気づかれたら死ぬ。そんな気持ちで修行を続け、私はようやくまともに話せるようになった。もう英語だってペラペラだ。もはや私に死角はない。
………ごめんなさい。嘘吐きました。英語なんて話せません。
そんなことはさておき、ようやく流暢に話せるようになったわけだが、別に今の段階ではあまり意味がなかったりする。だって術式も発現してないし、呪詞なんてやりようがないのだ。
そして私は最近少しだけ行き詰まってしまっている。呪力の操作をひたすらに修行してきたが、すでに私の頭で思いついて試せるだけのことは試した後なのだ。よって少しだけ飽きてきたのだ。
分かってる。分かっているとも! 自分の命がかかっているのだから真面目にやれと言いたいのだろう? それは分かっている。私が生き残るためなのだ。修行に手を抜くなんてことはありえない。今日より明日。明日より明後日。いつだってそれを目指して修行をしている。しかし、しかしだ! この世界に転生してきてしまったことはもはや仕方のないことだ。それは分かっている。そして前世で呪術を使ってみたいと思ったことだってある。ならば呪術を極めてみたいと思うのは普通じゃないのか!?
………え? いいから大人しくいつも通り修行してろって?
………はい。
◇
ある日私はふと考えてしまった。それは私に女子らしさが足りないのではないかということである。どうも私は興奮すると女子らしさをどこかに投げ捨ててしまうことが多い(毎回)。そして、御三家の一つである禪院家の息女ともなればお客の応対をすることだってある。
つまりどういうことか?
それは令嬢としての立ち振舞も求められるということだ。言葉遣いに礼儀作法などなど、それら全てを完璧にこなさなくてはいけない。私は呪いの子だから大丈夫? そんな希望的観測はしてはいけない。間違いなく行うときが来る。例えば私を殺したい者が意図的に私にミスをさせ、それを口実に私を殺すということが考えられる。その他にも様々な理由でそんな場面があるだろう。その時に私が何か粗相をしてしまえばどうだろう。鬼の首を取ったように奴らは私を殺しに来るだろう。
よって私はそれらを避けるために令嬢として理想的な振る舞いをする必要がある。ならばこれからその内容も修行に入れなればならない。前世では一般人だった私は最低限の作法しか分からないしできない。修行しなければいけない内容がどんどんと増えていく。それでも私はやらなくてはいけない。死なないために、生きるために。
一つでもミスをすれば即座に首が飛ぶと思え。
常に完璧であれ。
全てを偽れ。
決して牙を見せるな。
自分はいつでも殺せる存在だと、そう思わせろ。
全ては私が生きるために。
しばらく主人公は一人で頑張ります。