転生したら禪院家の女でした   作:苦鳴

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十月中忙しいから投稿頻度落ちるかも。


センス

「術式順転——」

 

 明確な呪力の起こり。私ほどの感知能力がなくても察することができるほどのものだ。これはブラフか、それともテンションが上がって術式禁止というルールを忘れてしまったのか。

 

 私としては後者だと思うのだけど、果たしてどうか。まあでも、私か悟が何かする前に——

 

「そこまで!」

 

 夜蛾さんから静止の声がかけられるよね。

 

 

 

 

 

 

 

 夜蛾さんに強制的に終了させられた直後、当然のように悟は食ってかかる。

 

「何で止めたんだよ。」

 

 私との戦いを途中で止められたことが余程むかつくらしい。でも、今回ばかりは悟に勝ち目はないかな。いや、いつも大体ないんだろうな。

 

「術式禁止と言ったはずだ。それを破ろうとしたのだ、止めるのは当然だろう。」 

 

「やっぱ術式なしだとあんま面白くねえんだよ。どうせ絳禰とやるなら術式ありでやりたい。」

 

「ほう? それで気分が上がってつい使ってしまったと?」

 

 あ、この先の展開読めた。なのでススス、と観戦をしていた硝子さんの方へと歩み寄る。どうやら彼女もこの先の展開は読めているらしく、苦笑している。

 

「別にいいだろ。術式持ってない相手を想定した戦いなんてあんま役に立たないんだし。」

 

「なんらかの理由で術式が使えない状況に陥る可能性もある。領域展開直後とかな。」

 

 使えるのはほとんど存在しないけど。術師で使える人間なんて現特級呪術師の九十九って人ぐらいだろう。多分呪霊の方が多いんじゃないかな。

 

「で?」

 

「何?」

 

「いやだから、術式使って何か悪いことでもあんの? 本人も乗り気だったんだからいいだろ。」

 

 あ、馬鹿。

 

「……」

 

「いいだろ? じゃあ——」

 

 ゴンッ

 

 またも悟の頭に拳が振り落とされた。さっきも殴られていたのに学習しないなあ。

 

「バカだねー。」

 

「ですねー。」

 

「アイツも全然学ばないよね。ガキでもそろそろ分かるだろうに。」

 

「ということはガキ以下? となると何でしょう。」

 

「んー、赤ちゃんとか?」

 

 悟が夜蛾さんに説教されているのを尻目に、私と硝子さんは話が盛り上がっていた。もっとも、その内容は友人をこきおろすものだけど。

 

 なんにせよ、少しでも仲良くなれたのなら良いことだ。

 

 あ、そうだ。反転術式のアウトプットをやってもらわないと。説明されても分からなかったけど、実際に体験すれば分かるかもしれないし。

 

 というわけでサクッと指に傷をつける。私が何も言わずに突然自傷をしたからか、硝子さんは驚いた様子だった。そういう配慮も必要だったなと少し反省。

 

「いや、何やってんの?」

 

「反転術式のアウトプットを体感してみたいなと思いまして。」

 

「突然自分に傷つけたから何かと思ってびっくりしたじゃん。」

 

「すみません。ただ待っているだけというのも暇だなと思ったので、それなら有効的に時間を使おうかなと。」

 

「てか反転術式は使えるんでしょ? なのにできないもん?」

 

 そう簡単に出来てたら苦労しないんだよなあ。

 

「色々と試してはいるんですけどね。反転術式を習得してからかれこれ八年ぐらい経っているのですが、兆しすら見えなくて。」

 

「それにわざわざ習得する必要あるの? 自分を治せれば十分だと思うけど?」

 

 まあ、実際そうだ。そんなに躍起になって習得しようとしなくても、自分の怪我さえなんとか出来るのであれば私としてはなんの問題もない。才能が大きく関わる技術だろうし、頑張ること自体無駄なのかもしれない。

 

 でも、やれることはやりたい。自分のことが最優先ではあるけど、死にかけの人を助けられるんだったら助けたい。余裕がなければ話は別だけど。

 

「使えるようになれば呪霊を相手するのが楽になりますから、覚えて損はないかと。」

 

「ま、なんでもいいけどとりあえず指出して。」

 

 言われた通りに指を差し出す。小さめに傷を作ったから多分一瞬で終わるだろう。だから、指先に意識を集中して感じないと。

 

 呪力が私の指に流し込まれ、瞬く間に傷が塞がっていく。

 

 

 

 

 

 

 ……終わり?

 

 何にも分からなかったんだけど。

 

「で、どうだった?」

 

「何も分からなかったです。」

 

「マジ? やっぱセンスねー。」

 

 流石にこれには落ち込んだ。習得するまで頑張ろう!と決意を固めることとなった。

 

 ちなみに悟とついでに傑さんはまだ怒られていた。

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