バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】 作:ラムセス_
車両内から次元さんに「上の奴は任せた!」との声と共に複数の銃声が響いてくる。
しかも「待てルパーンッ!!!」との聞き覚えのある怒号も聞こえてくるではありませんか!
ひゅっと背筋に緊張が走る。
銭形警部はあかん。私では実力生命力とも勝てる要素が見当たらない。
あんな手玉に取れるルパン達の方がおかしいんよ。
下は次元さん達に任せた方が良さそうだ。
目の前で戦闘ヘリが旋回している。
再び私目掛けて銃撃しようと、低空飛行で突っ込んでくるつもりなのだ。
私はすう、と目を細めた。
くだらないことをするものだ。
組織の開発した機甲鉤爪ならともかく、今装備しているこれは斬鉄爪だ。
それを相手に武装した戦闘ヘリ程度で勝てると思っているなら、それは舐めすぎというものである。
軽く跳躍。薄く笑う。
斬鉄爪を構えて。
すれ違いざまにヘリの右半分を切り落とす。
驚愕の表情をした操縦手が、真っ裸にむかれて電車の上に落下した。
うん、順調順調。
五エ門師匠ならこの一撃でヘリ丸ごと解体できていただろうか、まぁ私ならこの程度だろう。
降谷さんがうーむと悩ましい顔をした。
───お見事。さすが安室だな。どうやったらそうなるのかさっぱりだ
───斬鉄を意識してそっと刃を入れていくイメージですね。力の流れに逆らわないのがコツといいますか
───まず刃物で鉄は切れない
それはそう。
降谷さんのツッコミに私は思わず頷いた。
でも実際切れてるんだから仕方ないじゃろ。
左半分はそのまま取り残されたように森へと落下して爆発。
黒い煙を濛々と上げたようだった。
私は真っ裸の男の頭を掴んで強制的にこちらを向かせた。
「で、僕に用事ですか?」
「!!!お、俺はバビロンの宝を狙うルパン一味を始末しろとしか聞いてない!助けてくれ!!」
「おや、意外ですね。バビロンの宝に執着していたマルチアーノが死んだ今、コワルフスキーはそちらから手を引くと思っていたのですが」
予想より強欲だったということか。
それとも、私も始末できるし宝も回収できる、一石二鳥と考えたか。
実際はわからないが、まあどちらでも構わないか。
結束バンドで軽く手足を縛り上げて、電車内に引きずっていく。
このまま電車の外に突き落としてもいいのだが、もしかしたらルパン達が聞きたいことがあるかもしれないからな。
降りた内側では、未だ銃撃戦と追いかけっこが続いているようだった。
なにやら国際色豊かな女性警官がちょうど倒されて伸びている。
次元さんも五エ門師匠もタジタジだったらしく、無力化するまで時間がかかったようだ。
銭形警部も毛色のよくわからん部下を持ったものだ。
当の銭形警部だが、こちらはルパンが惹きつけているようでこの辺りに姿は見えなかった。
遠くから「次元!五エ門!!」と呼ぶルパンの声がする。
どうやら連結部分を切るつもりらしい。
急いでルパンの元へ向かえば、罠に引っかかって大きな棚に括り付けられたらしい銭形警部が棚ごとのしのしずりずりとこちらへ向かってきているところであった。
どんな膂力やねん。
「待てぇルパン!!逃さんぞォォオオ!!」
「とっつぁんそろそろ休暇でも取ったら?あらよいしょと」
「!?!?させるかぁぁあああ!!」
ちょきん、と妙な効果音を口ずさんでルパンが連結を切った。
しかしそれで諦める銭形警部ではない。
棚に括り付けられたまま、切り離された連結部分に齧り付き、銭形警部が置いていかれまいと踏ん張っている。
縛られて両手使えない状態で歯で連結部分噛んでるだけなのに、どうやって後ろの車両を支えているのか。
なぜ支えられるのか。
謎が謎を呼んでいるが、それは突っ込むべきところではないだろう。
あっ、ルパンが「らーらららー」との歌を歌いながら胡椒を振りかけた!
そして銭形警部が「ぶえっっくし!!」とくしゃみをして、そのまま連結が決定的に離れてしまう。
「ルパーーーン!!覚えてろよーー!!!」と銭形警部が叫んでいる。
凄まじい執念だ。私もその胆力を見習いたいところ。
隣では若干顔の赤い師匠が「可憐な…女子であった」と目を伏せている。
婦警さんの一人に惚れたか?いやしかし五エ門師匠の惚れた腫れたって敵ばっかだな。
次元さんがタバコを咥えて目頭を揉んだ。
「おい安室、なんか言ってやれよ」
「僕からは何も。ですが見たところあの女性警官は悪い人ではなさそうでしたよ。ゼロと同じタイプの、真面目でプライドが高い人といいますか」
内側で降谷さんが「プライドが高いってなんだよ」などとぼやいている。
言葉の通りじゃよ。
さて、到着した遺跡に乗り込んだのはルパン一人だ。
バグダッドに到着してから車で二時間。
はるばる来たそこへ、ルパンは一人で凧を使い颯爽と入って行った。
そこで何を見たのかは、私にはわからない。
ただ一人神妙な顔をして黄金の翼ある獅子の像を持って帰ってきたルパンは、ただ無言でもう一回私の頭をぽこんと叩いた。
「あいた!?!?」
「お前の取り分、1割。オーケー?」
「むしろ取り分貰えると思ってませんでした……あっ待ってまた殴るのは無しですよ!?」
「五エ門、教育不行き届きだぞ」
「拙者がもう一度よく言い聞かせておく」
またグーでゲンコツを握られたのでさっと頭を隠せば、ルパンが大きなため息と共に黄金の獅子像に縋りついた。
「おーお前はそれに比べていい子だなぁ」と撫でさすっている。
え、なにこれ。私は黄金の獅子像以下ってことか?
頭を押さえて降谷さんがくしゃくしゃな顔で抗議する。
「───これは俺の体でもあるんだからポコポコ殴るんじゃない、ルパン」
「オメーの相棒がこんなんだから俺が教育的指導してやってんの!おわかり!?」
「安室はまだ5歳の未就学児だ。手加減してやってくれ───それは流石に名誉毀損ですが!?」
「ブハッ!!」とルパンが吹き出した。
ひーっひっひっひ!!と謎の馬鹿笑いを繰り出している。
「安室ちゃんが!未就学児!ひー!!」
「おいルパン、そろそろ帰るぞ、馬鹿笑いしてんじゃねぇ」
「だってよ次元、ぶふふ、そーかそーか!まだ小学生でもない僕ちゃんだもんな。うんうん」
「僕の名誉が回復不可能なまで傷ついてるんですがゼロはどう責任とってくれるんですか───悪かった。後悔はしていない」
降谷さんェ!!!
そんなふうに騒々しく黄金の獅子像を回収して、私たちは無事イラクを後にしたのだった。