バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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100万ドルの五稜星④

 

 コンマ数秒。

 視線をチラリと滑らせて戦況確認。

 

 相手はサブマシンガン持ちが4人。加えて貧弱な拳銃持ちが6人。

 実に少ない。

 手榴弾とかあれば少しは私も緊張したのだが、本当に舐め腐っているなぁ。

 

 イラつきのままに視線を鋭くする。いかんいかん、冷静にならねば。

 

 こちらは私と、背後に保護対象たるコナン君のみ。

 この位置取りならきちんと銃弾さえ弾ければコナン君に銃弾が届くことはないだろう。

 

 また、周囲は商店街だからあまり発砲させすぎるのは避けた方がいいかもしれない。

 

 緊迫する空気。

 

 瞬間。

 滑るように警棒を振るった。

 バババババ、と連射の音。硝煙の香り。一瞬が引き延ばされる感覚。

 

 銃弾が警棒の芯に当たる心地よい振動を手のひらで感じて。

 そのまま振り抜く。

 

 「ッぎゃああ!!」「ゴハアッ!?」と鋭い悲鳴。

 

 左右から馬鹿正直に撃ってきたサブマシンガンの弾達は、過たず所有者の両手足へと吸い込まれていった。

 

 あっけないものだ。

 残りはカドクラ一派の乗ってきた車に叩き込んで対応完了。

 下手なところに弾いて通行人に当たったら事だからな。

 この辺りは丁寧に対応せねばなるまいよ。

 

 悲鳴をあげて倒れ伏す男らをせせら笑い、私は一歩踏み込んだ。

 足を撃ち抜かれて転がる男を蹴り飛ばそうとして───思い直して避けて通る。

 

 一応私たちは正当防衛ということで動いているからな。

 こいつらは同士討ちしただけだし、私はただがむしゃらに警棒を振るっただけ。

 そういうことにしてある以上、蹴り飛ばすのはまずかろう。

 

 私が二歩、三歩と距離を詰めれば、カドクラを囲む拳銃持ちの男達が慌てて拳銃を構え直した。

 

「止まれ!撃つぞ!!」

「悠長ですねぇ。僕のような剣士の類とは初めて戦うんです?」

「止まれっ止まれッ!!来るなァ!!!」

 

 話を聞かない奴らだ。

 恐怖に震えながらも健気に発砲してきたので、それも同様に弾き返して無力化する。

 

 全員が倒れるのに2秒もいらなかっただろう。

 死屍累々で倒れる男達を足元に、私は暗い愉悦に口角が自然と上がった。

 カドクラが狼狽えて後ずさる。

 にっこりと陰惨にせせら笑い、私は口を開いた。

 

「で、『生かして帰すな』でしたっけ。随分と冗談がお上手なんですね」

「この、……化け物、め…!!」

「そうですよ?化け物です。貴方も知ってたはずなのに何故突っかかってくるのか、正直理解に苦しみます」

 

 脂汗を垂らしながら、カドクラが恐れのあまり躓いて尻餅をついた。

 そのままズボンが汚れるのにもかまわずにずりずりと後退する。

 

 哀れなものだ。このまま一思いに首の骨を折って────。

 

 

 と、そこで9台を超える警察車両が突入してきた。

 

 北海道警だろう。

 同時にやや遠くに車を停めた、警備部の機動隊が到着。

 バリスティックシールドを構えた全身装備の警官達が雪崩れ込んで来た。

 こりゃ時間切れらしいな。

 

 北海道警の西村警部が先頭に立ち、拳銃を取り出した。

 

「ブライアン・D・カドクラ!街中で派手に発砲するとは…観念しろ!」

「た、助けてくれぇ!殺される!!」

 

 あっ、この男、あんだけのことをやっときながら警官に助けを請いやがった!

 イラつきのままに全力で殺気を叩き付ければ、カドクラはそのまましめやかに気絶した。

 

 西村警部が私をジロリとにらみつけ、胡乱な様子で近寄ってきた。

 

 そのまま他の刑事さん達が拳銃を隠し持っていたらしい意識のないカドクラを捕縛。

 手錠をかけて引きずっていった。

 自分が放った銃弾で撃ち抜かれたカドクラの部下達は救急車で運ばれた。

 両手足を撃ち抜かれているからな。

 出血もあるし、早く病院で治療を受けたほうがいいだろう。

 

 それを横目で確認して、西村警部がこちらへと近寄ってくる。

 

「お前、毛利探偵と一緒にいた……どうしてここにいる?」

「僕を助けてくれたんだよ!!」

 

 そこで慌ててコナン君が飛び出してきた。

 どうやら私がどう出るか慎重に確認していたらしい。

 額に冷や汗をかき、どうもひどく緊張している様子だ。

 

 何故だ?もう危機は去ったんだし、そこまで緊張する理由がないはずだが……。

 私の内心を読んだ降谷さんがジトっと私を睨め付けた。

 

───そりゃお前がキレ散らかしてたからだろう。もし他人なら俺でも近づくのを躊躇う状態だったからな

───やっぱ絶対吹かしてますよね、僕そんなキレてないですもん

───なんでそう頑なに認めないんだお前は…

 

 呆れた調子で降谷さんが息をついた。

 違うもん私はキレてないもん!この程度の三下にキレるなんてしてないもん!

 

 ともかく、コナン君から事情を聞いて、西村警部は難しい顔で頭をかいた。

 まあそりゃ正当防衛と言えばその通りなんだが、状況が特殊すぎるもんな。

 一体誰が信じられるだろうか。

 サブマシンガン四丁が相手の状況で、警棒一本で相手を全員病院送りにするなんて。

 

 まぁ、一応この事件は公安預かりになる予定だ。

 実際カドクラは日本へと組織的武器密輸を企てていたし、公安がマークしていたのは本当のこと。

 その流れで私も無罪放免になる予定だ。

 つまり何も問題ないということで、無事万事解決ってことだ。

 

 すると、後続の車からやってきた北海道警の川添刑事が慌ててこちらに駆け寄ってきた。

 そしてそれに続いて車から降りたのは…毛利探偵だ!!!

 

 座った瞳でこちらを見る毛利探偵はずもももも、と怒りとも何ともつかぬ気配を漂わせている。

 どうやら車の中で現場の状況は聞いていたらしい。

 それ即ち私の大暴れも聞いていたということで……まずい。

 

 拳を握りしめ、こちらへズンズンと近寄ってくる。

 あーっおやめになって!ゲンコツはおやめになって!!!

 

 毛利探偵は拳を振り上げた。

 

「相手は銃持ってんだ!無茶してんじゃねぇ!!!」

「ぃだっ!?!?!?」

 

 ごちん!と拳が頭にぶち当たって火花が散る。

 しゅんっと素早い動きで降谷さんが痛みの届かない奥の方へと潜った。素晴らしい反応速度だ。

 一人だけずるいぞ!!

 

 毛利さんは流れるようにコナン君もゴスンとぶち、「うぎゃっ!?」とコナン君が両手で頭を押さえた。

 

「ボウズも!!安室が助けに入らなかったら死んでたかもしんねぇんだぞ!」

「ごめんなさい…」

 

 しゅんとしたコナン君の様子は随分としおらしいが、隙あらば二度目も躊躇わずやるという雰囲気に満ちている。

 ついでに私も隣でしゅんとしておく。

 だってだって、この程度の雑魚に私がやられることないし、危険もないと思ったんだもん…。

 などと心の中で言い訳。口には出さない。

 

 横で見ていた西村警部がため息をついた。

 

「とりあえず、署までご同行を願いましょうかね。ったく、警棒一本でサブマシンガン四丁の一斉掃射を弾き返す奴があるか?石川五エ門じゃあるまいに」

「ははは。コツを掴めば楽なものですよ?リズムゲームみたいな感じで」

「………毛利探偵、しっかり教育頼んだ」

 

 間髪入れずもう一発ゲンコツが直撃し、私はしゃがみ込んで呻いた。

 おお、神よ…寝ているのですか…。

 

 

 そうしてカドクラと斧江拓三は逮捕されて、函館を騒然とさせた銃撃事件は決着がついたのだった。

 




・斧江拓三
 画面外で銃撃戦に敗れた人。
 本編でコナン君を追ってきたのはカドクラ一派だが、その前に函館市内で斧江VSカドクラの銃撃戦があった。
 ウルフドッグの噂を掴んでいたカドクラはマシンガン等の武装を準備しており、武装の豊富さから斧江一派を一蹴。
 先に斧江一派を逮捕するのに人員を割かれ、警察もやってくるのが遅れた模様。
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