バーボンなオリ主と降谷さん【現在公安ルート連載中】   作:ラムセス_

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ルパン三世VS 名探偵コナン②

 

 時は少し戻って。

 キース伯爵に引き合わされて私と次元さんは王宮隣にある立派な建物の応接室へとやってきていた。

 

 応接室に先に通されていたコナン君は、どうやら私がここにいることを知らなかったらしい。

 入ってきた瞬間驚きに目を見開いた。

 

「あーっ、安室さん!?ということは、そっちのおじさんはまさか!」

「次元大介さんだよ。つまり、まぁ。そういうことだね」

 

 にこっと笑顔で応えれば、コナン君はうっと言葉に詰まったようだった。

 笑顔ににじませた威圧感はすなわち「黙っててね」の意味だ。

 公然の秘密ではあるのだが、もうすぐここにあの銭形警部が来るからな。伏せていて損はない。

 

 コナン君は思わず身構えたものの、自分も子狐としての前科があるため動くに動けないのだろう。

 むむむむむ、と唸って心底悔しそうな顔をした。

 

 それを気にもせずにずんずんと次元さんが進み出て、コナン君をつまみ上げる。

 

「へぇ、オメーが安室の子狐か!」

「わああああオジサン放して!」

 

 次元さんが摘まみ上げたコナン君をひょいと肩に乗せ、肩車をした。

 コナン君は羞恥に、というか屈辱に真っ赤になって暴れている。

 男子高校生が敵対する盗賊集団の一人に軽く肩車とかされたらそりゃプライドはズタボロだよな。

 

「なんだ、いいじゃねぇか。同じ一味の仲間なんだしよ」

「だっ、だれが一味だ!!俺は探偵!追う側なの!!!」

「そーかそーか。ほれ、飴だ。喰うか?」

「誰が喰うか!?煽ってんのか!!」

 

 懐かない子猫がシャーッて言ってるみたいな雰囲気にほっこりする。

 猫好きオジサン次元が「おう、まあまあ。よーしよしよし、落ち着けって」と遠くから構おうとして猫パンチされている。

 地味に飴のメーカーが前に五エ門師匠がコナン君に差し入れした物と同じだ。

 チュール枠なのだろうか。

 

 ついにコナン君は私の後ろに隠れてガウガウと威嚇しだした。

 子猫に嫌われた次元さんはしょんぼりしつつ帽子を目深にかぶり直した。ショックだったらしい。

 

「かーっ、安室に聞いていた通りこまっしゃくれたガキだ」

「そうですよ。だからコナン君を子ども扱いは厳禁だって言ったのに。彼の尊厳が傷つけられたんですよ?もし蘭さんの前で同じことをしていたらキック力増強シューズの一撃をまともに受けていたかもしれません」

「尊厳って何だ。つかキック力増強シューズって、TV中継で一瞬うつってたあれだろ、物騒すぎねーか?」

 

 花火ボールを打ち上げた一撃は義賊・フォックステイルの子狐の行ったこととしてTVメディアで幾度も紹介されている。

 もちろん次元さんもそれを見ていたのだろう。

 

「坊主、これからはそいつは出し惜しむことだな。」

「……なんで」

「特徴的な武器ってのはそいつの象徴として強く結びつけられるモンだ。ワルサーP38がルパンを象徴し、時代錯誤と言われるリボルバーが俺の命であるようにな」

「……」

 

 軽く見えて重く、重くならず泳ぐように。

 そうした積み重ねた経験が生み出す言葉の深みに、コナン君は思わず聞き入ったようだった。

 次元大介はニヒルに笑った。

 

「いわゆる有名税って奴さ。覚えとけ」

「っ、わかった」

 

 ……と言っても、コナン君ならそれで事件が解決できると思った瞬間全部忘れて突っ走っていくだろうから、秘匿なんて無理OF無理なんだよな。

 私はポンとコナン君の肩に手を置いて、私手作りの子狐の仮面を差し出した。

 

「えっ、なに?」

「子狐の仮面。いつうっかりキック力増強シューズを使ってもいいように持ち歩くといいよ」

「ヴッ………」

 

 心当たりがありすぎるのか、コナン君は梅干し並みにしょっぱい顔をしながら懐に仮面をしまった。

 まあせいぜい頑張るといい、己の罪を増やすのが得意なフレンズよ。

 道交法から薬事法まで違反の全てを子狐のせいにしてしまえば、コナン君自身はまっさらってわけよ。

 ふはははは。

 

 降谷さんが内心でチベットスナギツネみたいな無の表情でこちらを見ている。

 

───彼の手段を問わない姿勢は気に入ってるんだが、なんというか。順調にエリート義賊を育てている気がする

───…否定はしませんが、そんな本当のことを言うのは止めましょう?

───怪盗探偵、か。割とあるジャンルなのがなんとも……。まあ、いいか。日本で善良な日本国民相手に盗みをするわけでなし。

気にするほどのことでもないか

 

 相変わらずの日本第一主義が光る降谷さんである。

 

 

 と、そんなわけで歓談はこの程度にして。

 そろそろ今後の方針を決めねばならない。

 

 私はキース伯爵に目配せして退出してもらった後、コナン君と次元さんへと声をかけた。

 凄い勢いで銭形警部のドでかい気配が王宮に近付いてきている。

 なるべく急いで今後の方針を決めねばならないだろう。

 

 というか、こんな距離からでもわかるのか銭形警部の気配って。

 ゴジラなら遠くからでも見えるみたいな理屈だが、本当にゴジラ並みの生命力だな。

 

「調査のための親子ごっこは……次元さんとコナン君でいいでしょうね。僕は単独で猟銃事故の現場を調べてみることにします」

 

 そう言うと、コナン君は本物の小学生さながらの駄々で私の膝へと引っ付いた。

 

「僕安室の兄ちゃんと一緒にいる!」

「いやでもさぁ、どう考えても次元さんと一緒にいたほうが親子っぽく見えるよ?ほら、カラーリング的にもさ」

「でも安室さんとだとどう頑張って見積もっても親子じゃなくて兄だ、」

「───あ゛?俺の年齢からして君くらいの息子がいても何も不思議じゃないが?」

「あっあっ、ぱ、パパ~兄ちゃんがいじめるぅー」

 

 大人げなくキレる降谷さんを見て、コナン君は即座に次元さんへと鞍替えした。

 やっぱり危機管理能力の高さならコナン君も馬鹿にならないな。

 あれだけ無茶をやりまくってなお生きている、という実績自体が危機管理能力の高さを物語っている。

 

 次元さんがタバコを吸いながら軽く笑った。

 

「というか、オメーだったらむしろママだろ。世間の評判的に」

「───それだと僕と次元さんが夫婦になってしまいますが。それは大丈夫なんですか」

「前言撤回だ。どこぞの兄ちゃんはこの子狐と好きにやっててくれ」

 

 あれ。絶対食って掛かると思っていた降谷さんが何も言っていない。

 一体なぜ……ああっ、次元大介降谷零夫婦とかいうあまりに悍ましい想像に白目をむいて気絶しておられる!!

 おいたわしや。

 たぶん諸行無常ってやつだろう。

 

 次元は立ち上がり、ガラスの灰皿に吸いかけの煙草を押し付けた。

 

「じゃ、行くとするか」

「どこへ?調査?」

「ま、そんなところだ。安室、オメーらは女のふりをしろ。男ばっかだと怪しまれっからな」

「本気ですか!?着痩せはする方ですけど、かなり厳しくないです!?」

「ルパンよりだいぶマシだ。この異国の地なら十分女に見える」

「───いいだろう。ただし、くすりとでも笑えば八つ裂きにする───ゼロ、そこまで殺気をたぎらせなくとも」

 

 そうして私の女装は確定。

 偽装家族が爆誕したのである。

 

 コナン君、笑うの我慢するのはいいけど痙攣してるよ。八つ裂きにされたいのか?

 

 

 

 

 

 そしてやって来ましたBAR。

 地方ワインが楽しめる地元の名店。

 

 私はいつもの着物の簡易バージョンに、ベルモットから教えられた変装術を少しだけ混ぜた女性姿だ。

 降谷零自体が着痩せするのもあり、ポイントは押さえているので悍ましい出来ではないはずだ。

 

 コナン君もほへぇ、という顔をして「きれいだね…!」と言ってくれた。

 

 なお降谷さんはここまでくると逆に堂々として「俺が女だったとして、醜いわけないしな!」と自信満々にしている。

 私関連のアレソレで自己肯定感が底をついてなお、そこまでの自信を持てるとは……妖怪プライドエベレスト男の面目躍如といったところか。

 

 ちなみに、降谷さんの希望で今の私は烏の濡れ羽色な長い黒髪の美しい出で立ちである。

 肌もコナン君の肌色を真似てファンデーションで誤魔化して色白に。

 目もカラーコンタクトで黒目にしてある。

 

 つまりそう、あれだ。

 

 降谷さんは「大和撫子あれ」と言った。すると大和撫子があった。

 降谷さんはそれを見てよしとされた。

 

 店に入ろうとする次元さんの後ろに立ち、コナン君は「いやいやいや」と首を振った。

 

「パパぁ、まだ昼間だよ?というか出て来たばっかだよ?キース伯爵から頼まれた女王暗殺の調査はどうするのさ」

「次元さんはいつもこうだよ。やる気は常に4割ぐらいだから、有事の際にのっそり後ろから出て来てもらうくらいがちょうどいいんだ」

「そりゃ五エ門の役だろうが。俺は適当に酒飲んでタバコ吸ってゆっくりしてんだよ」

「……」

 

 コナン君は黙りこくった。

 ダメなおじさんを見る目だ。ぴらぴらと手を振って次元さんがBARのドアを開ける。

 

「じゃ、俺はここで一杯やってるから、あとはオメーらに任せた」

「わかりました。少ししたら戻りますので、酒はほどほどにしてくださいね」

「おー」

「僕ルパン一味が分からなくなって来たよ…ホントに出来る泥棒一味なの?」

「やるときはやる、みたいなのの究極形と思ってもらえれば」

「ホントかなぁ」

 

 ほんとほんと。フォックステイル嘘つかない。

 などと返事をして、私たちは二人でぷらぷらと街を散策し始めた。

 




・不二子ちゃん
事情は知ってる
それはそれとして、美しきヴェスパニア鉱石の薔薇を物欲しげに見てため息をついている

・ルパン
いくら不二子ちゃんでもあーげないっ

・五エ門
拙者には何もないのか……(ため息)(物言いたげな視線)(ちらっちらっ)
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