バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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完全復活!!!
みんなありがとな!!!


迷宮の十字路①

 

 タランチュラの一件より帰ってきてしばらく、私たちの肉体にはわずかな変化が生まれていた。

 

 高次の魂に触れたからなのか、より感覚が鋭敏化したというか。

 降谷さんが表に出ているときもその影響は残り、「なんか違法な薬物キメたみたいで怖いんだが」と苦いものをかみしめたような顔で言われてしまった。

 幸い日常生活に困ることはないので当面はいいのだが、二度目の憑依合一使用は正直躊躇せざるを得ない。

 

 せっかく奥の手を手に入れたと思ったんだがなぁ。

 

 

 閑話休題。

 

 本日の依頼は京都、はるばるお寺の住職さんが毛利小五郎の名前を聞いて依頼してきたとのこと。

 詳しい話を聞くために車を運転して京都へとやってきたが、「やっぱ街並みに風情があっていいな」と降谷さんも上機嫌だ。

 相変わらずの日本贔屓である。

 

 せっせと降谷さんが写真記憶として京都の風光明媚な景色を書庫に書き写している。

 書庫の本に一つ一つ日付を記入し、タイトルは「京都旅行」。

 道中で買った京漬物のパックを空に重ねるように掲げて写真映えっぽく構図を作れば、降谷さんは「よし!そのままじっとしてろよ」と言ってその視界も描き出し始めた。

 

 なぜか京漬物を空に掲げて動かなくなった私たちを、蘭さんが「どうかしたのかしら…」と訝しげに見ている。

 その辺クールなコナン君が「そっとしとけば?」とすげなく返事するのが味わい深い。

 最近コナン君私の扱いが雑なんだよな。

 

 さて。

 依頼人の家にいけば、見せられたのは奇妙な絵柄の描かれた暗号文だった。

 どうやら8年前に仏像が盗まれたらしく。

 最近になって、その仏像のありかを記した暗号文が突如依頼人に送られてきたのだとか。

 

 コナン君がこそっと私へと声をかけてくる。

 

「源氏蛍と関係があると思うか?」

「当然、そうだろうね。とすると、確認するなら五条大橋かな」

 

 源氏蛍とは、古美術品を盗む最近話題の窃盗団だ。

 話題というのも、最近になってその源氏蛍のメンバーと思しき人物が次々何者かによって殺害される事件が起きたからだが。

 

 ひとまず五条大橋に向かうことで合意。事件のため寺に残る毛利探偵を置いてコナン君と2人で京都をめぐることとする。

 五条大橋は意外とこの寺のすぐ近くだ。

 歩いていける距離にあったため、てくてく2人して雑談しながら目的地へと向かう。

 

 とはいえ、コナン君との会話なんて「源氏蛍を殺害した犯人は何を考えて…」やら「あの暗号文に描かれていた点。あれはなんだ?」やら、小学生とするには物騒な色しかない話題ばかりだった。

 

 ようやく五条大橋に到着すれば、早々に「おーっ、工藤やんけ!それと組織の兄ちゃん!」と大声で西の高校生探偵に話しかけられた。

 組織の兄ちゃんとか大声で呼ばれるのはアレ過ぎるので早く名前を憶えてほしい。

 

「聞いたで、小さくなった工藤の足になっとるんやってな。案外ええとこあるやないか!」

 

 服部君が言っているのは恐らくは銀翼の奇術師での一件のことだろう。

 コナン君を背に載せてスパイダーマン風味に街を飛び回るのはなかなかにスリルがあった。

 私は多少柔らかな顔でぱたぱたと手を振って口を開く。

 

「あのぐらいの協力、別に手間でも何でもないよ」

「横浜の街を工藤背に乗せて飛び回るんが手間やなかったら何が手間やねん」

 

 服部君の鋭い突っ込みに、「そ、その節はお世話になりました…」とコナン君が後ろめたさ全開で一礼してくる。

 私達は本当に気にしてないのに。

 

「工藤も世話になっとることやし、俺も一丁捜査のためこの京都を案内したるで!」

「それはありがたい。渡りに船だよ」

「せやろ?ほないくで。工藤もはよ来いや!」

「ちょっ、服部……」

 

 捜査協力する!からGO!までノータイムで話が進み、服部君はずんずんと五条大橋を渡っていく。

 雑に巻かれたBパートでもこんな早くは進まないのに、動揺するコナン君に「何をちんたらしとるんや、置いてってまうで!」と素晴らしい速度だ。

 すごい勢いで話が進んでくじゃん…これが関西のスピード感……!

 

 なんて感慨にふけりながらも、地味に口に出さなかったことがある。

 実は日本ヲタの降谷さんがいるので、京都は地元住民並みに詳しい私達なのだが、それは言わずが華だろう。

 

 五条天神、弁慶石、疎水公園と有名観光名所を巡るうち、道中で京都府警の警部さんに出会う一幕もあったが。

 私立探偵安室透の方の事件に手伝ってもらっているだけ、といえば渋々納得してくれたようだった。

 

 昼は観光名所のおすすめの料理所。

 店ならではの家庭にない凝った品々が並び、降谷さんが「うーーん、出汁が…これはどうやって…」と唸っていた。

 家で再現しようとすると料理道具と調味料と使いかけの食材が馬鹿みたいに溜まるから止めようぜ、なんて思いつつ、降谷さんはそこも込みで工夫して使い切るので専門職用の珍しい料理道具は溜まるばかりである。

 

 私がぼうっと料理について思いをはせているうちに、話題は服部君の初恋についてに移っていた。

 

「ちゅーわけで、俺は初恋の人をずっと探してるんや」

「なるほどな………。そういや、安室さんの初恋って灰原の母親だったんだっけ」

「!?!?どうして今このタイミングで!?」

「いや、なんとなく」

 

 突如鋭角で抉るように話題変更。初恋ネタが私の無防備な脇腹に突き刺さった。

 にまー、と悪い顔をするコナン君に、すかさず降谷さんの鉄拳制裁が入る。

 

「いてててて止めて止めて頭割れるッていたたたたた!?」

「───このクソガキ……いい度胸だ」

「だって自分達で暴露したんじゃん!僕悪くな痛い痛い痛い!!!」

 

 児童虐待ではない。これは正当な復讐である、などと容疑者は供述しており。

 悲鳴を上げるコナン君と急なキャラ変にあんぐりと口を開ける服部君、怒り心頭の降谷さんを他人事の様子で眺めていたら、ぐるんと降谷さんと目が合った。

 

───元はといえば、安室、このガキにバラしたお前が悪い……

───!?まってください、話せば、話せばわかります!!!

 

 コナン君を成敗し終えた降谷さんが次に狙いを定めたのは私だ。

 のっそりと振り向いてゆらゆらとこちらへゆっくり歩み寄ってくる姿はホラー映画さながらである。

 気を取り直して湯豆腐をぱくつく服部君が、熱そうにふーふー豆腐をふいて目だけでこっちを見る。

 

「へー、兄ちゃんにそんな過去があったんか。悪い奴っちゅーんも一皮剥けば普通の人間なんやなぁ」

「それ、素で言ってるんだろうけどそろそろ勘弁して。僕の生死に関わる」

「?」

 

 逃走の甲斐もなく。

 捕まった私は現在、武家屋敷の庭でコブラツイストを決められている。

 魂を直で極められて普通に痛いのだが、怒りの降谷さんはそんなこと知ったこっちゃないのである。

 

───参った参った参りましたから!!!

───今度はお前が恥ずかしい過去を暴露するんだ!いいか、キリキリ吐け!

───そんなのすぐには思い当たりませんよ!!!僕人格が成立して5年しか経ってないんですよ!?

───知るかそんなこと!なんかあるだろ!こう、駆け出し時代の恥とか!

 

 それはシリアスになっちゃうので言いません!!!

 あっ待って首、首絞まってる首首首が。待ってよして魂がねじれるヒィン。

 

 などと戯れながら。

 ご飯を食べ終えれば、次は鞍馬寺。

 原作通りであれば犯人からの最初の襲撃があるであろう、僧正ヶ谷の不動堂を目指すのである。

 

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