バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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映画楽しみで盛り上がってきた



容疑者か京極真①

 

 本日は、旅行の道中、ボウリングをしに群馬のボウリング場に立ち寄った次第である。

 

 組織の仕事を終わらせた合間のことだ。

 やけ酒を呷る毛利探偵を置いて女子高生組+コナン君で旅行を楽しもうとやってきたわけだが、流石に未成年だけでは、ということで私が引率となったのだ。

 

 暇なのか公安?とでも言わんばかりのコナン君の視線は無視するものとして。

 

 美人女子高生三人に囲まれながらの旅は実に華やかだった。

 高校生に囲まれたおじさん一匹とか世が世なら通報されてるところだが、今の私は降谷さんのガワをもつ相応のイケメン。

 

 特に不審に思われることなくこのボウリング場でも場に溶け込むことができた。

 

 見事ストライクを決めて戻ってきた世良さんが私の隣に座り、面白そうな顔でこちらを見る。

 私のフリをして表に出ている降谷さんが表面上私と同じにこやかで和やかな顔をして対応した。

 

「こうして話をするのは初めてだよな」

「ええ、まあ。前に狙撃犯を追跡した時バイクに乗ってましたよね?」

「そうだな。あんたも探偵、やってるんだって?」

「一応は…まだ見習いですけどね」

 

 狙撃犯、というのは劇場版名探偵コナン、異次元の狙撃手に登場した真犯人のことだろう。

 どうやらその時に邂逅したことがあるらしい。

 

 ちなみに、最近は表に出ているのは基本降谷さんとなっている。

 記憶を失った私よりボロを出しづらいというのもあるし、私を心配して休ませているというのもあるのだろう。

 荒事なんかでは私が代わっているが、コナン君以外あまり気付いた様子はない。

 

 もしかしたら人間関係に聡い園子嬢なんかは「なんか様子がおかしいな」とは思っているかもしれないが、口に出さないのでその本心を知る由もなく。

 

「毛利探偵の弟子をしてるんだってね。ならコナン君とも知り合いなんだろ?」

「ええ。前々から親しくさせてもらってますよ、ねぇコナン君」

「う、うん!」

「……ふぅーん」

 

 実に含みのある様子で世良さんが目を細める。

 視線は鋭く、何かあればコナン君や蘭ちゃん達を守れるような位置取りを崩さない。

 

 これは間違いなく母親である世良メアリーさんになにか聞かされているな。

 

 そんな緊迫した様子を知ってあえてだろう、園子嬢が気の抜けた声を上げた。

 

「あ、京極さんもう直ぐ来るって!」

「京極さん?誰だそれ」

「私のことを真摯に待っててくれた人!」

 

 ハートのつきそうな甘い声に、「詳しく教えてくれよー、彼氏か?」と肩を組む世良さんの声も明るい。

 やっぱり仲がいいよな、この女子高生組。

 私なんか完全に部外者だもの。

 

 と、そんな時である。

 

 がし、と粗雑な手つきで世良さんの肩を掴む男が一人。

 細い身なりながらもうちに秘めたそれは筋骨隆々。

 しなやかなヒョウのような四肢は力がみなぎり、ひと目見ただけで強者であることがひしひしと伝わってくる。

 

 名は京極真。

 

 完全にバトル漫画の住人たる、杯戸高校空手部の主将さんである。

 

 園子さんがチャラ男に絡まれていると思い込んでいるらしく、彼の目は怒りにメラメラと燃えている。

 対する世良さんはといえば、素の喧嘩っ早さに加えて不躾な男に憩いの時間を邪魔されたことで、こちらも怒り心頭だ。

 

「喧嘩か?なら買ってやるよ!」

 

 瞬間、世良さんの鋭い抜き手が京極さんの右目を捉える。

 それを京極さんが体を捻ってかわすも、弾き飛ばされたメガネが床に転がって軽い音を立てる。

 返すように京極さんが軽い一発。これは上着の裾を掠めるようにかわされた。

 

 不意打ちの分この一手は世良さんが優ったが、実力的には京極さんが圧倒的有利。

 そろそろ止めねば世良さんが重い一撃をもらってしまうだろう。

 

 降谷さんと代わって、ソファを飛び越えて素早く二人の合間へと滑り込んだ。

 

「そこまでです」

「「ッ!?」」

 

 京極さんの膝蹴りをフェイントとしたキックを右手で掴み、正面から受け止める。

 防御の姿勢のまま固まった世良さんが、間に割って入ってきた私に驚愕の視線を向ける。

 

 私の動きに気づいて、後ろから蘭ちゃんと園子嬢も慌てて飛び出してきた。

 

「ストップ、ストーップ!この人、園子の彼氏だから!!」

「ごっごめんなさい真さん!こっちは私の高校のクラスメイトの世良さん!」

「!?女性の方だったんですか!てっきり自分は…失礼しました!!」

 

 無事事態は収まったようだ。

 ふぅと息をついて彼の足を離せば、手のひらにじんと重い感触が残った。

 転生者でもないというのに、こりゃまた凄まじい威力だこと。

 

 素早く降谷さんが表に出て、私の代わりに話し始める。

 

「あなたも、先程は失礼しました。京極真と言います」

「いえいえ。誤解が解けて何よりですよ。僕は毛利先生の代わりに引率に来ていました、安室透と言います」

「そうでしたか。……お強いんですね。何かやってらっしゃるんですか?」

「我流ですが護身術を少々」

「なるほど、実戦で磨かれた体術ということですか。道理で、気配の動かし方が尋常ではないと思いました」

 

 そう答えるも、京極さんはいかにも納得がいかないというような顔つきでコチラを睨み据えた。

 

 というか、気配の静動まで分かるとか本当にバトル漫画の住人過ぎるだろう。

 これは私の基本的な戦略の一つで、飛び出す限界ギリギリまで気配を消して、目の前に出ると同時に殺気を全開にすることで相手を一瞬びっくりさせる小技である。

 流石に京極さんに殺気をぶつけると後が怖いからその段階は省いたが、さすがは作中最強の男である。

 

───強いな。ここまで強い人間をルパン一味絡み以外で見るのは初めてだ

───蘭ちゃんといい、高校空手部は魔境ですね。ピンガ程度なら軽く吹っ飛ばせそうです

───やめろ。少し想像しただろ

 

 降谷さんが内心で吹き出した。

 

「ところで、この後ぜひ自分と手合わせ願えませんか?」

「……手合わせ、ですか?ええと、僕はあまり腕の立つ方では…」

「ご冗談を。あなたは自分が海外特訓で見た誰よりも強いはずです。ぜひともお手合わせを!」

「う、うーん…」

 

 困ったぞこれ。

 京極さんは手加減できるような相手ではない。

 特に肉体スペック的に手加減が苦手な私とでは、本気でやったら双方共に無事では済まないはずだ。

 

 と、そこでふと私は京極の手の甲に少しばかりの傷があることに気がついた。

 私の視線が己の手の甲に向いていることに気づいたのか、はは、と少し笑って京極さんは頭をかいた。

 

 そして「先程男性に絡まれただけですよ」と教えてくれた。

 

 私はこの一連の流れに少々引っ掛かるものを感じて首を傾げた。

 ボウリング、男性に絡まれた京極真、群馬県。

 

 

 ん?これもしかして、原作イベントか?

 

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