フローラとポップはロモス王国に到着した。その途中でマァムをデルムリン島で降ろした。クロコダインとチウにアバンの言葉を伝えるためである。
ヴェルザーに備えての前線基地はバーンとの戦い同様、カールに配置することを決めた。
マァムとポップにヴェルザー側が行った突如の攻撃がバーンを倒した戦士たちを再び戦場に引きずり出すことが目的であるのなら、遅かれ早かれポップとマァム、そして他の戦士たちに対してまとめ役になるであろうアバンにヴェルザーの魔手が伸びるのは明らかである。だからカールを本陣とし、防備を固め迎え撃つ。これが基本方針となったのだ。
レオナとマリンは来るべきヴェルザーの攻撃に備え、その防備の指揮に当たった。自分に与えられた任務に没頭するレオナ。こうして任務に打ち込んでいる時だけがヒュンケル処刑の負い目を忘れさせてくれた。
ロモス国王シナナはこの当時、高齢のため、すでに王座から退いていた。新王はシナナの息子であるレンドル。父シナナと同じく人柄の良い新王と云う評判だった。その彼に門番の兵士からの伝令が届いた。
「国王陛下、カール国王王妃フローラ様、ソアラ・カンパニー代表ポップ殿がお越しでございます」
「ふむ、お通ししろ。丁重にな」
事前に伝書鳩で来訪の日時は知らせてある。
「ははっ」
レンドルは少し緊張した。国王になって初めて外国の要人と会うのであるから。しかも相手は大戦にて世界連合軍を率いたカール王国の女王フローラである。とはいえ新王として他国の要人に軽んじられないよう、レンドルは玉座に背筋を伸ばして座り、フローラとポップが来るのを待った。そしてフローラがやってきた。
「ロモス王国新王レンドル殿、ご機嫌うるわしゅう。カール国王王妃フローラでございます」
「同じくソアラ・カンパニーの代表を務めるポップです」
「よくぞいらっしゃいました。ロモス国王レンドルです」
一応、新王が戴冠しているとの情報は得ていたので、フローラはレンドルに祝いの品も持ってきていた。
「これはこれはご丁寧に」
レンドルは玉座から降り、フローラに会釈した。なるほど王の威を借りふんぞり返るタイプではないようだとポップは見た。
「先王シナナ様には先の大戦において我が国もお世話になりました。今後も両国の絆が強固であらんことを」
そんなフローラの言葉を上の空で聞くレンドル。噂に聞くよりはるかに美しいフローラの美貌に見とれていたのだ。
「妃殿下、そろそろ本題に移りましょう」
フローラの後ろに立つポップは一つ咳払いをした。
「レンドル殿、今回は新王戴冠の祝辞が目的ではないのです。大事なお話があります」
「そうですか!ならば別室でお茶でも飲みながら」
パンパンと手を叩き、侍従にお茶の用意を命じた。
「いえ、できれば家臣の皆様にも聞いていただきたいのですが」
玉座の横にいた大臣たちはフローラを見た。そしてその後ろにいるのはポップ。ダイと共にクロコダインからロモスを救った英雄でもある。ただならぬ用件と見て取った筆頭大臣ベルダンは咳払いをした。玉座に戻れと云う意味である。
それに従い、レンドルは玉座に戻った。隣にいる王妃ソフィアも小さく咳払いをしていた。
他国の王妃に思わず見とれた夫にさりげなくだが鉄槌を下したのだ。そして最後に国王レンドルも小さく咳払いをして玉座に座った。
「では伺いましょう。私に何か?」
「大魔王バーンに継ぐ脅威が現れました」
「なんですと!」
レンドルより先に大臣のベルダンが言葉を発した。国王の間にどよめきが起こる。レンドルも唖然とした。ベルダンは
「では、先日にいただいた書状の内容『新たな脅威』が現実に!」
「その通りです。彼の戦書をお聞かせいたします」
フローラはカールにヴェルザーが送った宣戦布告の文を移した書簡を読み出した。だがヒュンケルがヴェルザー側に回ったという箇所は省いて聞かせた。
「以上です」
「ですがロモスは平和です。まあ確かに、つい最近まで我が国の大学にいたヒュンケルがパプニカに…」
「陛下!」
ベルダンがレンドルの口を止めた。そのヒュンケルの朋友ポップが目の前にいるからである。
「そのヒュンケルのパプニカ襲撃、これもヴェルザーの謀略なのです。説明いたします」
ポップがヒュンケル一連の騒動について話し出した。さすがは商人として成功しただけあって、ポップの説明は理路整然として理解しやすいものであった。
「ということです…。ですからバーンとの戦い同様、サミットを開催し世界が一つになる必要があります。各国の元首がかつてのパプニカのサミットのように話し合い…」
「信じられんな…」
「は?」
レンドルの顔つきが変わっていた。フローラの美貌に見とれていた時の顔ではなく厳しく使者を見つめる顔となっていた。
「ポップ殿、君はヒュンケルと朋友であろう。その君が彼を擁護したとて誰が信じるというのだ?」
「私が嘘をついていると?」
「カールは強くなった。移民も増え、兵士も物資も充実している。ヴェルザーとやらの虚名を持ち出し、サミットにて余を呼応し殺害し、それに乗じてこのラインリバー大陸に南下しロモスを攻め取るつもりではないのか?」
「な…」
「カールが軍備増強しているとの報は聞いているぞ」
「陛下、それはあまりにご使者殿に!」
王妃ソフィアが諌めた。
「君は黙っていなさい」
夫の一喝にソフィアは黙った。だがフローラの方は黙らなかった。レンドルの言い方は邪推に等しいと彼女は思ったからである。
「それはあくまでヴェルザーに備えてのことです。『新たな脅威が起こりうるかもしれません。無駄な備えになることを願いつつも、あくまで万一のため、カールは軍備を増強します』と記した書状を持たせた使者を貴国に派遣したではありませんか!」
フローラは強く反論した。マァムが赤い鎧の男に襲われたこと、そしてヴェルザーの名前を出したことをアバンとフローラはマァムから聞いた。ヴェルザーの声はアバンもバーンパレスで聞いている。その野望も知っている。だからアバンは徒労に終わるのを願いつつもカールの軍備を固めたのだ。
「父シナナはそれを鵜呑みにしたがな。だが余は書状一通で全てを信じることはできぬ」
レンドルの態度は変わらなかった。それどころか、いっそう激しくフローラに言った。
「海が間にあるとはいえ、ロモスとカールは隣国!たとえフローラ殿の言が事実であっても隣国に脅威を感じさせるほどの軍備を行うとは賢王アバンも迂闊であろう!たった書状一通、しかも『新たな脅威』などと言う曖昧な言いよう、そんなことで多大な軍備増強を他国に納得させられるとお思いか!」
側近のベルダンは黙った。確かにレンドルの見解にも一理あるのだ。まだ実際にヴェルザーの脅威にロモスはさらされていない。このまま隣国カールの使者の話を鵜呑みにしていいものだろうか。そう王や大臣たちが考えても不思議ではなかった。
アバンはあえてパプニカ以外の国へは軍備増強の趣旨を記した親書にヴェルザーの名前を記さなかった。いらぬ混乱を避けてだが、ロモス新王レンドルは慎重、かつ用心深い王と思慮できる。ヴェルザーの名前を記しても、結果は同じだったかもしれない。ヴェルザーの脅威が全く伝わっていないロモスである。王になりたてのレンドルが他国の言葉を鵜呑みにすることに対して警戒するのは仕方の無いことであった。
「余は父のようにお人好しではない。お引取りいただこう、祝辞の品はお返しいたす」
「分かりました」
「妃殿下!」
「良いのです、ポップ。時が来たらご理解いただけるはず。ここは引きましょう」
フローラは国王の間の出口へ歩いていった。だがポップはまだレンドルの前にいた。
「何か言いたそうだな。そなたは勇者ダイと共に我が国を救ったことがあるに加えて我が王室の御用商人でもある。言いたいことがあるのなら遠慮なく申してみよ」
「ハドラーとバーン侵攻の時、誰もが思ったでしょう。事前に彼らの襲撃を察知して備えられていればと…。あのクロコダインの襲撃にしても事前にそれを察知していれば犠牲は減らせていたはず。陛下もハドラーとバーンの脅威をその身に受けたのに、もうそれを忘れておいでです」
「……」
「人は過去を反省しないし学ばない…。そこを邪悪はつけこむ、その繰り返しです」
「……」
「智者は他人の経験からも学ぶ、愚者は己の経験からも学ばない」
「……」
「失礼いたします」
レンドルに軽く礼を取り、ポップは国王の間を出て行った。国王の間は静けさに包まれた。最後のポップの言葉が誰の耳にも響いたからである。
「陛下…」
ベルダンが玉座に座るレンドルに歩み寄った。
「…備えておけ。今のカールと同程度くらいの軍備を。無駄になるのを願いつつ…あくまで万が一に備えてな」
「承知しました」
玉座から静かに立ち上がり、テラスの方へ歩いていくレンドル。このテラスはかつてダイ、ポップ、マァムがロモスの国民から喝采を受けた場所である。そのテラスに立ち、城下を見つめる。平和に生きる自国の民を見る。王妃ソフィアもその後ろにいた。
「陛下…少し疑りすぎと思います。事が起こってからではもう…」
「心配しなくてもいい」
「え?」
「事実であるのなら…いや、事実であろうな。今の使者殿の言を了承し、我が国も世界連合軍に参じるつもりだ」
「ならば何故、フローラ殿にあんな邪険な言い草を!」
「私はフローラ殿に説かれたのではないよ、ソフィア」
「?」
レンドルは笑った。
「フローラ殿の後ろにいた若いのに説かれたのだ。だからたった今なんだよ、世界連合軍の旗の元に参じることを決めたのはね」
「陛下…」
「皮肉たっぷりの捨て台詞を残しよって、若造が。ハハハ…」
ポップが最後に言ったことが脳裏をかすめる。
「智者は他人の経験からも学ぶ、愚者は己の経験からも学ばない…か。あの若造…余を愚者ときたか。ま、あの若いのが言うように『その繰り返し』は避けなければな」
レンドルは静かに笑った。
だが、カールの軍備増強の波紋はロモスだけに留まらなかった。ベンガーナ王国も同様な反応であった。ロモスと違い、王立劇場で赤い鎧の男に伴う騒動があったと言うのに国王は腰を上げようとしなかった。フローラとポップの知己たる将軍アキームがクルテマッカ七世に取り成しをしたが徒労に終わった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「お役に立てず申し訳ない妃殿下」
「アキーム殿の責任ではありません。私や夫も考えが甘かったようです」
ベンガーナ城下町の誇るデパート。その店内のレストランに三人はいた。使者の任務が失敗に終わり、肩を落として城を後にした二人をアキームが追いかけてきて昼食に誘ったのである。
「しかし…聞いてはいましたがクルテマッカ王の病の後遺症は思わしくないようですね」
「ええ、王室では姫が成人の儀を済ませたら陛下にご隠居願おうかとも話が出ています。それさえも間に合わないのであるのなら、ベンガーナ王室の子弟から優秀な若者を姫の夫として継がせようかとか…。そんな話ばかり出ています。しかしすんなり臣下の言うことを聞いてくれるかどうか…。本当に頭の病と言うのは治ってからも厄介なもので…」
ポップはフローラとアキームの会話を黙って聞き、ポークジンジャーランチのライスをバクバクと食べていた。
気に入らなかったことがある。ベンガーナ王クルテマッカ七世が師の妻であるフローラを好色そうな目で見ていたからである。明敏なフローラがそれに気づかないわけがない。サミットの口上を述べながらも不愉快に思っただろう。口上をロクに聞かずに好色な目でフローラを見る国王に腹を立てて、ポップは思わず詰め寄ろうとしたほどだった。だがフローラにそれは静かに制された。
(ちっ、もうベンガーナにはいい品物を卸さないからな…。て、いかんいかん。商売に私情を挟んじゃ)
「どうしたの?ポップ。まださっきのことを怒っているのかしら?」
そんなポップの心中を見透かしたようにフローラは言った。
「当たり前じゃないですか!フローラ様のことを好色そうな顔で眺めやがって。随員しているのが俺じゃなくカール騎士だったらどうなっていたと思うのですか!」
「ポップ!」
フローラの正面でアキームが小さくなっていた。
「あ、すいませんアキームさん。つい…」
「いえ、いいのです。正直言うと私も苦々しく思っていたので何の反論もできませんよ」
「昔はあんな人ではなかったよ、ポップ…。超竜軍団に破壊されて住処を無くしたカールの国民を積極的に保護して下されたし…私もしばらく食客として厚遇されたわ。私に邪な気持ちを持っていたのなら、その時にいくらでも方法はあったはずなのに、そうはなさらなかった。カールが対魔王軍に備えて陣を築けたのも、王の支援があってこそだった。とても寛大で思慮深い方だった。今のあの方の性格は彼の責任ではないの。病が悪いの。責めてはいけないわ」
「ありがとうございます…妃殿下…!」
フローラの理解にアキームは胸が震えた。俺一人悪者かよ…とポップはブスッとしながら頭をポリポリと掻いた。
「ですが…王立劇場の騒動以来、我らも敵襲に対して少なからず防備を固めていたものの敵は予想以上に強大なようです。今回の妃殿下の来訪でヴェルザーの存在が分かっただけでもベンガーナにとっては幸運です。備えられますからね」
「そんなことしたら、アキームさん怒られるんじゃないのですか?」
と、ポップ。
「ははは、いいのですよ。叱責されるのは慣れていますから。世界がどうなるかと言うことにも発展しかねません。黙って臣従することだけが忠義ではないですよ」
「しかし、アキーム殿、王は一つ気になることを言っていたわ」
「え?」
「『今に、そんな脅威などを心配する必要はなくなる』と…。どういう意味かアキーム殿に心当たりは?」
「いえ…残念ながら…」
「フローラ様、それは俺も気になっていました。三人寄れば何とやら。結果から紐解いてみましょうよ」
ポップがお茶を飲み干して言った。
「結果から?」
と、アキーム。
「はい、どういうことが起こればヴェルザーに対して俺たちが脅威を感じずに済むか」
「そうね…」
フローラは腕を組んで考え、そして言った。
「まず一つは『ベンガーナのみでヴェルザーを撃破できることが可能』ということ」
アキームは首を振った。
「とんでもない!軍事責任者である私がヴェルザーのことを何も知らないのに!」
「そうね…。あと考えられるのは…」
三人はハッとして顔を見合わせた。フローラの顔から血の気が失せた。
「まさか…」
フローラとポップはアキームを見つめた。
「でもまさか…?」
アキームは背筋に寒さを感じた。そして再び首を振る。だが
「ヴェルザーが来る前に俺たちは死んでいると…王は言いたいのか?」
「ですがポップ殿!」
フローラもポップと同意見だった。
「まさか…王はカールを攻める気なの!?」
「しかも、あの言い草は勝利をすでに確信しているって口ぶりだった…」
アキームは思わず立ち上がって怒鳴った。
「そんな馬鹿な!滅多なことを言わないで下さい!将軍の私が何も知らぬと言うのに、そんなことあるはずが!」
レストランにいた者は何事かとフローラたちのテーブルを見た。そして、強く反論を唱えたアキームも、性格が変わってしまった王の素振り、言動から100%違うとも言い切れず苛立った。
「すいません、根拠のないこと言って。とりあえずアキームさん、座ってく…?」
と、ポップが言ったその時だった。テーブルの上のカップとティーソーサーがカチカチと鳴った。
その直後、強烈な地響きがベンガーナを襲った。立っていられないほどの揺れがデパートを直撃した。
「きゃあああ!」
紅茶がフローラの膝に落ちたが事態はそれどころじゃない。
「なんだ!すげえ地震だぞ!」
「妃殿下!テーブルの下に!」
アキームがフローラをテーブルの下に押した。
「アキームさん!椅子!椅子の下に頭だけでも!」
ポップがフロアに転がっていた椅子を取りアキームに渡した。
地響きと共に揺れる大地、このままでは建物が崩落しかねない。レストランは最上階の四階。崩落したら三人とも死は確実である。窓の硝子が割れて外への出口がある。ポップはフローラとアキームの手を握った。
「トベルーラやるから掴まって!」
だがフローラはその手を振り払った。
「ポップ、私は最後でかまいません。怪我をされている方もいます。その人たちを先に貴方の魔法で安全な場所に!」
「何を言っているのですか!ここはカールじゃないのですよ!」
「他国だからと言って一国の王妃が真っ先に逃げたらアバンの恥です!私は最後でいい!」
フローラの言葉はアキームに突き刺さった。自分の命よりも他国の民の命を重んずる王妃。こんな非常事態にも関わらず胸が熱くなった。
「ポップ殿、私が妃殿下を守ります。ご命令通りに」
「…分かりました!」
ポップはレストランにいた者を片っ端からトベルーラで外に逃がした。レストランだけではなく、その階層にいたもの全てである。一度に四人くらい抱えて脱出した。早くフローラとアキームを助けるために。
まだ揺れは収まらない、トベルーラで脱出するたびにポップはレストランの窓を見た。
天井からはどんどん岩が落ちてきてフローラとアキームはその天井岩に完全に埋められてしまった。落ちてきた岩の重みでテーブルの足は折れていたが、アキームがそれを支え続けた。フローラも肩に負傷していた。
「妃殿下…」
「え?」
「さきほど…おそらくは我々三人が同時に思った最悪のシナリオ…。私は思い過ごしであると信じます。そして私は陛下に進言します。ベンガーナは世界連合軍の旗の元に参じるべしと。もし受け入れてくれなくば私だけでも直属の部下を連れ参戦いたします」
「ありがとう…」
「フローラ様ッ!」
ポップが間に合った。
「デパートに残っていた者は全て外に出しました!さあ行きますよ!」
ポップは魔法力で岩を破壊し、そしてアキームとフローラの腕を掴んだ。
「トベルーラ!」
ポップがアキームとフローラを抱きかかえてデパートを出ると同時に、ベンガーナの誇る、この建物は崩壊した。思わずその光景にアキームはゾッとする。
「危なかった…」
フローラとアキームと共に地上に降りたポップ。
「まだ揺れていますね。フローラ様、先生や姫さんの安否が心配です。すぐカールに戻りましょう」
「そうされるが良いでしょう。サミットの件は…どうされました、妃殿下…」
フローラは海を見ていた。かつてキルバーンの謀略でドラゴン数体が攻めてきた方角である。ポップとアキームもフローラの見る方向を見た。
「…!う、海が!」
「海面が上がる!海底火山の噴火か!」
津波が予想されることから、ベンガーナの国民たちは海から逃げ出した。ポップが
「フローラ様、俺たちも早く!津波が…!?」
「な、何あれは!」
盛り上がった海面から黒金の城が姿を出した。巨人が住むような桁違いに大きい城。地震はこの浮上による衝撃がギルドメイン大陸のベンガーナを直撃したのだろう。
そしてその城の全貌が海からどんどん姿を見せだした。そして見た。一つの島全体に建てられている巨大な黒金の城を。海上にいきなり巨大な城が現れたのだ。呆然とその城を見つめるフローラとアキーム、そしてポップは気づいた。城の中には強力なモンスター兵が多数いると。
「敵襲だーッ!」