バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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今回は番外編、ルパン三世アニメスペシャル沿いです。


番外 ワルサーP38①

 

 ルパンの仕事に付き合う、とある日のことである。

 

 私は最近、訓練も兼ねてルパンの案件に積極的に付き合っている。

 これは万が一公安から切り捨てられた時の下地造りであり、公安自身からルパンの動向を探れと命令を受けているためでもある。

 

 降谷さんも「盗みの片棒を担ぐなんて」と初めはふてくされていたのだが。

 このごろはノリノリでルパン一味として行動しているので、人は変わるものである。

 

 本人いわく、割と悪党から堂々と金品を奪えることが多いのでスカッとするとのこと。

 あと悪どいことをやってる他国のデータとかを盗み出せるのが非常に良いらしい。

 

 真面目な兄が悪い遊びを覚えたみたいで微妙な気持ちになる今日この頃である。

 

 さて。このたびの標的はバミューダトライアングルの中に潜む地図にない孤島。

 謎多き暗殺集団「タランチュラ」の拠点だ。

 

 周囲はレーザー砲を備えた静止衛星によって監視され、また特殊なガスとそれに反応する毒によって人員が管理される、絶海の要塞。

 そこに住まうのは元凶悪犯ばかりで、人の殺害を生き甲斐にするもの達が多く存在している。

 

 これは名作ルパン三世TVスペシャル「ルパン三世 ワルサーP38」と見て間違いない。

 

 地味に黒の組織への有力出資者がタランチュラによって消されたこともあり、組織とは敵対関係にあったりする。

 とはいえ、タランチュラは各国有力者の後ろ盾を得た超巨大暗殺集団。

 黒の組織では忌々しく思ってはいても損得を考えれば手は出せない、という絶妙な力関係である。

 

 ちょっとばかり古めかしい定期連絡船を乗っ取り、私たちは一路その要塞島を目指していた。

 

 私達は毎度お馴染み紅白の着物姿に狐面。ルパンはシックなジャケットを着ている。

 次元は黒いスーツにボルサリーノ。

 見れば見るほど多国籍な珍妙集団である。

 

 甲板の手すりにもたれかかったルパンが、私を見て軽くぴらぴらと手を振る。

 

「いやー、オメェらは危ないから置いてこうかと思ったんだけどよ?置いてったら拗ねるかなーと」

 

 ニシシ、と悪戯げに笑うルパンは如何にも明るく、私達の進む霧の立ち込めた海域へと柔らかな日差しの如く差し込んでいる。

 ただし。プライドエベレスト男・降谷さんはルパンの評価……という揶揄い混じりの心配に納得していない。

 

「───実力的に舐められても仕方ないのは分かっているが心が納得しない」

「…おい。ルパンもそろそろ反応が楽しいからって揶揄うのは止めてやれ」

 

 ポコポコ怒る降谷さんを哀れんだのか、次元さんが軽く帽子のつばを下ろしながらため息をついた。

 毎度この愉快な掛け合いがお馴染みになりつつあるので、次元さんも慣れたものだ。

 弄られすぎて内側に引きこもっても面倒なので、次元さんも一応毎回降谷さんの肩を持ってくれている。

 

 それをどこ吹く風のルパンが「降谷ちゃんてばお子ちゃま〜〜」と追加で揶揄うので余計話が拗れるのだ。

 

「いつか絶対逮捕してやる…銭形警部にお前の間抜けな失敗談を暴露してやる…」

「そーれは卑怯ってもんっしょ降谷ちゃん!もー、怒らない怒らない。そんなんじゃ肩凝って仕方ねぇだろぉ?」

「肩こりの原因が何を言う!!!───落ち着いてくださいゼロ。そろそろ大事な血管切れますよ」

「オメーらいつまでも遊んでんじゃねーぞ…」

 

 どんどん次元さんの声色がどんよりしていく。

 たぶんルパンと降谷さんがそろうと五月蝿さが五倍とかに膨れ上がるからだろう。

 

 若人を揶揄って遊ぶ相棒に辟易としているのかもしれない。

 

 ルパンがカラカラ笑ってちらっと私たちへと視線を向ける。

 その目つきには厳しくも優しい、母ライオンに似た親心が映っている。

 

「ま、実際最近のオメェらは随分実力も上がってきたし、そうそうやられることはねーだろうさ」

「本当か!───不安なんですけど…本当ですよねルパン三世?」

「俺様冗談は言っても嘘はつかないタチでね。オメェらもそろそろ独り立ちの頃かなーとは思ってたんだ」

「何回やっても五エ門師匠に勝てた試しがないですけど」

「そりゃ俺達は超一流のプロだから?駆け出しのひよっこに負けるとかは無いかんなぁ」

 

 そのルパンと戦えるスーパー爺さんやらが登場するのが今から行く要塞島である。

 一般的な環境下において独り立ちなら分からなくもないが、今回は相手が相手だ。

 不安に体がこわばるのを感じる。

 

───どうした、安室。何かあったか?

───いえ。なにか嫌な予感が…したような気がしまして

───はは。お前も不安になることがあるんだな。

 

 心配いらない、俺たち2人ならどんな事があっても対処できる。そうだろう?

 

 深層心理の湖の中、降谷さんが微笑んでいる。

 その自身に言い聞かせるような決意に勇気付けられ、私は柔らかく微笑む事ができた。

 

 それはそれとして。

 タランチュラのネームド級は平然とナイフで銃弾を弾き返してくる人間ビックリショーの軍団なので不安が過ぎる。

 同格以上の戦いなんて五エ門先生以外にした事ないから、経験を積む目的ではかなり重要ではあるけれど。

 

 到着まであと数時間はかかる。

 武器の爪の調子を確認して手入れしながら島に着くのを待っていると、興味深げに次元さんが覗き込んできた。

 

 「そうやってると五エ門みたいだな」とのこと。

 刃物の手入れをしている姿が五エ門先生に被って見えたらしい。

 

「刃物の手入れも五エ門先生から教わりましたからね。似ているのも無理はありません」

「へえ、道理で。ところで、ルパンとオメーの最近の訓練…ありゃなんだ?」

 

 次元さんの言っているのは最近のルパンと私の特殊訓練のことである。

 電波遮断室で無線で通話してもらい、それを耳当てで音を遮断した私が聞く訓練、というか。

 早い話が、私の電波探知精度の向上訓練である。

 

「僕が電磁波を直感的に感じ取れるのを利用して、通信の傍受ができないかを試してたんです。人間受信機の試みですね」

「……いやいやいやいや、人間に電波は感じ取れねぇよ!」

 

 ごもっとも。

 私は根本的には霊体だから仕方ないが、普通の人間は電波を感じたら病院へ行くべきだろう。

 へへへ、と誤魔化し笑いをする。

 

「結局、音声データ以外も、感じ取った信号を数字に強いゼロの方に処理してもらうことでなんとか傍受に近いことができるようになりました」

「できたのか…すげーな…」

「───というか人外の射撃性能の次元さんの方がよっぽどすごいと思うんだが」

 

 まさにそれ、と私もつい言いかけた。

 さらっと身体能力も馬鹿高くて私の爪ひょいひょいかわすし、ほぼ後ろに目がついてるレベルで見えてない場所に精密射撃を仕掛けてくる。

 あれこそ電波でも見えてないと説明がつかない謎技術である。

 

 そんなふうにまったり雑談しながら、ようやく島へと到着。

 荷物に紛れて中に入り込み、そのまま森の奥へ。

 

 しばらく歩いてキャンプ地として良さげな場所を見つけたら、軽い荷物を置いて一旦休憩だ。

 一味の一番下っ端として焚き火等の準備を1人で行い、少ないながらも飯の煮炊きの準備。

 

 今日の飯当番は私だ。

 こういう場ではありふれた小さな缶詰ぐらいしか持ち込めないが、多少の工夫で美味しくできることもまた事実。

 

 ルパンに「おーっ凝り性!相変わらずオメェらの飯は美味いからありがてぇぜ!」とお褒めの言葉をいただいた。

 

 夕飯を食べ終えれば、後は寝るだけ。

 とはいえこの後だったか、タランチュラの人員に襲撃されるのは。

 ぐっすり眠るわけにもいかず、降谷さんと交代で見張りをしながら寝ることになるだろう。

 

 狭い島内とはいえ、ルパン達の行方を半日足らずで割り出すとはタランチュラ達も中々の手練れである

 

 

 

 深夜。

 やれ!の声と共に、寝袋にナイフが降ってくる。

 

 あらかじめダミーの寝袋を設置しておいた私たちは、それを木の上から悠々と眺める。

 私は来るとわかっていたから心構えできていたが、ルパン達は一体どうやって察知したのだろうか。

 備えあれば憂いなし、ということならやはり心構えから違うと感嘆せざるをえない。

 

 襲撃してきた人数は軽く30人をこえるだろう。

 ナイフ使いに短機関銃を構えた大男、爆弾使い、エトセトラ。

 

 のしっ、と短機関銃の大男が一歩前へ踏み出した。

 瞬間、パララララと、特徴的な発射音。

 

 私は素早くルパン達の前に立ち、機関銃の一斉掃射を全て爪で弾き飛ばした。

 次に突っ込んできた人員を10人ほど爪で切り裂き、また銃の一斉掃射を爪で弾く。

 

 ここだ。

 

 弾幕が途切れた一瞬を狙って大ジャンプ。

 三日月型の大きな金属刃製のブーメランを構える。

 

 こちらは組織に言って作らせたブーメランの殺傷兵器版だ。

 三日月の一部に布が巻かれ、そこから小さな持ち手がのぞいている。

 実は折りたたみ製で、三つに折るとスーツケースにも入る可用性もある。

 

 息を合わせ、深呼吸。

 

 降谷さんと目配せし合い、一二の三で同時に表へ出る。

 胴を薙ぎ払うような高さで思い切り投げ放ち、サーベルで防ごうとした下っ端達がその勢いに負けてぶっ飛ばされたり切り裂かれたり。

 

 

 木々も纏めて切り倒し、刃が戻ってきた頃には雑魚は一掃されていた。

 

 残っているのは……次元の銃弾を切り落としていたナイフ使いと、身軽なジャンプで木の上に逃れた爆弾使い。

 そして下っ端を盾にして避け切った短機関銃大男か。

 

 ルパンが絶景でも眺めるようにうひゃーっ!と声を上げた。

 

「何度見てもすげー威力だこと。量を蹴散らすには降谷ちゃん達が一番だな」

「───この程度、次元さんもルパンも軽く避けてしまうだろ」

「動きがデカすぎるのが今後の課題だな」

 

 次元さんに指摘された通り、ブーメランを投げるのはかなりタメと動作の大きさがある。

 そのせいで、平均して戦闘力が高いルパン三世絡みの事件に当たる時は大抵雑魚以外には避けられてしまうのだ。

 

 猛然と走り寄ってきたナイフ使いの男のナイフを受け止める。

 膂力は私の方が上だが、スピードは相手のほうが一歩上回っているようだ。

 

 「クソが、馬鹿力な女め!」と罵倒される。誰が女じゃコラ。

 ピキッと降谷さんの額に青筋が浮かぶ。

 

 すかさず!

 秘技!五エ門先生直伝武器破壊!

 

 ナイフと爪が打ち合った瞬間。

 ナイフが真っ二つに切り落とされる。

 斬鉄剣ではないので爪への負担が激しいが、奴が使っているのはそこまで高品質な金属でもなさそうだ。

 驚愕に目を見開くナイフ使いの男が大きく跳んで間合いをとった。

 

 そしてここでおかわり発生。

 沢山の追加人員が現れたため、スタコラサッサと逃げ出すことに。

 

 ルパンと次元さんは軽く目配せし合い、「じゃ、約束の場所で!」なんて言い合う。

 や、約束の場所で……なんて言われても急遽参加組の私はわからんのだが。

 

 解散の雰囲気に戸惑っていれば、次元さんに「オメーはこっちに来い!」と腕を引っ張られた。

 

 次元さんって意外と面倒見がいいよね。

 




今日と明日はお休みなので一日一回更新です。
最近更新が滞っててすまんな…
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