バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】 作:ラムセス_
今日は子供達の付き添いで米花スポーツランドにやってきている。
現役プロサッカー選手が教える豪勢な教室が開かれるようで、子供達を含めコナン君もワクワクの状態だ。
先日、北ノ沢村で起きた大規模テロ事件で雪崩に巻き込まれたコナン君だが。
現在ではもう無事に退院して、運動にも支障がないようだ。
これには、原作に比べ彼を救出するのにかかった時間が短かったのが大きいらしい。
救出が遅れれば窒息による脳の後遺症、そして死に至っていた危険性もあったと医師から聞いている。
基地局が破壊されたのと、道路自体もダム破壊によって甚大なダメージを受けていたので、まともに救急車が動ける状態ではなかったことが原因だ。
結局あの時も携帯が繋がらなかったので、コナン君は急いでレンタカーで運んで病院に放り込んだ。
犯人に気絶させられたダム職員さんも意識は取り戻したものの万が一があるといけないので同様に。
また、北ノ沢村の方も水害こそ防げたものの、村をすこし逸れた場所はモロに水に浸かってしまっている。
現在までのところ巻き込まれた人は見つかっていないが……距離が距離だ。
運の悪い人がいないとも限らないため、捜索は続けられているらしい。
そんなふうに散々だった北ノ沢村の惨状をようやく忘れ、本日は米花スポーツランドで羽を伸ばしていると言うわけだ。
今回の参加メンバーは蘭ちゃん、園子さんの女子高生ペアに、毛利探偵、阿笠博士、そして少年探偵団のいつメンである。
というかこの顔ぶれ、完全に北ノ沢村のメンバーと一緒……この話はもう止めよう。
あのエキセントリック宝石強盗テロリストは今も留置場にぶち込まれているのだし。
蘭ちゃん園子さんの女子高生ペアが、わちゃわちゃとプロのコーチを楽しむ小学生を眺めながらまったりと話しかけてくる。
「そういえば、安室さんってサッカーってできるの?」
「運動神経良さそうだし、安室さんならなんでもできちゃいそうですよね」
私はにっこりした。
若い子女に持ち上げられてその気になる残念なおじさんの図だ。
……と見せかけて、実のところ苦手分野をふられてうっと言葉につまっているだけだったりする。
「僕、球技はそんなに上手くないんですよ。というか、苦手な方です」
「ええー、意外ー!」と園子さんが口に手を当てて驚くが、真実なので仕方あるまい。
それってホント?と一人こちらに戻ってきたコナン君が小声で問い掛けてくる。
「本当だよ。どうも飛び道具全般のセンスがほとんど無いみたいでね」
「でもブーメランあんなに上手く使ってたのに」
「あれは僕が投げてるわけじゃないし。丸いものは嫌いだよ…どこに飛んでいくかわからないんだから」
むすっとして答えれば、コナン君はほへぇ、となんだか予想外なことを聞いたような顔をした。
フォローなのか何なのか、降谷さんがするりと出てきて口を挟む。
「───あのブーメランを投げてるのは俺だ。俺は普通に得意だからな。テニスもできる」
「……体の使い方教えてあげたら?同一人物でしょ?」
「こいつに才能がないのは本当なんだ。諦めて有事の際は俺が動いたほうが早いと結論づけた」
無慈悲かよ。
私はいよいよむすっとして不貞腐れモードに入った。
ボールなんて扱えなくても死にはしないし。ウォッカにゴルフに誘われた時とかも苦手枠で場を和ませられるし。
いいんだよ少しぐらい苦手なほうが。
私のくしゃくしゃな心境がわかったのか、園子さんが「安室さんって意外に子供っぽいところがあるわよね」と話している。
「え、そう?何でもできて頼りになる人だとは思うけど。うちのご飯も作ってくれてるし、いい人よ?」
「いいわねー蘭は。イケメンがご飯を作って帰りを待っててくれるなんて。旦那が嫉妬するんじゃない?」
「ちょっと、安室さんはそんなんじゃないから…新一は関係ないでしょ!」
旦那こと江戸川コナンが絶妙に何ともいえない表情で地面に落ちている石を蹴っ飛ばした。
事情は飲み込んでいるものの、納得しているわけではないらしい。
灰原さんのリークによると、私がご飯を作るようになってからコナン君は阿笠邸で料理の練習をするようになったらしい。
魚を焦がしたりきゅうりを全部繋げて切ったりと失敗を繰り返し、灰原さんを呆れさせているとのこと。
一人暮らしが長い工藤新一が料理をできないのか、とちょっと意外に思ったが。
外食やレトルトがメインだったし、なんなら蘭ちゃんに作ってもらっていたと思えば不自然ではない。
とはいえ、要領自体はいいコナン君のことだ。
多分すぐに上手くなることだろう。
小学生の身で台所に入らせてもらえるかは別問題だが…毛利宅で料理の手伝いをする日も近いかもしれない。
お、先生役のプロサッカー選手がコナン君を呼んでいる。
どうやらコナン君が指導を受けられる時間がやってきたらしい。
まずはパスとコントロールの練習らしい。
コナン君が選手の人とボールを蹴り合いながら、羨ましくなるほど正確に相手の足元へ向かうようコントロールしている。
すぐに選手の人もコナン君のレベルの高さに気がついたようだ。
狭いスペースながらも緩く動きながらのパス練習に切り替えた。
大人の足では緩く動く程度の距離だが、子供には十分駆けながらの練習になる。
それもコナン君は難なくクリア。
選手はヒュウ、と口笛を吹いてコートの端にあった練習用の三角コーンを取り出した。
どんどん本格的になっていくな……気がつけば、選手のうち何人もが彼らの練習に見入っている。
───流石はコナン君ですね。犯人にぶち当てる時とか意味不明なまでのエイムですし。この道でも十分大成しそうですよね
───だな。素晴らしく回転の速い頭脳も合わせれば間違いなくエース級になるだろうな
「できれば彼は将来ウチ(公安)に欲しいところだが」と降谷さんは続けた。
検挙率は素晴らしく上がりそうだが、私達の胃痛も加速しそうだな…。
この米花スポーツランドのサッカー教室は、こうしてつつがなく終了した。
思わず今回の真犯人、中岡一雅をガン見していたら「何を見てるの?」とコナン君に訝しげな顔をされてしまった一幕もあったが。
些事ではあろう。
その翌週のこと。
毛利探偵事務所の前を偶然──多少は狙っていたところはあるが偶然の範囲内だ──通りがかると、探偵事務所のすぐ下に悪意の塊があることに気がついた。
恐らくは爆弾だろう。
急いで階段を登って毛利探偵事務所へと駆け込めば、毛利探偵は通話中だった。
犯人と会話しているのだろう。
緊迫した空気を感じる。
ちらり、と私の方を見て、毛利探偵は「いたずらか?そんな冗談言ってると承知しねーぞ!」と電話相手に怒鳴っている。
『外を見てみろ』
「外ォ?外が一体どうしたってんだ……ッ!」
一階のポアロ前にあった悪意の塊が破裂する。
盛大な爆破音を伴って、向かいの建物のガラスが爆風で割れたのが確認できた。
『もっと多くの人々がいる場所に爆弾を仕掛けた。探してみせろ、毛利小五郎。……健闘を祈る』
ビキッと深層心理内の降谷さんの額に青筋がたった。
何もそんなところをリスペクトしなくても、という部分が被ってしまっているからな。
健闘を祈る。暗号と爆弾。
犯人から託された暗号を毛利探偵の隣から真剣な顔で覗き込む降谷さんに、私も同じく考えるふりをして目を細める。
「蘭!警察に連絡だ!安室、お前も考えろ!爆弾が街に仕掛けられた!」
「───ええ。任せてください」
私が返事をする前に、ドスの利いた声で降谷さんが答えた。
えらいやる気だな…毛利探偵も「お、おう……」って引き気味じゃん。
降谷さんが紙に書き出された暗号を指でなぞった。
目が完全に据わっている。
「───上からの雨、下から人が……電光掲示板ですね。きっとネクスト米花、はこれのヒントだったのでしょう」
「で、電光掲示板?」
「青い少年と青いしまうまはつい先日みましたね。サッカーチームのマスコットキャラだ───なら、爆弾が仕掛けられているのはサッカースタジアムの電光掲示板か」
「お、おい安室?何を話して…」
困惑する毛利探偵を置いて推理はどんどん進んでいく。
もはや毛利探偵が降谷さんの眼中から完全に外れてしまっている。
全然いいんだけど、多少は先生を労わりましょうね…。
「毛利先生、この暗号が示すのはサッカースタジアムの電光掲示板です」
「なに!?わかったのか、一体どうやって解いたんだ!?」
「それは後で。早く目暮警部に知らせないと大変なことになります。あんなに観客がいるスタジアムで電光掲示板が落下したら、死傷者は数えきれないものになるでしょう」
「!……わ、わかった。おい蘭!警部には連絡はついたか!?俺に代わってくれ、話したいことがある!」
「いま警部さんに代わってもらったとこよ!すみません警部、お父さんが話したいことがあるって…」
てんやわんやの毛利親子を遠目で見ながら、降谷さんが己のスマホを取り出す。
ちょうど今日、東都スタジアムでコナン君が試合を観戦しに行ってるのを知っていたからだ。
つくづく爆弾に縁のある子である。
「───もしもし、コナン君。今いいかな」
『あむ、ゼロさん?珍しいね、僕に何の用?』
「今さっき、毛利探偵事務所に犯行予告文が送られてきてね。そこの東都スタジアムの電光掲示板に爆弾が仕掛けられているらしい」
『は……!?爆発はいつ!?』
「わからない。すぐに避難してくれ。───すぐに警察によって避難指示も出されるはずだから。気をつけて」
『うん!連絡ありがとう安室さん達!僕も少し確認してみる!』
電話を切れば、どっと疲れが出る。
多分彼に任せておけば問題ないとは思うが……不安は不安で違いない。
冷静な顔の裏で烈火の如く怒り狂う降谷さんのせいで深層心理が荒れ狂っているのも原因だ。
───クソが。テロリスト如きがふざけた真似をしてくれる!
───落ち着いてください。僕らなら何とかできる。違いますか?
───ああ。絶対に止めてみせる。今度こそテロを止める。絶対だ
真っ直ぐに窓の向こうで黒い煙をもうもうと上げる爆弾の名残を見つめながら、私達は唇を引き結んだ。
本当に、降谷さんの気分を害す犯人が多いことだ。
11人目が終わったらようやくルパコナに映る予定
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ぐらいの気持ち。途中どこかでゼロティーを挟むかも?