バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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異次元の狙撃手①

 

 今日はベルツリータワーのオープニングセレモニーだ。

 

 TV局やら取材の記者やらでひしめき合うスカイツリー……じゃない、ベルツリーは快適とは程遠い。

 しかし、東都を一望できるこの絶景という点で見れば、きっと唯一無二の眺めなのだろう。

 

 「漆黒の追跡者」あたりから建設が進められていたベルツリータワーだが、この度完成の目を見たようで、今日は関係者だけが招かれるオープニングセレモニーが開かれている状況だ。

 私達は鈴木園子嬢のお誘いでこのオープニングセレモニーに出席できた形だ。

 まさに財閥令嬢様様である。

 

 ……どうでもいいんだが、「漆黒の追跡者」からまだ半年たってないんだが、ベルツリータワーの着工から竣工までが短すぎないか?

 建設技術だけ現代日本とは異なる異次元の技術で成り立っているのだろうか…まぁよく建物が爆破されるし、そうであっても不思議ではないが。

 

 わあ、凄い景色ですね!と朗らかに話しかけてくる蘭ちゃんに返事しつつ。

 本当にいい眺めですね、とせっせと高所から見た東京の地形を深層心理内の書庫で更新していく。

 

 事あるごとに使っている書庫だが、現在までにすでに2回も拡張し、今や本宅よりも大きく立派になってしまっている。

 図書館に通っては様々な書類を整備・管理している降谷さんはもはや図書館の主である。

 

 最近の降谷さんの趣味は図書館に警察庁のデータベースから刑事事件の記録をせっせと移していくことになっており、どんどん脳内に物騒な知識が増えていっている。

 

 便利は便利ではあるものの、使う機会なんてほとんどないと思うんだがなぁ。

 

 

 さて。

 今回狙撃される被害者は、不動産売買で詐欺を繰り返していた悪質な犯罪者だ。

 守る義理はないどころか、死ねばこれから被害者になるであろう善良な人々を守る結果にもなる。

 

 とはいえ、私がわざと犯人を見殺しにしたと分かったらコナンくんが悲しむか。

 

 どうやら降谷さんも現在狙われている男が悪質な詐欺師であることに気が付いたようで、むすっとした顔でため息をついている。

 降谷さんが書斎内の事件記録を見ながら口を開く。

 

───立件はされていないようだが。詐欺被害報告がこれまでに8件。報告されていないものも含めればもっとになるな。最近の主なターゲットは無知な海外の小金持ち、か。日本の恥さらしめ

───狙われる心当たりがあり過ぎて困りますね

───正直こんな男が死んでも何も困らないが……日本の首都のランドマークで殺人事件、というのは縁起が悪い。面倒だが命ぐらいは救っておいてやろう

 

 嫌そうに言う降谷さんに私も首肯した。

 了解しました主人格。なんなりと、仰せのままに。

 

 私は人波を背に、警棒を隠すようにするりと取り出した。

 同時に街並みの向こうできらりと光る銃口の反射光を確認したコナン君が眉間にしわを寄せている。

 

 今から、私は約600ヤード先から放たれる超音速の弾丸を警棒で弾いて止める。

 客が鮨詰め状態のベルツリータワー展望台でそれを成すには、はじく角度には細心の注意を払う必要がある。

 下手に弾いて他の客にあたればまずいし、少しでも角度がずれれば跳弾で大変なことになるだろう。

 また、ベルツリータワーの分厚い耐熱強化ガラスを破った際に弾丸がぶれる可能性も考慮しなければならない。

 

───いけるか、安室?

───勿論。この程度難事でもなんでもありませんよ。機銃の一斉掃射を味方に当たらないようにはじく方が数倍難しいです

───ふ、ははは。それもそうか

 

 上機嫌な降谷さんの笑い声を聞きながら、私は僅かに重心を落とした。

 

 神経を研ぎ澄ませ、警棒の一点をジャストで銃弾に当てるのだ。

 目標は狙撃穴から100センチ下、直方体の足場部分に入射角が直角になるようにぶち当てる。

 

 ギラリと、殺意が彼方で閃いた。

 今!

 

 ガラスの割れる高い硬質な音と、警棒がしなるミシミシという異音。そして瞬きの閃光。

 

 誰一人血を流さなかったせいか、皆が皆きょとんとして目を見合わせている。

 それは狙われていた被害者も同様で、急に前に割り込んできた警棒持ちの私に「な、なんだあんた!」と不審者を見る目をしている。

 失敬な、私が守ってやったというのに。

 

 そんな中、コナン君だけが状況を理解して「狙撃だ!みんな伏せて!」と叫び。

 銃弾の跡が残るガラスを皆が見つめ。

 

 ようやく、観客たちは一斉にパニックになって走り出した。

 

 伏せた状態でコナン君が犯人追跡メガネを起動し、犯人の位置を確認している。

 どのビルから銃弾が放たれたのか分かったのだろう。

 姿勢を低くしたまま、コナン君はこちらへと鋭く叫んだ。

 

「安室さん!」

 

 あいよ名探偵君。

 一言で何をして欲しいのかすら目線で指示するこの雑さ。

 元々育ちのいい彼の普段の行動からすれば、かなり身内扱いされてるって感じで楽しいよね。

 

 彼を連れてすぐさま一階へ。

 くるりと降谷さんへと替わりRX-7で発進すれば、コナン君が犯人追跡メガネを作動させながら目を細めた。

 

「安室さんならわかってると思うけど、犯人はこのビルから狙撃してきたんだ!ひとまずこっちのルートからビルに向かって!」

「───了解だコナン君。飛ばすからシートベルトはしっかり締めろよ」

「それと、……あのおじさんを助けてくれてありがとう」

「悪人とはいえ助けられる手段があったからね。あーあ、また目暮警部から説教かな」

 

 事件で大立ち回りをするたびに目暮警部からお叱りがあったからな。

 もっと自分を大切にしなさい、こういうことは我々警察に任せて、一歩間違えれば死んでいたんだぞ、エトセトラ。

 しかも説教を受けているのは私だけ。コナン君は早々に逃げ出し、降谷さんなど深層心理内で内職している始末だ。

 

 おのれ……許さんぞ降谷さんめ。

 

 等と煩悩に濡れていたら、犯人の車が私たちの追跡に気が付いて発砲してきた。

 車を運転中だと警棒で銃弾をはじくってわけにもいかないので不便だ。

 

「俺は好みじゃないが、今度から小回りの利くバイクも視野に入れるべきか?───RX-7には代えがたいですけど、併用できると嬉しい場面もあるかもしれませんね」

「安室さん達!前!」

「分かってる。しっかり掴まってろよ!」

 

 タイヤに銃弾を受けた車がバランスを崩し、こちらへ迫ってきている。

 ちらっと後ろを確認すれば、そこには世良さんがバイクで追跡しているのが確認できた。

 地味に彼女との邂逅は初めてかもしれない。

 

 同様に後ろを確認していた降谷さんがチッ、と鋭く舌打ちしてコナン君へ声をかけた。

 

「警察が来たから一旦車を下がらせる。距離を取るが良いな」

「!うん、分かった」

 

 一般車両を装って少しずつスピードを落としていけば、その横をファンファンとサイレンを鳴らした警察車両が横切っていく。

 十分な距離を取ったその後。

 包囲した警察車両の群れを、狙撃犯は手榴弾で全て盛大に吹っ飛ばした。

 

 吹っ飛んでいく白黒の車体、ガソリンを燃料にごうごうと燃え盛る炎は高く、凄まじい火災が陸橋の上で燃え盛っている。

 

───ばかな、手榴弾だと!?どこから持ち込んだんだ!税関は何をやっている!

───ライフル、拳銃、手榴弾の心得もあり。きちんと戦場を経験した軍人でしょうか

───米軍関係者か?本当にあの国は碌なことをしないな!

───憶測で罪を着せるのはよくありませんよ。あってるかもしれませんけど。

 

 実際、狙撃犯たるケビン吉野は米軍関係者だが。まだそれは明らかになっていない事実であるのだし。

 

 炎を越えて悠々と去っていく犯人のバイクに、車の窓をあらかじめ開けていたらしいコナン君が身を乗り出して追跡用のシールを投げつけた。

 そのシールは正確無比に後輪のガードへ貼り付く。

 

 炎の熱で上昇気流がひどいここにおいて、風の影響を受けやすい小さなシールをあんな遠くまで正確に投げるとは。

 ちょっと意味わからんエイムの正確さである。

 

「相変わらず素晴らしいエイムだね。うらやましいよ本当に…───俺も同じ事をしろと言われたら少しためらうな」

「あはは、たまたまだよ。それより、すぐ犯人を追おう!今度は刺激しないよう距離を取って」

「そうだな。これ以上街中で手榴弾をぶちまけられても困る。───じゃあ、案内を頼むよコナン君」

 

 犯人追跡シールの発信を追えば、それは東都近隣の埠頭にたどり着いた。

 

 ねっとりと悪意の渦巻く倉庫街に車を止めて、降りようとするコナン君を手で制止。

 運転席のドアを開けて足を降ろした瞬間、発砲音。

 

 待ち構えていたらしい犯人が、車から降りたところを複数弾で狙い撃ちにしてきたのだ。

 だが、所詮は手持ちの拳銃一丁。

 あくびの出るほど遅い弾丸が、呆れるほどのんびりと発射されてくるに過ぎない。

 

 すべて左手に持った警棒で叩き落とし、弾かれた弾丸が倉庫の壁に当たって弾痕を残した。

 狙撃犯は狼狽えたようだった。

 

 ぺろりと僅かに舌なめずり。

 後はどうとでも調理できる。

 

 と、思っていたところに勢いよく割り込む黒い高級車が一台。FBIが出現した。

 彼らは割とよく見るような典型的銃撃戦を繰り広げ、その末に犯人が乗っていこうとしていた車が大爆発。

 その間私は棒立ちで時折こっちへ来る流れ弾をはじく程度だったが、誰も何も言わなかった。

 FBIはなんか反応しろよ。

 

 そして爆発に乗じて犯人は海へ逃走。

 

 服が濡れて面倒くさいし、今日のところはこの辺にしておこうと決めて、私は何とも言えない気分でRX-7へと戻った。

 内部で姿勢を低くしていたコナン君が「いや、もっとこう、あったろ」と冷静に私に突っ込んできたが、私は「だって面倒くさいことになりそうだったし」と言うに留めた。

 ウルフドッグとFBIの関係は最悪の一言だしね。

 下手をすると第二の銃撃戦が始まりかねない。ここは大人しく引くべきだろう。

 

 「邪魔なFBIめ」と吐き捨てる降谷さんをなだめ、私は早いとこトンズラするために車を急発進させた。

 




FBI「ウルフドッグだ…この場での混戦は避けたい…どうする…」
バボ「FBIだ…この場での混戦は避けたい…どうしよう…」
「「……」」
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