐるみは多少サイズに無理があった。

 尺取り虫のような黒い触手のぬいぐるみという不気味なモチーフに反して、それはもふもふで妙に愛嬌のある見た目をしている。

 

 手縫らしくところどころが多少歪んでいて、あの完璧主義らしい安室・降谷2人にしては苦労したであろう跡が見える。

 

 もちろん学校で注意されたので、小林先生には「親から渡された大切な物」と言って大目に見てもらった。

 ぬいぐるみは歩美ちゃんに撫でられ、若干ながら嬉しそうに体を揺らした。

 

 すかさずペシっと触手の端を叩き、身動きしないよう注意する。

 触手は動かないまま心なしかしゅんとして気落ちしたようだった。

 

 このぬいぐるみはやはりというべきか、安室から貰った三体のタタリ様のうちの一つでおる。

 

 実のところ、コナンも初めは触手を学校になど連れて行く気は毛ほどもなかった。

 しかし1匹がコナンに懐いて、学校に行くため家に置いてきたら泣いて喚いたため、仕方なく連れてくるようになったのだ。

 

 触手の泣き様といったら、ほぼ赤ん坊の癇癪さながらだった。

 しかも中々にあざとくて、途中で泣き止んではチラッとコナンの方を見てくるのだ。

 計算高いにも程がある。

 ピシャリと「だめだ!オメーは留守番だからな!」と言えばへにゃんと触手を頽れさせて部屋の隅でぶーたれるし。

 

 まったくもってタチが悪い。

 

 蘭は容赦なく自室に置いてあるらしく、部屋からシクシクと声が漏れ聞こえてくるのをコナンは聞いている。

 意外と甘やかさない方針らしい。

 

 もう一体は毛利探偵事務所に置かれ、缶ビールにタバコを吸う毛利探偵をガミガミと隣で叱っている。

 毛利探偵は「ったくうっせーな!いいだろ俺の勝手なんだから!」と鬱陶しそうだが満更でもなさそうだ。

 隣で心配してくれているのを邪険にできるほど毛利探偵も人でなしではないということだ。

 

 そんなこんなで三者三様の触手事情だ。

 少年探偵団らは触手のぬいぐるみを取り囲み、わぁわぁと騒ぎ出した。

 

「可愛い!もふもふで歩美も欲しい!」

「珍しい形ですね。今流行りのタタリ様ってやつですか?」

「うーん、可愛いかぁコレ?不気味じゃねーか」

 

 コナンが言った瞬間、すかさずぺん!と触手のぬいぐるみから伸びた細長い触手がコナンの腰を叩いた。

 本人は可愛いつもりらしい。

 

「まぁいいけど、流石にこれはあげられねーや。ごめんな、歩美ちゃん」

「ううん。ごめんねコナン君」

 

 と、歩美ちゃんが首を振った時のことであった。

 

 ドシャ、と何か重たいものがすごい勢いで落ちる音がして、一同は驚きに身を固めた。

 音源は狭い路地裏の向こう側。

 すかさずそこへと走ったのはやはりコナンであった。

 古びたゴミ箱を通り過ぎ、昔スナックのあったらしい開けた場所へと出てみれば。

 

 そこには外国人の死体が一つ。

 頭から血を流して、目を見開いたまま息絶えているようだった。

 

 犯人追跡メガネの機能でビルの上を拡大してみれば、そこにはウォッカとバーボンが冷たい瞳で下を見下ろしていた。

 こちらが見ていることに気づいたのか、バーボンは慌てたように目線を左右に揺らしている。

 

 コナンは急いで落ちた男の傍へと駆け寄った。

 顔だけはハンカチで隠したものの、頭を狙撃されれば死は免れない。

 心拍数が高まるのを感じる。

 しかし、この頭から多量の血を流す男を放っておくことはコナンにはできなかった。

 

 触手のぬいぐるみをキーホルダーから外し、真剣な顔で話しかける。

 

「お前ならこの人を治せるか!?」

「キィ……キキィ!」

 

 触手がそのぬいぐるみの体から幾重にも半透明の触手を伸ばし、ペタペタと男の体を確認して行く。

 そしてすうっと、割れた男の頭の傷が消えていく。

 

 男の体は相変わらず血まみれだ。

 しかしその体にもはや傷はなく、血色の戻った顔でただ静かに横になっているだけだった。

 

 コナンはそっと男の息を確認した。

 気を失っているものの、手を当ててみれば呼吸も脈もあるようだ。

 

 先ほどのそれは探偵として即死としか判断できないそれだったが、この触手はそれを救ってみせたのだ。

 確かに、間違いなくこのぬいぐるみは人の命を救ったのだ。

 

 コナンは満面の笑みでぬいぐるみを揉みくちゃにした。

 

「よくやった!すげーよお前は!!」

「キィ!」

 

 優しく褒めるように撫でてやれば、触手はぬるりと触手を一本伸ばしてコナンの右手のひらと合わせる。

 そしてたしっ、と気の抜けたハイタッチを決めた。

 

 にっ、とコナンは触手と微笑み合う。

 

 後ろから「何だあれ、飛び降り自殺か?」と話し声が聞こえてきた。

 どうやら偶然の通りすがりらしい。

 灰原達が通報もしてくれたのか、ファンファンとサイレンの音が近づいてくる。

 

 コナンは急ぎ、実家の工藤家にいる赤井秀一にコンタクトを取ることに決めた。

 

 触手のぬいぐるみを小脇に抱え、コナンは思いっきり走り出した。

 

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