バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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RE:黒ずくめの謀略①

 

「狩り、ですか?」

 

 いつも通り説明の少ないジンの言葉に、私は小首を傾げて聞き返した。

 

 時刻は午前2時。

 急にアジトの一角に呼び出された私たちは、急いで着替えと身支度をせねばならなかった。

 

 気持ちよく寝ているところを急に叩き起こされて不機嫌な降谷さんがいまだに内側で舌打ちしている。

 

「そうだ。詳細はウォッカに聞け。30分後に出発だ。急げよウルフドッグ。お前にお誂え向きの野の狩りの時間だ」

「……!」

「ビルの林を抜ける前に獲物の首を掻っ切り、あのハエどもに狼犬の狩りを見せつけてやれ」

 

 ポエムなんだよなぁ。

 ニタリと悪質な笑みを浮かべるジンに「かしこまりました!ええ、僕は『取ってこい』が得意ですので、お任せください」とノリノリで応えてみせる。

 

 ひとまず、何かしらの暗殺系任務であることは間違いななそうだ。

 

 しかしジンはと言えば、細かい説明はせずそれだけ言ってサッサと銃を持ったまま部屋を後にしてしまった。

 私に対してジンがそんな反応ということは、そこそこ以上に急ぎの仕事ということなのだろう。

 

 いそいそと奥の更衣室で着替えをしていたウォッカから詳細を聞けば、話の全容が見えてきた。

 

 なんでも、日本で違法捜査をしているFBI達の情報を掴んだから、そいつらを仕留めにいくとのことだ。

 FBIが待ち合わせに使っている暗号の解読ができたらしく、傍受して次の待ち合わせ時間と場所を突き止めたらしい。

 

 なるほど。これは「黒ずくめの謀略」か。

 FBIvs黒の組織の原作回。

 そしてキャメルが死んだものとして見た目と名前を変えるきっかけになった事件だ。

 

 私はペロリと唇を湿らせて気を引き締め直した。

 

 

 

 

 FBIの待ち合わせ現場に急行すれば、そこはまだ暗く街灯も少ない夜のビル街の一角であった。

 

 予定としてはまず表通りの方からウォッカが話しかけて、私が裏手の角から待ち伏せするという形になっている。

 完璧に狩りの様相だ。

 

 降谷さんが眠気を覚ますように眉間を揉んでから、私に話しかけてくる。

 

───どうする?

───殺すしかないでしょうね。逃すには準備も何も足りなさ過ぎる

───FBIとの関係悪化は避けられないが…仕方ないな。俺たちにも立場がある

 

 突き放すような言い方だが、これでも最大限配慮しているのがわかる口調だった。

 いくら日本国外の人間とは言え、同じ捜査官を殺すのはやはり降谷さんでも気が咎めるのだろう。

 

 そのまま静かに身を潜めて待っていれば、路地裏のゴミ箱を蹴っ飛ばしながら走ってくる影が一つ。

 哀れにも狩り立てられた獲物が罠の方へと一直線に走り来る、FBI捜査官の男であった。

 

 私は男がすぐ目の前に来た瞬間を狙い、ビルの角から跳ね上がるように蹴りを叩き込んだ。

 

「なっ、んゲフゥ!?」

 

 男は私の蹴りを受け、もんどり打ってアスファルトの上に転がった。

 そしてそのまま爪を突きつけ、艶やかに嗤って見せる。

 

「ごきげんよう。さっそくですが、あなた達の巣を教えてくださいませんか?」

「う、ウルフドッグ…!」

「なーんて。冗談ですよ。そんなの聞きませんよ。僕はあなたが死んでくださるだけで十分ですから」

 

 ニコッと微笑んでから、男の首元に爪の刃を食い込ませる。

 男は痛みに呻き、首から血を滴らせながら慄いた。

 

 私はこれでもFBIと関係があるからな。

 下手なことを言う前に始末した方が早いし確実だ。

 どうせ捜査官なのだから死んでも仲間の場所を吐かないのは分かりきっているのだし、この辺は早めに終わらせておくのが吉だろう。

 

「では、さようなら」

「ま、待っ」

 

 爪で脊椎ごと頭をスッパリと切り取る。ごとりと、首が胴体から離れた。

 同時に切り口から血が噴水のように噴き出てくる。

 痙攣した男の腕からスマホが転がり落ちた。

 

 そのまま生首をアスファルトの上に投げ捨てて、私は惰性で落ちたスマホを拾い上げる。

 迎えの車が横についたのを確認してから、素早く車に乗り込んだ。

 

 下っ端が差し出すタオルで血で濡れた顔と髪を拭きながら、上着だけ脱いで鉄臭い服を着替える。

 

 先ほど拾ったスマホを覗き込んで降谷さんが眉間に皺を寄せた。

 

───下手な情報をFBIが持ってたりしないだろうな?

───いえ。これは……暗号のようですね。

 

 見たこともない文字のようなものがメールに並んでいる。

 降谷さんは一瞬難しい顔をした後、スラスラとその内容を読み上げてみせた。

 

───米花3-2-7 ラーメン山内、か?

───降谷さん、読めるんですか?

───FBIも迂闊なことをしやがって。この程度の暗号、解読されないとでも思ったのか

 

 原作知識があると言えど、私も流石に解読方法までは覚えていない。

 流石は降谷さんと言ったところだ。

 

───それで、赤井秀一に伝えますか?通信用の暗号が解読されたのは、まだ向こうとしても半信半疑の状況でしょうし

───いや、今伝えればFBIの動きが早すぎてRUMに勘付かれる

 

 暗号情報を深層心理の書庫にコピーした後、降谷さんが不満気に腕を組んだ。

 

───何をするにしてもRUMが邪魔すぎるな。やはり奴だけでも殺っておくべきか?

───難しいところですね。RUMが命を落とせばどうしても内外にバレることは必至。一旦組織壊滅を次世代に任せるのなら、その判断も悪くはないのでしょうが…

───チッ。俺もそこまでこの組織をのさばらせておくつもりはない

 

 降谷さんが歯噛みする。

 その間にも下っ端が運転手を務める車はつつがなく進んでいく。

 あの死体も下っ端達が処理するのだろう。

 

 なんにせよ、ままならないものだ。

 

 

 

 

 

 そうして、翌日も翌々日も狩りがあった。

 

 2日目に関しては二人同時に来た時のために、取り逃した時用の狙撃班も用意された。

 まあ、結論から言ってしまえば私一人で十分だったのだが。

 その代わりキャンティに「獲物を横取りされた気分なんだけど」と文句を言われてしまった。

 コルンもうんうん頷いて私を責めてくるのだから堪らない。

 仕方ないでしょ!貴方達は後詰の役目なんだから!

 

 さて。今日の獲物もやはり二人だ。

 ビルの上に誘い出した二人を、後は始末するだけだ。

 

 私はと言えば、今回は血飛沫を避けるためにすっぽりとレインコートを被っている。

 透明な500円の雨合羽が邪魔で邪魔で仕方ないが、これもまた仕方のないこと。

 

 今回のFBIは銃を持っていたらしい。

 「くっクソが!」と言って片方が私に拳銃を向けてくる。

 

 まったく。

 その程度の抵抗に負けるほど私は弱く見えているのだろうか。

 

 発砲で音が響くことを防ぐために両手をまず切り落として。

 その後に続く二撃目で肩から腹にかけてバッサリと斬り開く。

 

 これだけオーディエンスが多いと、生かして逃すこともできないから、申し訳ないがコイツらには死んでもらうしかない。

 

 血と臓物とを撒き散らし、哀れな男はこれまでと同じように無惨に生き絶えた。

 その死に様を見て、己の末路を悲嘆したか。

 もう一人の男は顔を真っ青にさせて、そのままビルの屋上から身を投げた。

 

 どちゃり、と鈍い音が下階から響く。

 ウォッカが呆れたように帽子をややずり上げた。

 

「あいつ、空でも飛べる気か?この高さから落ちて無事でいられるわけねぇだろうに」

「はっ、あのハエどもはよほどウルフドッグのことが怖かったらしい」

 

 ウォッカに同調するように、ジンが酷薄にせせら笑う。

 私はレインコートを脱いでゴミ袋に詰め、下っ端に手渡して伸びをした。

 

「やっぱり動きづらいですね、レインコート。爽快感もないですし」

「狼犬は血を浴びてこそということか。不自由な思いをさせてすまねぇな、ウルフドッグ」

「いえ。とんでもありませんよジン!僕こそわがままを言いました」

 

 私のちょっとした言葉にジンがしゅんと萎れてしまったので、慌ててフォローに回る。

 犬に好物ねだられたのに買ってあげられない犬飼いみたいな表情である。

 

 ウォッカも「そうですぜ!兄貴は最善を尽くしやした!」とやいのやいのとジンを持ち上げている。

 無惨な死体を前に組織コントとか情緒ぶっ壊れるんだよなぁ。

 

 などと思いながら手すり越しに下を見れば。

 こちらを犯人追跡メガネで確認するコナン君と視線が合った。

 

「ん、どうしたバーボン」

「いえ。下に野次馬が増えて来たなと。この分だと死体の身分証を抜き取るのは難しいですね」

「なに?あー、どうしやすか兄貴。集まってる野次馬全員を消すとなるとそれなりに手間ですぜ」

「フン。野次馬どもは放っておけ。俺たちはずらかるぞ」

 

 「へい兄貴!」とウォッカが威勢よく返事をして撤収作業に入る。

 今までは発覚を遅らせるために死体から身分証を抜き取っていたのだが、これだけの人数の野次馬を消せば本末転倒だからな。

 

 ふと、スマホがバイブ音を鳴らしているのに気づいて画面を見れば。

 

 コナン君から。

 簡潔な文面には「FBIには情報共有しない方がいい?」と記されていた。

 

 私は「いや、FBIへの情報共有と彼らへの協力頼んだ」とだけ返信して、スマホをポケットにしまったのだった。

 





・コナン君
あの一瞬でバボ主が何をやっていたが理解して、その上で何も聞かずに自分のやるべきことだけを確認を取るタイプの主人公。
その上で返信を読んで、「バーボンは組織の人間として行動せざるを得ないから、自分がその凶行を止める役割を任された」と判断。
その信頼を胸に全力で動き出したようだ。
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