バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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みんなが感想たくさんくれるからブレーキ壊れちゃった…
止まるんじゃねぇぞ…


真実に足る言い訳

 

 帰ってきたコナン君が死ぬほど私を警戒しておられる!!!

 

 フランスでの2週間の任務を終えると、いつの間にやら灰原さんが少年探偵団に加わっていた。

 光彦君、元太君、歩美ちゃんの本物小学生3人をくわえた5人組だ。

 どれもちまくてすばしっこくて可愛いのう、と降谷さんと二人で子供たちを愛でている本日である。

 

 これまでにおいて、コナン君には二重人格の件はバレていない。

 降谷さんが『安室』のキャラに慣れてきたのもあるし、私が意図的にコナン君の前では降谷が演じる安室に寄せていたのもある。

 ルパンには一瞬でバレるのだが、その辺りは一生かかっても到達でき無さそうで諦めている。

 的確に降谷さんが表に出ているときにだけ揶揄ってくるからな、あの愉快な泥棒おじさん。

 

 さて、問題はコナン君だ。

 

 華の高校生にもかかわらず家事労働に縛られていた蘭ちゃんを心配し、降谷さんの発案で家事の一部を私たちが手伝うことになったのだ。

 弟子としての務めです、と無償で引き受けていたのだが。

 それでは気が済まなかったらしい毛利探偵が申し訳なさそうに最近は金券やらで報いようとしてくれている。

 金には困っていないから本当にいいのに。毛利探偵はその金を家計に入れるべきだろう。

 

 本日の手伝いは料理だ。

 料理は降谷さんの趣味なので降谷さんがメインで手伝っているのだが、時折私も練習を兼ねて作ることがある。

 

 メニューは純和食。

 肉じゃが、味噌汁、ぶりの照り焼き。ほうれん草のおひたしを添えて。

 流石は降谷さん、と内側から褒めれば「お前の作る洋食も悪くないと思うぞ」という返事が返ってきた。

 

 そんな出来立て料理の香る居間に帰ってきたコナン君はというとだ。

 

 「………ただいま」とめいっぱい溜めた感じの凄まじい警戒心で私を見上げ、知らない人が家に入ってきた猫よりも慎重に私の動きを観察してきた。

 それを隠そうと努力している感はあるのだが、それだけ警戒されていれば誰でも気が付く露骨さである。

 

「?…どうかしたのかい、コナン君」と降谷さんが優しく問いかければ、ぎくりと目に見えて動きがこわばった。

 

「ううん、なんでもない。今日の晩御飯はなあに?」

「君の好きなぶりの照り焼きにしたんだ。ほうれん草はめんつゆで味付けしてあるから食べやすいと思うよ」

「わぁ、安室さんありがとう!」

 

 若干わざとらしさのただよう子供演技であった。

 容姿の整った彼がやると棒演技の子役みたいに見えてしまうのが悲しいところ。

 

───彼、いったいどうしたんだ?俺たちが怒らせるようなことをしたのか?

───心当たりがないですね…。

 

 もしかして灰原さん経由で私が組織の幹部バーボンだという事が伝わったのか?

 だとしたら宮野明美との引き合わせの手はずを早急に整えなければならない。

 私がコナン君に疑われたままだと動きづらくて仕方ないし、下手をすると致命的な失敗につながる恐れがあるからな。

 

 と、その時。

 私のスマホが無機質なデフォルトの着信音を奏でた。

 

 蘭さんに一言「電話ですので少し外に出ます」と言いおいて3階居住スペースから2階の踊り場まで下がる。

 そしてついでに私が表になるよう交代。

 もしジンが相手なら降谷さんが出たらバレる可能性があるからな。

 

「はい、こちらバーボン」

『よぉバーボン。シェリーが逃げた話は聞いているか』

 

 電話先はやはりジンだった。ドスの利いた悪人声が電話越しでも敵を威嚇するみたいな威圧感をもって響いている。

 ジンがいると無駄に下っ端がおびえてだめなんだよね。そこに私が加わると恐怖で動けなくなる奴も出てくる。

 みんな怖がり過ぎだバーロー。

 

「いえ。ルパンの案件でかかりっきりでしたので初耳です。シェリーが脱走?どうしてまた」

『懲罰房にぶち込んでおいたんだが、三日前姿が見えなくなった。見つけ次第殺せ』

「あの独房から逃げた?凄いですね……そんな技術力があったとは。下手なNOCでも逃げ出せ無さそうでしたけど、担当者のミスでしょうか」

『担当してた雑魚はすでに処分してある』

 

 おお可哀そうに下っ端組織員……。

 シェリーが逃げたのは幼児化とかいうワザップ並みの裏技のせいであって、下っ端のせいじゃないのに。

 

「わかりました。僕も見かけましたら殺しておきます」

『それでいい。動画は撮れよ。それと、来週いつもの店に集合だ。忘れるな』

「ええ。楽しみにしていますね、ジン」

 

 任務の合間に飲み会の連絡を入れないでくれ。

 ジン、ウォッカ、私の3人で来週飲みに行くことになっているのだが、こっちとしてはほぼ業務の延長線上みたいなものだ。

 まったりくだをまくジンをひたすら誉めまくるウォッカと私というスーパー接待空間だ。

 これでいい気にならない奴がいたら、そいつは人の心を解さないAIか何かだ。

 

 そうして話している間にも、後ろからの気配を私の鋭敏な本能が嗅ぎ取っていた。

 多分コナン君が聞き耳を立てているのだろう。

 

 わざとよく分かるように階段を昇れば、急いで部屋の中に戻る彼の気配がした。

 3階の居住スペースの扉を開けば、緊迫した表情のコナン君が出迎えてくれる。

 

 いやこれ、本気で早めに灰原さん経由の誤解を解かないといろいろすれ違ってしまう危険性があるな。

 

 しかしどうやって降谷さんに状況を伝えたものか。

 ただ単に「この子供は宮野志保、工藤新一両名が幼児化した姿なんだ!」とか言ってしまえば「もう一人の俺が錯乱してしまった…」ってなるだけだし。

 悩ましいところではあるが……ここはひとつ、直接的にいってみるか。

 

───シェリーの行方が分かったので、ちょっとアプローチしてみます

───は?

 

 一言降谷さんに断って、私は満面の笑みを形作った。

 

「聞いていたよね、コナン君」

「!!!」

 

 にっこり威圧的に、獲物を前にした豹のように笑いかける。

 それと同時に後ろ手にパタンとドアを閉め、鍵をかけた。

 話が拗れて真実を話す前に逃げ出されたら困るからだ。

 

「シェリーは元気かい?」

「………一体何の話、安室さん」

 

 僕はただ、と言いおいて少しだけ逡巡する。どう言ったものか。

 真摯に丁寧にを心がけ、まず最初の言葉を紡いだ。

 

「彼女をお姉さんに会わせてあげたくてね………一緒に来て、くれるかな?」

 

 彼はバッと顔を上げ、怒りのままに絶叫した。

 

「ッバーロー!!誰がみすみすアイツを殺させるかよ!」

 

 殺させる!?!?……っあ、いや、ちょっと待て。

 致命的に言葉選びを間違えたかもしれない。

 

 両手を後ろにしてゆっくりと後ろに下がるコナン君だが、表情は冷静そのもので逃げる様子は見受けられない。

 多分腕時計型麻酔銃を後ろに構えているのだろう。

 腕力ではとても敵わないであろう大人を前に、子供の身体でよくもまあそこまで抗うことができるものだ。

 

 ちょっと感動しながら、うーんと迷うそぶりを大げさに見せる。

 ワザと隙をさらすためだ。

 

「君は少しばかり、僕のことを誤解しているように思う。僕は──」

 

 ぱしゅん、という小さな発射音。

 私の首を恐るべきエイムで狙ったその一射は、しかして無情にも平然と防がれることとなった。

 

「っな、おい、嘘だろ…!?」

「近接戦専門の幹部って話はシェリーからは聞かなかったのかな。僕、この距離で拳銃発射されてもとくに脅威とは思わないよ?」

 

 片手で射出された麻酔針を摘み取れば、流石のコナン君も血相を変えて逃げの姿勢に入った。

 その身体を大声を出される前に急いで抱き上げる。

 「蘭、逃げ…!」まで言いかけていたので急いで口をふさぐ。

 待て、私が毛利探偵に不審者だと思われたらどうしてくれる。

 

 そして耳元で囁くように一言。

 

「───宮野明美は生きている」

 

 びたり、と必死で暴れ狂う動きが止まった。

 彼の口から手を離しても、もう彼が叫んで大人を呼ぼうとすることは無かった。

 

「……どういうことか言え、バーボン」

「僕はこれでも組織からの信頼が厚くてね。宮野明美を始末したと見せかけて逃がすぐらいわけないのさ」

「信じられねーな。オメーがそんなことをするメリットが無い」

「メリット?メリットなら十分すぎるぐらいあるよ」

 

 「なら言って見ろよ、その理由とやらをよ」とコナン君は私を挑戦的に睨め上げた。

 この危機的状況においてなお輝かしきその精神性。その瞳の強きことよ。

 私は感嘆にほうと息をついて、主人公たる少年を見つめた。

 

「僕と宮野明美は幼馴染だからね。なるべくなら守りたいと思うのは自然なことだろう?」

「…………は?」

 

 ぽかん、と彼が口を開ける。

 

「おいおい、冗談だろ?そんな偶然あるわけ……」

「ちなみに言うとだ。彼女の母親、宮野エレーナは僕の初恋の人だ」

「はぁ!?!?」

 

 私の心の底で同時に降谷さんも「はぁ!?!?どうして喋った!?というか今その話するタイミングだったか!?!?」と怒り心頭で叫んでおられる。

 申し訳ない降谷さん。空気感の調整のための生贄になってくれ。

 

「どうだい、僕と宮野明美の幼馴染説に信憑性が出るだろう?」

「んなこと言ってる時点で信憑性ゼロだっつーの!というかお前が組織の人間であることに変わりねーじゃねーか!」

「まあ、僕がバーボンというコードネームを戴く幹部なのは間違いないね」

「しかも快楽殺人鬼って触れ込みの悪党と来た」

「それも否定できないかな。僕は数多くの人を殺してきた殺人……待って、快楽って何!?僕の殺人はあくまで仕事であって趣味で殺してるみたいな言い方は名誉棄損だよ!?」

「殺しは殺しに違いねーじゃねーか!!!」

 

 わいわい騒いでいれば、奥から蘭ちゃんがひょこっと顔を出した。

 

「二人とも、もう用意できてるよ?コナン君もそろそろ晩御飯一緒に食べよう」

「……っ!」

「あ、蘭さんすみません。今行きますので」

 

 抱っこしたままのコナン君を降ろしてにっこり微笑む。

 先に奥へと消えていった蘭ちゃんの後姿を目で追ってから、両肩をすくめて話しかける。

 

「ひとまず、明日にでもまた改めて話そうか。朝に迎えに来るよ」

「俺がノコノコ付いてくとでも思ってんのかよ」

「でも気になるだろ、宮野明美が本当に生きてるのか。長い付き合いになるんだし、これまで通り仲良くしようよ。ね?」

「……犯罪者と仲良くなんざできるかっつの。俺を散々だましてきたんだろ」

「いや、君に関しては割と本気で仲間意識芽生えてた。どう、将来僕の部下にならない?」

「なるわけねーだろふざけんな!!!」

 

 なんて戯れていれば、コナン君の肩の力もずいぶん抜けたようだった。

 やったぜ。ひとまずのミッションコンプリート。

 誰とでも仲良くなれる私の特技にかかればこんなもんよ。

 

 とはいえ問題も課題も山積みのまま先送りになっただけなんだが。

 

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