バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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明日はTRPGに勤しむので更新お休みです。


群馬と長野 県境(ボーダー)の遺体①

 

 時刻は昼。

 まだ組織の海外任務まで二週間ある。

 

 一応、潰すように言われた裏組織はざっと調査してから公安に報告してある。

 どれも法に触れるような所ばかりのようなので私も降谷さんもほっと一安心だった。

 

 ただ、一件だけルパンがらみじゃなかろうかという件があったのは気がかりなんだよな。

 ニューヨークを牛耳るマフィアの拠点制圧を命じられているのだが。

 そこのマルチアーノとかいうボスに、峰不二子が近づいた形跡があるのだ。

 

 流石にルパンがらみだったとしたら虎の尾過ぎるのでRUMに上申するつもりだが、これは要調査だろうな。

 

 さて。そんな本日の予定だが。

 

「……ええと、生きてるのをお兄さんに知らせたい?」

 

 「うん」と神妙な顔で景光さんは頷いた。

 

 今いるのは東都区内にある秘密の豪邸、彫刻屋敷こと私たちの秘密基地である。

 

 すでに卵形宝石花は全て私の手を離れ、世間の富豪たちの目を癒しているが……。

 まだ訪ねてきた不審者は一人もいないと景光さんからは聞いている。

 

 とはいえ、ルパンなら侵入したことも気づかせないだろうから、とっくに暗号全てを解いて宝石洞窟にたどり着いていても不思議ではない。

 まぁもしたどり着いていれば私たちに記念写真の一つでも送ってくれるだろうから、まだ富豪のところから80もある卵形宝石花を盗み出すのに手こずっているのかもしれないが。

 一個ずつは楽でも数が多いからな。

 移動時間もバカにならないだろう。

 

 それはともかく、だ。

 本日私たちがここに来た理由は、景光さんから相談があったからだ。

 

 その内容はシンプルだけど。

 「生きてるのを兄貴に報告したい」。

 って、そんなの答えは決まっている。

 

「いや、ダメに決まってるだろ。お前が生きていることが極秘事項だというのは分かってるだろ」

「やっぱりそうかー」

 

 ふむう、と困ったように景光さんは眉をハの字に曲げた。

 

「でも兄さんは結構激情家というか、無鉄砲なところがあるからなぁ、心配なんだよ」

「……?一度会った時は冷静そうなお兄さんだと思ったが」

「普段はそうなんだけど、なんというか、思い切りが良すぎるんだよ。そのせいで今年になって所轄に飛ばされたらしいし」

 

 もう県警に戻ったみたいだけど、と言って景光さんが肩を落とす。

 

「つまり、下手すると俺の仇討ちのために組織に一人で突貫しかねないという意味なんだけど」

「厄介すぎないか…と言うかその流れだと突貫されるのは俺じゃないか」

「うん、間違いなく」

 

 降谷さんが渋い顔をして黙り込んだ。

 

 確かに、劇場版の知識を思えば実にありそうな展開だ。

 諸伏高明の頭脳ならばいずれ組織に辿り着くし、一つとっかかりを得ればなし崩しに組織戦に参加することは想像に難くない。

 

 それを防ぐには生きていることを知らせて、ついでに首を突っ込むなと本人から釘を刺させる必要がある、と。

 

 普通にどうしようもなくないか、ということに気づいたらしい降谷さんが頭を抱えてうめき出した。

 

「んんんんんん…!」

「ご、ごめんなゼロ…俺のことで迷惑かけて」

「それはいいさ。だが本当にまいったな、ひとまず変装して明日長野まで行こう」

 

 毛利探偵について群馬まで行く予定もあるが、そちらはキャンセルでいいだろう。

 時期的にはおそらく「群馬と長野 県境(ボーダー)の遺体」だろうし、こちらはコナン君に任せておけばいい。

 というかどうせ現場で合流するのだし、「知り合いの探偵と一緒に急遽長野に行くことになった」と連絡しておけば問題なかろう。

 

 もちろん、急に仕事を休んだ詫びに高級菓子折りを持って頭を下げるのが前提だが。

 

 私たちの総資産からすれば高級菓子折りなんで紙屑と同レベルの値段でしかないので、本当は宝石花の一つでも贈りたいのだが…。

 それで宝石花の真の価値がバレて芋蔓式に工藤君に迷惑がかかってもなんだしな。

 

 降谷さんが脳内書庫に入って、そこに張り出してある今月の予定を確認する作業に入った。

 組織の任務、よし。探偵の仕事、よし。ポアロのバイト、よし。

 

 これがあるとスマホや手帳で予定を確認しなくても良くて楽なんだよな。

 情報漏洩の心配もないし。

 

 急にやる気を出した降谷さんの様子を見て、景光さんが慌てて立ち上がった。

 

「え、そんな急がなくても、どうせ俺ズルズルと3年も兄さんには生存を黙ってるんだし、いつでもいいぞ?」

「いや。こういうのは早ければ早い方がいい。お前の兄さんの言葉を借りれば、『兵は拙速を尊ぶ』というものだろう?」

 

 降谷さんが茶目っけたっぷりにウィンクする。

 景光さんはそれを見てややほっとした様子で息をついたようだった。

 

「よし、じゃあ明日に向けてお前の変装のセットを準備するか」

「助かる、ゼロ。俺だけじゃベルモットみたいな変装は無理だし…」

「俺は用具を取りに戻るから、お前は仮の身分を考えて置いてくれ」

「わかった」

 

 頷いているが、景光さんの用意するカバーストーリーって割とトンチンカンなことが多いんだよな。

 警察学校で雑談していて分かったのだが、彼は根っからの天然さんだ。

 大丈夫だろうか……まぁ今日のうちに降谷さんと添削すればいいか、と降谷さんと頷きあう。

 

 そこでふと、何かに気づいたように景光さんがスマホを取り出した。

 

「あ、そうだ。明美にも教えておかないと」

「ん……明美さんは今どこに?」

「明美は今日は住所が変わったことを妹さんに伝えに行くついでにお茶するらしい」

「そうか、ならよかった。じゃあ行ってくる」

 

 明美さんにメッセージを入れる景光さんにややほっこりしつつ、上着を羽織って車へと向かう。

 

 明美さんはここでも幸せにやっているらしい。

 赤井さんにも新住所をメッセージで送っておいたし、勇気が出れば会ってくれることだろう。

 

 ……いや、ここに至るまでずっとその勇気が出ずに昴さんで居続けているのがチキンオブチキン、赤井秀一なのだが。

 そろそろ恋人に会ってやればいいのに。

 

 などとどうでもいいことを考えながら、私たちは荷物を取りに自宅へと向かったのであった。

 

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