転生したら禪院家の女でした   作:苦鳴

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二話目です


転生先は天国か地獄か

 マンションから突き落とされて死んだ私。なぜか赤ん坊になっていました。

 

 ―――なじぇ?

 

 まあまあ待て待て。落ち着こう。ひとまずは情報の整理をする必要がある。

 

 まず私は一度死んだ。これは間違いない。自分の命がゆっくりと消えていくあの感覚が嘘だったなどということは絶対にありえない。ありえて良いはずがない。

 

 そして今。私は赤ん坊になっている。

 

 …………なぜ!?

 

 いやホント何でだろう。輪廻転生とか一切信じてなかったし、転生ものの小説とか読んでこんなことが現実で起こるわけないでしょとか鼻で笑ってたんだけど。

 

 それはそれとして小説自体は面白かったけど。

 

 

 

 ひとまず私が転生をした。この事実は仕方ないが受け入れざるを得ない。……非常に不本意ではあるけど。

 

 そして最も重要なことが一つある。それは何か?

 

 

 ――それは、

 

 

 

 

 転生先である。

 

 これが終わってたらマジで詰む。異世界ファンタジーとかは本当にクソ。戦争とか魔物とかそういう作品だとありがちなものこれら全ては私を脅かすことしかしない。そして一番中世ファンタジーの世界を避けたい理由はトイレである。現代人の私が臭いトイレに我慢ができるはずがない。

 次に食事。トイレと迷ったけどこっちが二番目最悪こっちは自分でなんとかなる。だけど現代日本の料理を食べてきて舌の肥えまくった日本人が食事に妥協なんてできないのである。とりあえず米は必須。

 

 また他に考えられる可能性があるのは漫画かアニメの世界に転生した場合。これはまだ希望がある。日常系や恋愛系の世界に転生したならもう勝確。恋愛ものの場合主人公たちのイチャイチャするところを延々と見ることになるかもしれないけど死ぬよりはましだ。ただ頼むからバトル物はやめて欲しい。特に人がポンポン死ぬような世界は絶対嫌だ。

 

 最善はただ普通に前世と同じ世界に転生した場合だ。いやもう、ぶっちゃけた話これが一番いいよね。高校生まで生きてたわけだから十数年のアドバンテージがあるし、トイレはもちろん食事もちゃんとしてる。それに前世の時のような例外はあれど基本的に命の危険はない。あとは家庭環境だろう。それが良ければもはや完璧。勉強しろしろ言ってくる程度なら喜んで飛び上がってしまうかもしれない。ただ所謂毒親だけは勘弁して。

 

 

 とまあ予想をしたところですでにこの世界に生まれてしまっているわけだからどうしようもない。私にできることはまともな転生先であることを祈るだけである。………どうか素敵な世界でありますように!

 

 

 

 あ、それとファンタジーの世界の可能性もあるから何か魔力みたいなものがないか色々と試してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が得た情報の中で良い話と悪い話がある。とりあえずは良い話から話していこう。

 

 

 まず良い話一つ目。

 なんと、自分の体にある不思議パワーを感じ取ることができました〜! パチパチパチ〜

 いやー苦労したよー。前世で一度も感じたことのないものを感じ取るっていうんだからね。ずっとやってても一切感じ取る兆しが見られないから一瞬だけ諦めかけたよ。しかし、しかしである。もし仮にこの世界がファンタジーの世界であった場合、赤ん坊の状態でそれを知覚できるというのは大きなアドバンテージになる。そして本音を言えば赤ん坊のときに知覚できなかったら一生知覚できない気がしたのだ。子供の時が一番成長しやすいというのに今やらなくてはいつやるのだと思ったわけだ。

 そんなこんなで私は見事不思議パワーを知覚することに成功した。それから毎日そのパワーを自由自在に動かせるように特訓中である。

 

 私ファイトー!

 

 次に良い話二つ目。

 ようやく私の名前がわかりましたー! と言っても、あくまで推測に過ぎないのだけど。

 え? 推測に過ぎないってどういうことかって?

 実はたまに誰かの話し声から少しだけ情報が手に入るだけど、その中になんと人の名字っぽいことを言っていた人がいたんだ。それでそれが私の名字何じゃないかってわけ。願わくば名前もちゃんと知りたいよね。

 

 

 ここからは悪い話。できれば知りたくなかったなあって話がある。

 

 

 まずは悪い話一つ目。

 なんと私は生まれたときから五感のうち二つが機能していないのだ。

 五感はどれも重要で、一つないだけで日常生活が大きく変わってしまう。それなのに私は二つも機能していないわけだ。私の失われている五感は視覚と味覚。視覚の方は割と最初の方からそうなんじゃないかなあと思っていたけど、なぜか周囲の様子が把握できていたのでまあそんなわけ無いかと流してしまっていた。が、この度無事に視覚がないことが確認されてしまったのである。そして味覚の方に気づいた理由は単純だ。毎日摂取しているものに味が感じられなかった。赤ん坊に味の濃い物は食べさせちゃだめなのかなあとか思ってたけど間違いなく違いましたよ。ええ。視覚の方に気づいたとき必然的にこちらもわかったよ。あ、これ味覚もないやつだなって。

 

 私はこれから一生食事を楽しむことができないのかぁ。まじかぁ。やだなぁ。人生の楽しみの一つがぁ。

 

 続いて悪い話二つ目。

 さっき話した聞こえてきた名字って言うのが禪院でしたー。

 禪院っていう名字で思い出すのはあれだよ? 呪術廻戦の禪院家。もし仮にそうだったら最悪だよね。女に人権ないし、術式至上主義だし。最悪この家でいじめられて死ぬ。

 

 

 

 

 さてさて良い話と悪い話。これら全てを知った上で導き出される結論は―――

 

 

 

 

 

 

 

 私が転生したのは呪術廻戦の世界の禪院家の可能性が高く、このままでは迫害対象として家の人間に殺されるかもしれないということだ。

 

 

 

 ハハッ

 

 

 

 ふ ざ け る な

 

 

 なぜメインキャラも容赦なく死んでいくような世界に転生しなければいけないんだ。前世で理由もわからず殺された挙げ句、転生先は最悪の環境だって? もし神がいるというのならば絶対に殴ってやる。

 

 死んでたまるか。前世で生きれなかった分、今世では幸せに老衰で死ぬまで生きるんだ。




また来週に続きは投稿します
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