あと投稿頻度を三日に一回に落とします。
東京へ
私ももう十四歳。世間一般で言うと中学生の歳だ。もっとも、禪院家が私を中学校などに通わせるはずもなく、今まで通り過ごしている。
一つ変わったこととしては甚爾さんが家を出て行ったことだろう。私との取引が途中だというのに申し訳ないといったニュアンスのことを言っていたが、私は大丈夫だ。もうかなり強くなったはずだし、大抵のことには自分で対処できる。
それに、今でもたまに修行はつけてもらってるしね。
結婚するというのにこんな家にずっといるわけにはいかないだろう。出て行くのも当然と言える。
出て行く際には禪院家で暴れていったらしいが、いい気味だ。戦闘員を叩きのめして、呪具庫から特級呪具やら何やらも奪って出ていったらしいし、しばらくの間禪院家の力は落ちるだろう。反転術式のアウトプットが出来る人間は少ないし、すぐに復帰も出来ないだろう。
ザマーミロと笑ってやろう。
さて、そんなわけだけど私は山から降りてきて禪院家の本邸を訪れている。別に甚爾さんにボコボコにされた人たちを嘲笑いに来たわけではない。
……まあ、ないと言えば嘘になるけど。
ここに来たのは外出許可をとりに来たからだ。ちょっと東京まで行きたいのだ。街に行くぐらいならもう無断で何度も行っているのだが、流石に泊まりがけとなると許可は必要だろう。もう何度も本邸には来ているし、慣れたものだけど未だに私に対する考えとかは変わっていない。
たまに直哉に会うとウザいぐらい話かけてくるのでできるだけ避けるようにしている。呪力を探ればすぐに場所が分かるし会いたくない人に会う必要はないだろう。
ふう、ようやく着いた。いつも思うけどこの家広すぎると思うんだよね。だからどうしたって話ではあるけど。
ここに来るまでに色々と陰口を言われていたが、今更どうだというのか。どうでもいい人たちのどうでもいい言葉なんて聞くだけ無駄だ。さっさと用を済ませよう。
「失礼します。」
「おう、入れ。」
部屋の中から許可する声が聞こえたので丁寧に入る。
「お久しぶりです。当主様。」
「およそ一年振りか。それにしても相変わらず硬いのぉ。」
「そう言われましても、そういう性分ですから。」
前世でも確かこんな喋り方だったはずだ。もう前世のことなんてほとんど覚えていないから確証はないけど。前世の記憶はほとんどないということは、当然呪術廻戦の記憶もほとんどない。多分顔を見てああそういえばこんなキャラいたなぐらいしか分からないだろう。ストーリーなんて微塵も覚えちゃいない。
転生ものの主人公達って凄いよね。赤ちゃんの頃の記憶をずっと覚えてるんだから。もしかしたら何かにメモを残していた可能性もあるけど、私にはそんな余裕はなかったしね。
何にせよ、内容を覚えていない以上は死なないためにも力をつける必要があるのは変わらないだろう。
「まあ、無理に直すものでもないしな。して、今日は何用だ? 以前一人で自由に外出する許可を与えたが、まだ何かあるのか?」
「少し東京に泊まりがけで行きたいのでその許可を。」
私がそう言うと当主様は固まった。
「一応聞いておこう。何をしに?」
まあ、東京に行ってみたいとか、観光地に行きたいとか、色々予定はあるけれど、主な理由は二つだ。
「甚爾さんに会いに行くんです。この間連絡がきまして、頼みたいことがあるから来てくれないか、と。それと東京の呪術高等専門学校に行ってみたいなと思っています。」
「何故わざわざ東京の高専に行こうとするのだ? 京都にもあるだろう。」
「五条家の神童と名高い数百年振りの六眼と無下限呪術の抱き合わせだと言う五条悟という方を一目見てみたくて。呪いの子とは真反対の呼び名ですからね。気になったのですよ。」
まあ嘘だが。前に会ったことあるし。友人になった後も何度かあって、一緒に呪術の修行とかをした。で、その悟が今年高専に入学したから様子を見に行こうというわけだ。御三家出身で私に会うまで全ての人間を蝶や花だと思っていたような人だし、仲良くやっていけているのか少し心配だ。ひとりぼっちだったら慰めてあげよう。
「五条悟か。お前も知っての通り禪院家と五条家は仲が悪い。」
「確か御前試合で両家の当主が相打ちで死んでしまったのでしたか。」
以前の六眼と無下限呪術の抱き合わせの当主と十種影法術の当主が戦ったらしい。十種影法術は禪院家の相伝らしいけど、今の禪院では誰も発現していない。発現したらすぐに当主候補に躍り出るだろう。
「そうだ。だがこちらとしても無用な衝突は避けたい。許可は出すが禪院家の者だということは隠しておけ。高専の方にも禪院家ではない者として紹介する。」
ああ、私は対外的には存在しないことになっているしそういう面でも隠したほうが都合が良いのだろう。
ま、許可をくれるなら何でもいいけど。
「分かりました。身分の方は用意していただけるのですよね? 新幹線のチケットなどは自分で用意しますのでそれだけよろしくお願いします。」
東京の親戚に会いに行くということにしておけば中学生ぐらいの子供が一人でも違和感はそれほど持たれないだろう。
「で、いつ行くのだ?」
「五日後ですね。あまり目立たないように黒色のかつらを被って盲目であることを隠すために色の濃いサングラスをつけて行きます。」
あとは私の武器である仕込み杖といくらかのお金、着替えを持っていけば問題はないだろう。
甚爾さんは着いたら相談事を教えると言っていたけど、何なんだろうな。
服が和服だからめちゃくちゃ目立つことを分かっていない。
主人公が原作知っていると絶対に止めようとするから原作の流れに入らなくなるのでどうするか悩んだ。そして閃いたのが赤ちゃんの時の記憶なんて覚えてるわけないじゃんってこと。