転生したら禪院家の女でした   作:苦鳴

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呪具

 さて、仕事も終わったことだし、報酬の呪具の情報を貰わないと。あとついでにお金。金なんて頑張れば手に入れられるものだし、呪具の情報の方が個人的には価値が高いのだ。それに報酬は甚爾さんに何割か持っていかれるし。

 

 呪具って等級が高いものだと色んな効果があるから集めるのが楽しいんだよね。絶対呪具収集家みたいな人もいると思う。呪具なんていくらあってもいいからね。

 

 欲を言えば情報だけじゃなくて現物も報酬として欲しいんだけど、それは欲張りすぎかな。情報さえ貰えれば自分で購入するとかやりようはあるわけだし。

 

 まあ、それも情報を確認してからかな。そのためにもまずは依頼達成報告をしに行かなくちゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「依頼、完了しましたよ。」

 

「相変わらず早えな。」

 

 早速時雨さんのところに来たのだけど、私が会いに来るなり車に乗せた。で、今車の中で依頼完了の報告。

 

 この一連の流れを周りから客観的に見てみると良い歳したおじさんが中学生ぐらいの家族でもない女の子を車に連れ込んでいるという完全な事案だが、誰も見ていないし何も問題ない。見られても私にダメージはほぼないし問題ない。

 

「それで、呪具の方はどうでした?」

 

「ああ、いくつか良いのを見繕ってるってよ。」

 

「それならよかったです。」

 

 どんなのだろうなあ。楽しみだなあ。

 

「お前呪具自体が好きなだけか。」

 

 そうだが? あれこれ理由をつけて呪具の情報を得ようとしたけど、結局は自分が欲しいからだ。普通の物より呪具の方が弄っていて楽しいのだ。活用方法を考えたり、組み合わせてみたりして楽しめる。呪具集めは趣味の一つだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が用意できたのはこの4点です。」

 

 そう言って差し出されたのはそれなりに等級が高そうな呪具。等身大の人形にバッジ、拍子木、手錠の四つだ。

 

「では、説明をお願いできますか?」

 

「はい。」

 

 特に人形とかどうやって使うんだろう。操り人形? それとも身代わり人形?

 

「まず、こちらの人形からご説明させていただきます。こちらの人形ですが、人間の姿形を真似ることができます。」

 

「姿を真似る?」

 

「はい。髪の毛を三本ほどこの人形の頭の部分に突き刺して頂き、血液を口に含ませればその髪と血の持ち主の姿へと変化します。」

 

 なかなかに面白い。精度がどれほどなのかにもよるが、戦闘中に囮として使えるかもしれない。髪の毛三本と血液だけでそれが可能なのであればかなりコスパがいい。

 

「精度はどれほどですか? 限りなく近いのか、あるいは遠目から見れば分からない程度なのですか?」

 

「その点についてはご心配なく。完璧に姿を模倣してみせます。」

 

「じゃあその、自律稼働とかできたり……。」

 

「残念ながら、それは不可能です。」

 

 ロマンが……分身の術とか言って遊ぶ夢が……くそぅ……。

 

「でもまあ、これはもらいます。」

 

 

 

「では次は、このバッジの説明をさせて頂きます。簡単に言いますと、こちらは物体の状態の保存が可能となっています。例えば水筒に入った熱々のお湯。水筒にこちらをつければ冷めることなく持ち運びが可能となっております。」

 

「どのようにして水筒につけるのですか? つけられるようなところはないように思われますが。」

 

「それにつきましては、粘着性のある呪力が裏面にあり、どこでも何にでもつけることが可能となっております。それと補足として、一つ以上のものを保存したければ箱か袋で一つにまとめることで全て保存可能です。」

 

 え、何そのあまりにも都合のいい内容。私だったら一つの袋に全部まとめた上で炎の中に収納できるからめちゃくちゃ便利じゃないか。流石に体積に限界はあるだろうけど、それでも破格だ。

 

「それとこちらは大きさとしてバイク一台分ほどが限界となっております。」

 

「こちらももらいます。」

 

 今度賞味期限がすぐ切れる食べ物に使って悟とか甚爾さんたちに持ってこよう。

 

 

 

「こちらの拍子木は火を消せるという効果です。元は火の用心の言葉とともに音を鳴らし火事の注意を呼びかけるものだったのですが、いつのまにか火を消すという効果になっていたという呪具です。」

 

 私、術式で自由に炎を操れるから消すことぐらい造作もないんだけど。今更こんなものを出されてもねえって感じだ。

 

「これ、鳴らしてて結構楽しいんですよ。」

 

 いや、そんなことを言われてもねえ。

 

「火の用心!」

 

 カン!カン!

 

「……良い音鳴りますね。」

 

 それを手に入れた誰かと戦うことになった時、私が出した炎を消されるなんてことがあったら少し面倒かもしれないし、手に入れておくに越したことはないか。

 

  ……決して楽しそうだったからではない。

 

 

 

 

「最後にこちらの手錠ですが、特に効果はありません。ただただ硬いだけのなんの変哲もない手錠です。」

 

「そうですか。では、他の三つをもらいますね。」

 

「ま、待ってください! もう少し考えていただけませんか!?」

 

 いや、だってそれそこまでして欲しいものじゃないでしょ。それをもらうぐらいなら金をもらうことを選ぶよ私は。

 

 腕しか拘束できないような呪具は役にたつとは思えないんだよね。足さえ動くなら蹴りだってできるし、逃げることだってできる。腕を切り落とせば拘束を抜けることなんて容易い。なんでこんなものを最後に出してきたのかなあ。

 

「そんなに払う金額を減らしたいのですか?」

 

「お金はあって困るものではありませんからね。」

 

「……まあ、いいですよ。甚爾さんにでも渡しておけばうまいこと使ってくれるでしょうから。」

 

 私はいらない。

 

 

 

 

 

 

 金は振り込んでもらったし、呪具は炎の中に収納してもうここでやることはない。さあ、帰りますか。今は12時過ぎだし、甚爾さんの家に帰る前に何かお昼を食べてから帰ろうかな。で、帰った後は恵くんに呪術の基礎を教えるとするかな。




そのバッジ自分も欲しい。
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