「私の名前は禪院絳禰。通称呪いの子です。」
「ああ? 禪院だあ?」
うっわ。一瞬で態度が悪くなった。こちらを睨みつけてガンを飛ばしてきている。それだけで人を殺せそうだ。
「落ち着いて下さい。別に私は貴方に害を与えるつもりはありませんし、できませんから。そういう縛りを結びましたからね。」
さっきのは縛りはこのために結んだのだ。戦った後には名乗るつもりでいたけどそれで有無を言わさず襲いかかってこられたらたまったものではない。予想通り名乗った途端に険悪な空気になったし、その判断は正解だっただろう。
「チッ! さっきの縛りはそのためかよ。」
「まあ、私を殺しても禪院家は喜ぶだけでしょうけどね。」
だって自分たちがリスクを負わずに勝手に死んでくれるんだ。願ったり叶ったりだろう。自分たちが殺したら呪いが降りかかるかもしれないしね。
「はあ? 何でだよ?」
「先程名乗ったじゃないですか、“呪いの子”だって。自分たち以外が私を殺してくれるなら飛び跳ねて喜びますよ。」
赤ん坊の頃はそれなりに面倒をみられていたけどちょっと成長したら殆どいないものみたいなものだったしね。
「呪いの子ぉ?」
「そこは無視してください。」
「いや、無理があんだろ。」
ええー。あなたは関係ないんだしスルーしましょうよ。別に対して気になることでもないでしょうに。でも知りたいなら教えるぐらいはするかな。
「実はかくかくしかじかで———」
「うっわあ、まじか。禪院家クソじゃん。」
私が詳細を話すと真っ先にこの言葉を言った。それには全面的に同意するけどあくまで私の主観的な意見だしねぇ。
「よし! 今から禪院家潰しに行こうぜ!!」
いやだめでしょ。いくら五条家の次期当主といえどそれは許されることじゃない。それにこれは私の問題だ。
「それは自分の手でやりたいんです。そのために力をつけて、徹底的に潰してやりたいんですよ。」
「なるほどなぁ。でも面白そうだからやる時は教えろよ。」
「……まあ、それぐらいならいいですよ。」
正直な話知らせたら絶対に介入してくる気がするから教えたくはないのだけどこうでも言わないと折れてくれないだろうからな。
「よし!」
うん、これで正解だったな。
「あ、そういや俺たち友達でいいんだよな?」
「いいと思いますよ? 一応仲良くなったと言えるでしょうし。お互いに初めての友人ですね。よろしくお願いします。」
「……何で俺に友達がいないって決めつけてんだよ。」
「え、いるんですか?」
まじ? 友達いるの? 人を花として見てたような調子に乗った人に? 嘘だあ。
「いや、いねえけど……。」
「ですよね。」
うんうん、素直に認めればいいのに。別に私だってそうなんだから恥ずかしいことではないでしょ。
「なんか腹立つな。」
「あ、そういえば一応縛りを結んでおきましょう。私が禪院家を潰す時にそのことをあなたに報せる代わりに、私が禪院家を潰したいと思っているという事実を誰にも話さない。これでお願いします。」
「ああ、わかった。」
これでよし。彼からこのことが漏れなければ何も問題はない。
さて、それでは私はそろそろ帰りましょうか。
「あ、ちょっと待て。」
私が立ち上がったら何故か呼び止められた。はて、まだ何かあっただろうか?
「友達なのに喋り方がよそよそしいだろ。もう少し軽く話せよ。」
「私、この喋り方が普通なんですけど。」
今更喋り方を変えろと言われてもずっとこの喋り方だから無理としか言えない。でも確かに友達っぽくはないな。
「そうですね……ではこれから悟と呼びます。これなら友達っぽいでしょう。なので悟も私のことは絳禰と呼んでください。」
「あ、ああ。分かった。あ、絳禰。」
一瞬どもったな。
自分も友達なんていないことを棚にあげて煽っていくスタイル。
絳禰「私は隔離されてましたし、仕方ないと思います。」