バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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護衛任務!①

 

 函館の一件から二週間。

 斧江圭三郎の宝について警察へと連絡した後、ことの次第は雪だるま式に大きくなった。

 

 なにせ戦時中の日本の動きを示す歴史的な遺物の出現である。

 その所有権は紆余曲折あり、当主が逮捕された斧江財閥の手を離れ、最終的に市へと移ったそうだ。

 

 それは函館市の新たな観光資源となるそうで、今では周辺の整備計画が練られているとの報道も散見された。

 

 TVカメラもひっきりなしに出入りし、そのドラマチックな発見経緯を特集した。

 函館市内で宝を狙って銃撃戦まで繰り広げられ、宝を狙う海外武器密輸グループが摘発され、挙句発見したのは未成年二人を含む民間人探偵グループと来たのだから。

 そりゃ注目の一つ二つはされるだろう。

 

 で、そんな中。

 本日、私は公安に呼ばれて警察庁へと足を運んでいた。

 

 無機質で明るいばかりの会議室に通され、そこに座る黒田管理官に会釈する。

 相変わらず仏頂面で読めない人だ。

 意外とチャーミングな性格の人であることは原作を見て知ってはいるのだが、なんというか見た目がとてつもなくいかついからな。

 

 黒田管理官の反対側の席では、どこか緊張して小さくなっている風見さんの姿が見える。

 非常に居心地が悪そうだ。

 まあ、上司の上司と二人きりで会議室に取り残されれば緊張の一つぐらいはするわな。

 

 黒田管理官は私たちの姿を確認し、一つ瞬いた後に頷いた。

 

「潜入任務中に呼び出してすまなかったな、降谷」

「いえ、問題ありません。何か御用でしょうか」

「……お前に一週間の任務が下される。組織の任務の方は問題ないか?」

「!!……ひとまず急ぎのものはありません。今日から二週間ほどの間のことでしたら、組織に邪魔されずに任務が可能かと」

 

 降谷さんが少しみじろぎした後、淡々と質問に答えた。

 急に呼び出されて何かと思ったらどうやら公安からの任務らしい。

 

 これは実に珍しいことだ。

 なにせ私たちはこれでも潜入捜査中の身の上だ。

 公安であることがバレれば幾多もの捜査官の犠牲が無駄になり、この任務自体も失敗に終わる。

 

 そのリスクを負ってでも私達を使うということは、それだけ失敗の許されない任務だということだ。

 降谷さんが目を細めて口を開いた。

 

「それで……任務の内容は?」

「とある人物の護衛依頼だ。5日後、米国より次期大統領候補でもあるアラン・マッケンジー司法長官が来日される。その彼の護衛を頼みたい」

「なるほど。WSGでの失態を米国に追及された結果ですか」

 

 苦い顔の降谷さんは唇を引き結ぶ。

 WSGではあと少しでアランさんが攫われるというところまでいったからな。

 ギリギリのところで私が阻止したが、警備としては失敗の部類であったと言って間違いない。

 黒田管理官は重々しく頷き、手を組んで───古で言うところのゲンドウポーズをして───ジロリとこちらを見据えた。

 

「そうだ。あの時助けたのがお前だとマッケンジー司法長官には伝わっている。今回お前が抜擢されたのは向こうの希望もあるとのことだ」

「………わかりました。危険分子については何か情報はありますか?」

「そちらについては追って詳細を送るが…マッケンジー司法長官に脅迫状が届いている。どうやら海外マフィアと繋がりのある国内武器密輸組織が動いているらしい」

 

 ふむ。

 とすると、かつてマッケンジー司法長官に武器の販路を絶たれて恨みに思っている、なんてことも十分にありそうだ。

 

 降谷さんが内側で舌打ちした。

 

───クソ、日本に蔓延るゴミが多過ぎる。バーボンの仕事にかこつけてゴミを消してまわっているのに、一向に減りもしない!

───ははは。まぁ、着実に減らしていきましょう。僕も力になりますから

───本当に助かる。お前がいてこれほど心強いことはない

 

 降谷さんが荒っぽく息をついて深層心理でちゃぶ台へと肘をついた。

 

 降谷さんは降谷さんで相当な日本過激派なんだよなぁ。

 私が組織の仕事で大量虐殺するって非人道的な行動をとる時もあるのだけれど。

 ライバル組織を潰す仕事なんかだと嬉々として「行け、安室!これを機に潰せ!!」とかヤジを飛ばしてくるからな。

 それで良いんかお巡りさん。

 

 まぁそれはともかく。

 降谷さんは黒田管理官へ向かって頷き、固く強い意志を表情に滲ませて返事をした。

 

「分かりました。マッケンジー司法長官の身の安全は保証します」

「頼んだぞ、降谷。それと、期間中の細かい調整は風見の班に任せてある。補佐としてうまく使え」

「助かります」

 

 風見さんがこくりと頷いたが、どうにもその背中が煤けて見えておや、と思う。

 表情は硬いままなのだが、なんとなくひどく落ち込んでいる様子が見え隠れするというか。

 

 私の疑問に、降谷さんが興味なさそうに深層心理の書庫を漁りながら答えた。

 

───どうせ沖野ヨーコのコンサートがまた行けなくなったんだろう。たしか8日後に群馬で公演があったはずだ

───な、なるほど。よく覚えてますねゼロ…

───部下のコンディションに影響するからな。このぐらいは頭に入れてある

 

 入れた上でまったく考慮しないところが最高に降谷さんと言った感じだが、これも仕事ゆえ。

 許せ風見さん……また沖野ヨーコにあったら直筆サインとか貰っておくから……。

 

 うん。何はともあれ警備の件だ。

 世界最高峰の近接戦闘者として、栄えある日本警察の一人として、なんとしてでも私も腕を振るわねばなるまい。

 

 私たちはそのように意識を固め、今回の護衛任務に対して意識を新たにするのであった。

 

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