バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】 作:ラムセス_
日付はすでに5日目。
長かった護衛任務もあと残り2日に迫っている。
しかしすでに人員はへとへとで疲労困憊。
あっちで起こる銃撃事件こっちで起こる殺人未遂(野良の別件)に流石の警備部も人手が足りない様子だ。
いっそのこと面倒ごとを少なくするためにも件の武器密輸組織へ直接乗り込みたいが………マッケンジー氏から私が離れるのは不安がつきまとう。
一応、私によってこれまでの襲撃は全てを防がれている。
そのためあちらさんも膠着状態に陥ったのか、5日目にもなってくると攻め手も下火になってきていた。
暗殺も嫌がらせ程度のものが日に一回ぐらいで、落ち着いていると言っていいだろう。
ホテルで付け火と思われる小火騒ぎが起きたり、ちょっとした脅迫の手紙が届いたりとその程度だ。
さて、そんなわけで本日の予定はお偉方が集まって軽井沢でゴルフである。
ゴルフ場は穏やかに風がそよぎ、変な視線も特にない。
ここ数日SNSを騒がせている「お面サムライ警官」を追いかけようと躍起になる人も特にいないようだ。
というのも、先日の大立ち回りで、私のことがSNSに上がったっぽいんだよな。
公安が圧力をかけているのでTVでは取り上げられていないものの、ネットではまことしやかに噂が広まっている。
「フリーのホラゲに出てくる怪異の類」とか「コスプレの完成度高いな」とか。
早いうちから公安が工作したので概ねデマと受け取られているが、さすがネット社会は面白い物好きに違いない。
黒の組織からも念のためと言って確認の連絡が来たが、そちらも適当にいなしておいた。
米国からフォックステイルへの依頼だと言えばそれ以上突っ込まれることもなく。
RUMから「程々にしておいてくださいよ」と苦言を呈されるだけで済んだ。
というか、実際米国の思惑から考えればフォックステイルへの依頼で間違ってないしな。
そうしてゴルフ場で周囲の異変がないか警戒していれば。
ちょろちょろと視界を掠める一匹の小学生探偵が視界をよぎるなどする。
いや、まぁ実際気配感知で警備計画にない気配が一つうろついてたから態々見に来たんだけどね。
こそこそとしていたので、後ろからひょいとその小さな首元を摘み上げる。
「で、どうしてここにいるのかなコナン君」
「うわぁ!?あ、安室さん!?その格好なに!?」
「ただの仕事用の変装だよ」
「変装…???」
心底訝しげな顔をするな。
どう考えても目立ってるって言うか不審者の格好だって思っているんだろ。
そんなの分かってるわい、と少しばかり膨れっ面。
じろりと睨みつければ慌ててなぜゴルフ場で一人彷徨いているのかを白状してくれた。
「えーっと、僕は毛利のおじさんについてきて軽井沢に旅行に来たんだけど、この辺に不審な人がいたから跡をつけてただけで…」
「ッ不審な人物!?」
「発信機をつけてあるからこのまま追えるよ。安室さんも来る?」
「………いや、僕はここを離れられない。悔しいが、対処は頼んだよ」
そう言ってコナン君を下ろし、私は微笑んだ。
パチクリとコナン君が瞬き、それからニッとイタズラ小僧のように口角を上げる。
「安室さんがそう言うってことは、不審者に心当たりがあるんだよね?」
「僕は今、米国司法長官の護衛をしていてね。彼は命を狙われているんだ」
「!!!……そっか。僕の見つけた人は爆弾らしきものを持ってたよ。もしかしたらその人の立ち寄る場所に仕掛けるつもりかもしれない。安室さんも気をつけて」
「分かった、ありがとうコナン君」
頷きながら、爆弾は少々厄介かと眉間に皺を寄せた。
切っても無駄だし、広範囲に被害が出れば射撃が防げても火事や煙で対象が死にかねない。
それに、コナン君のいうことが本当なら……私の気配感知に引っかからないレベルで気配を消せる奴が主犯ということになる。
それは少々まずい事態だ。
持ち場に戻れば、マッケンジー氏は少し早めの昼食会の最中であった。
君も一緒にどうだ!と誘われるがままに席に着く。
するとなぜか彼の手によってたくさんのバーベキュー肉を盛られ、目を白黒させることになった。
マッケンジー氏が私にウインクする。
「それにしても君の腕前は本当に素晴らしい!是非とも我が米国で力を振るってほしいぐらいだ!」
「どうだね」と彼が戯けたような口ぶりの中に真摯さと本気を混ぜて語りかけてくる。
私はわずかに会釈してから肩をすくめた。
「御心は嬉しいのですが……僕は日本警察の一員であり、心は日本に預けてあります」
「だろうな。君の誇り高さからもそれが伝わってきたよ。もしいつか日本にいられなくなったら、その時は米国のことを思い出してくれ」
それだけ言ってもっとさらに肉を盛ってくる。
田舎のおばあちゃんじゃないんだからさらに追加で盛るのはやめてくれ。
それを「いただきます」と恐縮して見せてから一口食べる。
焼きたての黒毛和牛のバーベキューは実に美味しく、熱々の肉の旨みが広がってくる。
その時。
ピピピピ、とスマホがなった。
マッケンジー氏のスマホが着信音を鳴らしているのだ。
「……私だが……!」
マッケンジー氏は二言三言会話して目を見開き、素早く通話をスピーカーモードに切り替えてスマホを机に置いた。
そこから淡々と響く機械音声にハッと息を呑んで。
『もう一度言う。このゴルフ場のクラブハウスに爆弾を仕掛けた。お前達が逃げようとすれば爆発す………なっ、なんだお前は!?このガキッ!』
数発の発砲音。
そして「いっけぇぇええ!」という少年の叫びと「グハァ!?!?」と男の悲鳴が通話に入り込む。
キャー!コナン君素敵!!かっこいい!!
私が内心で歓声を上げれば、降谷さんが「いや彼の巡り合わせどう考えてもバグってるだろ…」と呆然と言葉を漏らした。
私、爆弾苦手なんだよな。
彼が処理してくれたのならこれ以上嬉しいことはない。
───それにしても外警備の連中は何をやっているんだ
───仕方ないですよ。コナン君にやられたところを見るに気配隠しの一芸特化だったんでしょうが、それでも相当な手練れですから
降谷さんは不機嫌そうに息をついたあと、黙りこくった。
そしてしばらくの沈黙の後、通話先からスマホを拾い上げるガサッという音がした。
『あ、もしもし。ここにいた悪い人は足を滑らして転んじゃったから僕が代わりに出てます。場所はゴルフ場西のショップあたりで一緒に爆弾の起爆装置もあるよ』
「……お電話ありがとう。すぐ大人の人を向かわせるから、少し待っていてね」
『うん!』
子供ぶって大嘘をつくコナン君の言葉に吹き出しそうになりながら、マッケンジー氏の代わりに私が応える。
なにはともあれ爆速解決だ。さすがはコナン君。仕事が早い。
そんなミーハー心を弾ませながら、私は部下と共にその場に急行したのであった。
・完全なる偶然で現場位に居合わせたコナン君
たまたま毛利探偵について軽井沢まで来て、たまたま気配遮断のプロをが不審な行動をしているのを視認して、油断してた犯人に発信機しかけて、電話で気が逸れているところを強襲をかけた人。
・気配遮断のプロ
子供相手に油断したドジ。
しかし気配を消す術はマジで超一流で、一瞬でコナン君の尾行を撒いている。