さてさてこれからお楽しみの術式の修行に入るとしよう。
まずはこの術式でどんなことができるかを確かめることから始める。原作では刀に纏わせて使用していたが、おそらく自身の肉体でも行うことは可能だろう。それが出来れば肉弾戦になった際にも有利にことを運ぶことができる。
他にも自分の肉体を炎に変えるとか、炎の武器を作り出すとか、やってみたいことがたくさんある。ああ、早く色々と試したいなあ。
◇
庭に出て、刀を構える。
そして、一言呟く。
「術式解放、【焦眉之赳】」
その言葉を呼び水に、あたり一帯が熱気に包まれる。空気中の水が蒸発し、空気が乾燥し始める。
そして刀から真っ赤な炎が立ち上った。轟々と燃え盛る炎が、辺りを照らす。
炎、それは人間の根源的恐怖である。人間は炎を手にし、飛躍的に進歩を遂げた。しかし炎への恐怖を克服したわけではない。いつだって心の奥底には炎に対する恐怖が眠っているのである。
当然、術者本人はその炎で傷つくことはない。だが、炎への恐怖というのはどうしようもない。自身の間近で炎が燃えているのだ。恐怖を抱かない人間はいない。たとえ恐怖していないように見えたとしても絶対に恐怖は抱いているのだ。
しかし、禪院絳禰は例外である。恐怖というものを完全に捨て去り、ただそういう現象であると認識しているのみである。
よって他の術式保有者とは違い、一切の曇りなく術式を使用することができるのである。
◇
真っ赤な炎が私の顔を明るく照らしている。それを目で感じることはできないけど、確かにわかる。自分のすぐ近くに炎があって、その熱を感じる。
―――熱か。
焦眉之赳は炎を出しているが、それは周囲の温度を上げている。あるいは周囲に熱を与えているとも取れる。ならばそれを応用してサーモグラフィーや熱探知のようなことができるのではないか? 機能する五感と呪力による知覚では対応できない場合が来るかもしれない。そんなときにも今思いついたことは有用だろう。
他にも熱を放出していると考えれば応用の幅が広がるはずだ。
……なんだろう、斥候キャラみたいな能力がだんだんと増えていっている気がする。
それに熱を操れるというのならばただ単に炎を操るよりも遥かに応用が効く。周囲から熱を根こそぎ奪って一点に集中させた超高火力の炎とか擬似的な氷の術とかができるかもしれない。
夢が広がるな〜。
そのためにも術式の練度を上げるのと術式の拡張を頑張らなくちゃ。
まあ、とりあえずは炎を出した状態での刀の扱いを確かめなくちゃだめだね。あと体術も。流石に色々と変わってくるだろうし、把握が大変だろう。術式を組み込んだ戦い方も作ることになるけど、術式頼りにならないようにしなくてはいけない。
やるべきことと、やらなきゃいけないこと、やりたいことが多すぎるけど、自分が力をつけて生き残るためには全部頑張らないといけない。ここで妥協をするような奴はこの先生き残るなんてことできやしない。
―――妥協は許されない。
―――全てをものにしてみせろ。
武器は仕込み杖を使わせたい
書いててこれのどこが焦眉之赳なんだと一瞬思ったけど術式は解釈次第ということを思い出して好き勝手改造することを決めた。
扇さんは火力を上げるための縛りで刀にしか炎を纏わせられなかったということにしておこうそうしよう。