バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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番外 バビロンの黄金伝説①

 

 ハレー彗星が次回地球に接近するのは2061年。

 1年間の中に閉じ込められたコナン時空において、それは永劫来ることのない未来である。

 

 と、なぜそんな話をするかと言うとだ。

 それは私が不二子さんに呼ばれて、ルパンがらみの映画版事件に関わることになったからだ。

 

 場所はニューヨークにある高層ビル最上階に居を構えた高級レストラン。

 そこで食事をしながら話す話題は「バビロンの黄金」について。

 

 不二子さんが私に流し目をして、ふわりと香るような笑みを向けた。

 

「ねぇ、それでどうかしら。手を組まない?配分は6:4で良いわよ」

「!太っ腹ですね。4もいただけるとは、何か理由でも?」

「賢いワンちゃんにはたまには美味しいおやつをあげないとと思っただけよ。バビロンの黄金なんて眉唾、あまり信じてないってのもあるけど」

 

 これは宝石花の仲介マージンのことを言っているのだろう。

 たまには還元してあげる、ということらしい。

 色っぽく首を傾げ、不二子さんはウインクをした。

 

 最近、不二子さんは「バビロンの黄金」というお宝をせしめるためにニューヨークマフィア、マルチアーノの元へ出入りしているようなのだ。

 なんでも、そのドンが親の代からバビロンに入れ上げているとのことで、マフィア業務そっちのけで遺跡発掘に勤しんでいるらしい。

 

 ちなみに、その代わりにマフィア業務を行なっているのは若頭のコワルフスキーという男だ。

 結構な野心家で、各勢力にちょっかいを仕掛けては敵を作っている。

 当の黒の組織もそうで、変な横槍でシノギを荒らされてRUMも相当ご立腹だ。

 

 そのため、私もコワルフスキーの、ひいてはマルチアーノのアジトを襲撃することになったのだが。

 

 不二子さんが優雅に妖艶にワインを口に含み、艶やかな吐息を漏らす。

 これは不二子さんなりのちょっとしたいたずら心だろう。

 私達二人の関係がそういう色を含んだものではないのを知っていて、たわいもないじゃれあいを仕掛けているだけと言うか。

 

 そこにはルパンへとするような情熱はかけらもない、ある種の健全さがあった。

 

「ねぇ、貴方もマルチアーノの始末を狙っているんでしょう?手を組むにはちょうど良いと思わない?」

「そうですね。アジトを潰せばどうせマルチアーノとは全面戦争になりますし。そちらから内部の情報を流してもらえれば、そのままアジトに乗り込みたいと思います」

「助かるわ。私も混乱に乗じて石板のデータを盗んだらおさらばかしら。あの男、ちょっとねちっこくて困ってたのよね」

 

 不二子さんは髪をかき上げて、はぁ、と嫌そうにため息をついた。

 

 あの男、とはマルチアーノのことだろう。

 不二子さんにぞっこんで、ややマザコンのきらいのある情緒不安定な男らしい。

 

「これだからお仕事での関係っていうのを理解していない男は嫌いだわ」

「でも利用はしやすいんでしょう、せっかくのパトロンを失うのは痛手なのでは?」

「お友達ならいっぱいいるもの。心配してくれてありがと」

 

 ちゅっ、と不二子さんは茶目っけたっぷりに投げキッスを私へと向けた。

 

 これは後でどこからともなく情報を仕入れたルパンが文句を言うに違いない。

 きっと「羨ましーことしやがって!!」などと地団駄を踏まれるのだ。

 

 というか、これは私をダシにルパンといちゃいちゃするのが目的だと思われる。

 不二子さんも困った人だ。

 嫉妬でボーボーに燃えたルパンがぐちぐち絡み酒をするののなんと面倒なことか、わかっていないからこんなことができるのだろう。

 

「それで、あなたの勘ではどう思うの?」

「うーん、バビロンの黄金伝説についてですか。僕自身は存在を信じますよ。───おい、まさか本当にあの婆さんの言葉を信じてるわけじゃないだろうな」

「婆さん?」

 

 今まで静観を決め込んでいた降谷さんが、珍しく不二子さん相手にむっつりと口を挟んだ。

 

 バビロンの黄金とは、この世界では眉唾とされている伝説だ。

 元はニューヨークで発見された古代メソポタミアの石板に端を発するもので。

 石板には「神の声を聞いた国王が国中から黄金を集めて〈あるもの〉を作った」なんて眉唾話が記載されている。

 

 勿論、なんでニューヨークに古代メソポタミアの石板があるんだよどうせ偽造品だろ、と世間は全く取り合っていない。

 

 ただし。

 これはこの世界において歴とした真実であったりする。

 

 なにせ私が実際に会っているからな、バビロンの時代から2500年以上の時を生きる歴史の証人に。

 

 証人はロゼッタという名の老婆だ。

 正真正銘の宇宙人で、老婆の姿をしているもののこれは単なる地球人向けのガワでしかないらしい。

 出会ったのは今年に入ってから。

 

 ルパンの仕事のためにニューヨークに来た私に「ハレー彗星が来ないの!!何かご存知ない!?」としがみついてきたのが出会いだったか。

 

 いわく「もうとうに2061年になってるはずなのにまだその半分も来てないし、そもそも日付があやふやだわ!貴方、何か知ってるでしょう!」とのこと。

 これには私も腰をぬかしそうなほどびっくりした。

 まだ今年になってから4年ぐらいしか経ってないつもりだったが…。

 宇宙的な観点から見ればもっとずっと時が経っているらしい。

 

 いや、そもそもルパンたちの時代も時空が結構あやふやだから、そっちが原因の可能性も否定できないか。

 

 とはいえ、私にはどうすることもできないのでその時は連絡先を交換だけして別れたのだ。

 

 今では時折電話してきて長話───「ルパンは相変わらずいけずなのよ!」とかなんとか───するぐらいだ。

 

 彼女がなぜ時空異常のことを私に聞いてきたのか、なぜ私にのみ素性の一切を包み隠さず話したのか。

 それは頑として答えようとはしなかったため、謎のままである。

 

 ああ、話がそれた。

 なんにせよそのバビロンで女神やってた宇宙人という証人がいる以上バビロンの黄金はマジだということだ。

 改めて言葉にするとどこから突っ込んで良いかわからんな。

 原作で知っていなければとても信じられない発言だ。

 

 降谷さんは「なんだこのイカれた婆さんは」とのコメントを残している。

 

 まぁ私は原作知識があるからロゼッタさんの言っていることが本当だと知っているが、側から見ればただのアル中のヤバい婆さんだからな。

 

 降谷さんの発言に興味をそそられたように不二子さんが瞬いた。

 

「あらなに、情報を握ってる人を知ってるの?」

「別に情報でもなんでもない。自称バビロンの時代から生きてる婆さんが知り合いにいるだけだ」

「でも、勘のいいワンちゃんがそれを一笑に付さなかった。あたし、これでもルパンと共にいてその手の話には事欠かなかったのよ?」

「………まあ、それもそうか」

 

 降谷さんは微妙な顔をしつつも「相棒が言うなら確かに…」みたいな空気を出し始める。

 説得されるの早ぇよ。

 そんな変に信用されても困るんじゃが。

 

 お、前菜が運ばれてきた。

 運ばれてきた超一流の料理は、おお。帆立のムースと菜の花のオマールだ。

 

 不二子さんが軽くニコッと笑いかけてくる。

 私が帆立好きなのをいつの間にか知られていたらしい。

 これだからこの人は油断ならないんだよな。

 

 不二子さんは優雅に帆立のムースを口へ運び、胸の間からUSBメモリを取り出した。

 

 

「ふふ。じゃあ手を組むと言うことで決まりね。情報交換といきましょう?」

 




・不二子さん
バボ主の勘ならお宝の位置を割り出せるんじゃないかと思ってマルチアーノから乗り換えた。
このあと盛大にルパンを煽って嫉妬させて遊んだ模様。
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