バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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発狂モードに入ったので1日3回投稿します。
俺はやるぜ俺はやるぜ。


対話の試み

 

 ついに宮野明美と灰原哀を引き合わせる日がやってきた!

 

 ピスコの事件からすぐ、コナン君は私のセーフティハウスの玄関を叩いた。

 本当に来てくれるかは半々だと思っていたから嬉しい限りである。

 

 やはり病院で銃創を見てもらうというわけにはいかなかったらしい。

 幸い出血はそこまでなかったが、降谷さんが応急処置をしたから安静にしていればしばらくは無事だろう。

 熱が出たら感染症の可能性もあるから早めに連絡してほしい旨は伝えた。

 伝手のある病院に処置してもらうよう手配するから、と言えばコナン君も神妙な顔で頷いた。

 

 杯戸シティホテル屋上で肩まわりを撃ちまくられていた灰原さんの容態も気になるところだったが、彼女の方は来ることはなかった。

 コナン君も「アイツは大丈夫だ」としか言わないし、心配なところ。

 

 あの日杯戸シティホテルから逃げ出した彼女の後ろ姿は、走れているのが不思議なほど病的に震えていたからな。

 瞳孔も開いてたし。

 

 ……ちなみに、その辺りになってようやく「私のことが酷いトラウマになっているんじゃ」と思い立った。

 「いや待て、俺たちが原因!?そんな、いやでも…」と取り乱す降谷さんと相談し、すぐに翌日ルパン三世に相談の電話もした。

 本当に私が原因なら、何かできることはないかと。

 

 ルパンの答えは「そりゃお前が悪いんだし、そっとしとけよ」という淡白なものだったが。

 そりゃそうだ。

 私にできる最大の心遣いとは、近づかない事。

 ルパン直々に接近禁止命令が出たのだ。

 私たちにできることはなにもない。

 

 などと降谷さんと二人してしおしおになりながら、せめてと阿笠邸宛に約束のブランドバッグを送りつける日々を送っていた。

 翌日コナン君に「スッゲー怯えてるからソレ止めてやれ!!!」と怒鳴り込まれるなどした。

 何故。

 

 さて、そんなわけで今現在。

 コナン君をRX-7の助手席に乗せて日色ヒカルの探偵事務所へと向かっている。

 

 宮野明美を保護してから、スコッチこと日色ヒカルの探偵事務所に匿っているからだ。

 彼女の表向きの役割は探偵事務所の経理と補佐だ。

 長年組織で揉まれて胆力と体力とに優れる彼女は意外と探偵向きだったようで、ともすればスナイパーであったスコッチよりもよく気付くこともあるらしい。

 

 車が高速道路を走る。景色が流れる。

 隣のコナン君は黙ったままで、居心地悪そうに降谷さんが身じろぎした。

 

「傷はまだ痛むかい?」

「……これぐらいなんともねーよ。あんたがピスコを止めてくれたからな」

 

 ぶっきらぼうな言い回しは、彼の本音が納得していない事を如実に示している。

 今、表に出ているのは降谷さんだ。

 苦虫を噛み潰したような顔でぶすっと降谷さんのことを見るコナン君に、自然と苦笑が溢れる。

 

「あんたのことは俺が探偵としてぜってー捕まえてみせる。でも……あの時は、助かった」

 

 ありがとう、と彼は瞳を伏せて言った。

 罵られることを覚悟していた降谷さんは、弾かれるように目を丸くしてコナン君を見つめた。

 

 青の瞳がかち合う。

 透明な光が瞳に反射し、車窓から見える緑の木々の色を映す。

 

 降谷さんは優しい色で淡く笑った。

 

「どういたしまして。君たちが無事でよかった」

「でも次はあんなの必要ねーからな。あんたが殺さなくても済むように立ち回ってみせる」

 

 彼の言い方は軽いように見えて、己に言い聞かせ打ち込むかのように重苦しい気配を纏っていた。

 気高き志を映すように澄み渡る声。

 

「どうだろうなぁ。君は意外と迂闊だからな、つい突っ走ってジンに目をつけられたりでもしたらいくら僕でも庇いきれないよ?」

「うっせ」

 

 降谷さんが笑いながら揶揄えば、コナン君はむくれてしまったようだった。

 ぷいと外を向いてしまう。

 

 ちらり。

 顔を背けたままコナン君が私達を見る。

 

「それよりもさ、あんた……もしかして、定期的にベルモットと入れ替わってたりする?」

 

 肩が動かなかったのは降谷さんの精神力の賜物だろう。

 まるで気にしていない風を装ってゆるゆると首を振る。

 

「……そんなわけないだろうに。どうしてそう思うんだい?」

「時々雰囲気違うからさ。ちょっと思っただけだよ」

「ベルモットなら雰囲気が違うなんてことあり得ない。彼女なら友人相手でも完璧に変装しきってみせるはずだ」

「それもそうだな。忘れてくれ」

 

 あっぶね。

 私は深層心理の底でふぅと深い息をついた。

 降谷さんと私の違いを勘付きかけているらしい。

 

───本当に規格外の子だな。俺たちを見破るなんて、本当に小学一年生か?将来有望過ぎないか?

───まぁ、コナン君ですからね。断られてしまいましたが、割と本気で将来部下に欲しい…

───同意する。協力者でもいい。経験不足ゆえの無鉄砲が玉に瑕だが、それを補って余りある頭脳だ。

 

 到着した探偵事務所は相変わらずボロボロで、夏場はちょっと気温が厳しいんじゃないかという壁の薄さだ。

 ただ、おんぼろプレハブはおんぼろプレハブのままだったが、看板が出ていたり花壇ができていたりと若干の営業感が追加されていた。

 

 駐車場に車を停め、コナン君と二人で降りる。

 看板の前に立つ無精ひげの男が軽く片手をあげて笑った。

 

「よ、安室。元気だったか」

「久しぶり、日色」

 

 スコッチらしい優しい顔で笑う姿はまったく無害そうに見えた。

 コナン君が子供らしい調子で小首をかしげる。

 

「知り合い?」

「単なる昔馴染みだよ。探偵をやってて、いま宮野明美も彼の補佐として雇ってもらってる」

「……稼いでいるようには、みえないけど」

「こら。一応食ってく分には問題ないぐらいには実入りもあるはずだ。だろ、日色?」

「ぼちぼち、ってとこだな。事務所のアクセスが悪いから客の入り具合は良くないけど」

 

 引っ越したほうがいいかなー、なんてスコッチが頭をかく。

 田舎でのんびりやってる感が滲み出ていて実に幸せそうだ。

 

 すると親友がのんびり地方でスローライフを送っているのを見て、わざわざ降谷さんが内心まで地団駄を踏みに来た。

 気持ちはわかるが…おお、鎮まりたまえ降谷零。

 俺も早くこれになりたい?まぁね、でも実際なったらなったで現場が恋しくて戻ってきちゃうんでしょ?

 

 引き戸をガラガラと開いて事務所の中に入れば、比較的整って掃除も行き届いていた。

 そこで机を拭く一人の女性の、黒い長髪が視界に差し込む。

 笑顔。

 そして柔らかな声。

 

「あら、来たのね。お茶を用意してくるから少しだけ待ってね」

 

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