ダンジョンに霞龍がいるのは間違いだろうか?   作:デキンハンザー

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第四話 龍の力の一端

 〜ベルside〜

 僕とリリ、そしてヴェルフの三人のパーティの初の中層進出は、タケミカヅチ・ファミリアからの『怪物進呈(パス・パレード)』を受け、波乱に満ちた始まりをした。僕たちは、モンスターたちに追いつめられて、足場が崩壊、13階層から15階層まで落下した。その落下でヴェルフが足を負傷し、上層に向かうのが難しいとリリが推測した結果、僕の判断によって18階層『安全階層(セーフティポイント)』を目指して進んだ。

 16階層の途中でリリとヴェルフが気絶したり、2人を担いで17階層の広間『嘆きの大壁』についた時、予想よりも早くゴライアスが復活し、窮地に陥るものの、間一髪で、ゴライアスの追撃から逃れ、18階層に転がり込む事ができた。

 満身創痍だった僕たちをアイズさんが発見し、ロキ・ファミリアの皆さんが介抱してくれて、僕たち、3人のパーティは18階層で回復に努め、ロキ・ファミリアの皆さんと交流をした。その日の夜、神様たちの僕たちを救う救出隊が到着した。ダンジョンの中に来ている神様に驚きはしたが、神様との再会を喜んだ!

 次の日、神様とリリ、ヴェルフ、救出隊に参加していたタケミカヅチ・ファミリアの桜花さん、命さん、千草さん、そして、ヘルメス様とヘルメス・ファミリアの団長、アスフィさんと一緒に、ロキ・ファミリアのアイズさん、ティオネさん、ティオナさんの案内でリヴィラの街を案内してもらったり、ヘルメス様に騙され、水浴びの覗きの冤罪をかけられた上、激怒したロキ・ファミリアのレフィーアさんに追いかけ回されたりして、色々大変な1日だった。

 その後ロキ・ファミリアの後続のパーティに一緒に組み込まんでもらった僕たちは、そのことを神様に伝えようと神様の天幕に向かった。が、神様は天幕にはいなくて代わりに一枚の紙があった。その紙には、【未完の新人(リトル・ルーキー)】、女神を預かった。中央樹の真東、一本水晶のところまで一人で来い。というものだった。

 急いでそこに向かうと、以前、豊穣の女主人で絡んできた冒険者、モルドさんがいて、決闘を申し込まれた。最初は、姿を透明にするマジックアイテムを使われて、ボコボコにされたけど、誰かに見られているような視線に敏感になっていた僕は、徐々に、透明の攻撃に対応出来る様になり、最終的に僕の方から攻撃を仕掛けた。

 もう決闘に決着が付く……その時、リリに助けられた神様が神威を解放し、モルドさんとその取り巻きの冒険者を威圧した。それにより、モルドさんと取り巻きの冒険者たちは、慌てて逃げていった。

 神様も無事だったし一件落着だと思ったその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ダンジョンが哭いた】

 

 

 

 

 

 

 ダンジョン全体を揺らす地響きのあと、18階層の天井から通常とは違う、漆黒のゴライアスが落ちてきた!

 その光景に唖然としていると、

 

 「……変ですね。」

 

 「……変?」

 

 「変って何がですか?リュー様?」

 

 同じ光景を見ていたリューさんがつぶやいた。そのつぶやきに気付いたヴェルフとリリがリューさんに質問をする。

 

 「見なさい。」

 

 そういってリューさんは、漆黒のゴライアス、正確には、ゴライアスの目を指で差して言う。

 

 「あのゴライアス、何かを目で追っているような顔の動きをしています。」

 

 「何?」

 

 「……本当ですね。」

 

 リューさんの指摘通り、あのゴライアスはなにかを目で追っている。そしてその視線の先は、僕たちの右の断崖の方に向いているように見える。が、その右の断崖になにかあるように見えない。

 

 「けど、リューさん、僕たちの右側の断崖を見ているようですけど……なにもないですよね?」

 

 「はい。だから変なんです。あのゴライアスの動きは……だから皆さん、注意してください。」

 

 リューさんは、僕たちに注意を促す。それに、僕たちは頷いた。その時、

 

 

 

 

 ウオオオオオオオオオ!!!!

 

 

 

 

 ズドン!ズドン!!ズドン!!!

 

 

 

 漆黒のゴライアスは咆哮(ハウル)を僕たちの右側の断崖に3発撃った!僕は、ゴライアスの咆哮(ハウル)の衝撃に耐えながら、見た。毒々しい紫のドラゴンが断崖から落ちるのを。

 

 

 

 

 

ドカッ!!

 

 

 

 大きな音を立てて落ちた!!砂煙で見えない!!周りを見るとみんな、ドラゴンが見えたのか、固唾を飲んで砂煙が晴れるのを待っている。

 

 「おい!!砂煙が晴れるぞ!!」

 

 桜花さんが言う通り砂煙が晴れてきた!!一体何が落ちて来たんだ!? 

 砂煙が晴れ、見えた姿は、毒々しい濃い紫の体表、尖った鼻に、ギョロギョロと別々に動く目玉、背中には一対の翼、平べったく広がり、先が丸まった変わった尻尾を持つドラゴンだった。

 

 「あれは………」

 

 「……見たことないモンスターだ。」

 

 「リューさんも見たことないんですか!?」

 

 僕は、リューさんの発言にびっくりする。リューさんは歴戦の冒険者だ。そんなリューさんが知らないモンスターだなんて

 

 「……もしかして、あのモンスターは、」

 

 「なにか知ってるのかい?千草くん?」

 

 「多分ですけど………3週間ほど前に【剣姫】さんが発見された新種ではないでしょうか?名前は………たしか……」

 

 「………ヴェミスドラゴン

 

 「えっ…?リリ?なんて?」

 

 ドラゴンは、ギョロギョロした目をしきりに動かしたあと、僕たちのことを見る。それを見た僕たちは、臨戦態勢を取る。ただ、リリだけは臨戦態勢を取りながらも顔を青くする。

 

 「リリ?大丈夫?顔、真っ青だよ?」

 

 「リリ助、さっきなんて言ったんだ?」

 

 「……ヴェミスドラゴン……あのモンスターの名前です。さっき千草様が言ったように、【剣姫】様が3週間前、24階層で発見したモンスターらしいです……まぁ……最初の【剣姫】様たちパーティが発見して以降、誰も発見出来てないようですが……」

 

 「リリ殿?あのモンスターは、あんなに毒々しい紫色の派手なモンスターです。流石に【剣姫】殿以外も発見されるのではないでしょうか?」

 

 命さんの言う通り、あのドラゴンは、紫色の派手な見た目、すぐに発見されるはずだ。しかし、リリは青い顔をして続ける。

 

 「姿を透明にして見えなくしてるんです。現に、私達の右側の断崖には何もいなかったはずなのに、ゴライアスが咆哮(ハウル)で攻撃したあと、急に出てきたんです。姿を透明にして隠れていたというのが自然です。」

 

 リリの言う通りだ。あの漆黒のゴライアスが攻撃したあと、急にあのドラゴンが落ちて行くのを見たのだ。あのドラゴンが姿を透明にしてないと説明がつかない。

 

 「話はここからです。【剣姫】様はヴェミスドラゴンを発見後、【凶狼】様と一緒に交戦しています。……しかし、2人の第一級冒険者と3人の第二級冒険者の5人パーティとの交戦のあと……ヴェミスドラゴンは、逃げたようです。」

 

 「なっ!?」

 

 アイズさんの実力は3週間ほど前、特訓に付き合ってもらった時に少し知っている。あんなに強いアイズさんと渡り合った……しかも、ベートさんも一緒の時に……いくら姿を透明にできるからって2人の第一級冒険者と3人の第二級冒険者の5人パーティと交戦してその後、逃げるのは、かなり難しいことだ。

 

 

 

 

 

 ウオオオオオオオオ!!!!

 

 

 

 

 ゴライアスが咆哮を上げる。空気がビリビリ震えるのを感じ、圧が重くなる。しかし……圧を感じるのは、ゴライアスからではない。いつの間にか僕たちから目を離し、ゴライアスの方に目を向けていたヴェミスドラゴンから圧を感じた。

 

 「【剣姫】様からこの報告を受けたギルドは……」

 

 

 

 

 

 ギシャャ゙ャャャ゙ヤャ゙ャャャッ!!!

 

 

 

 

 

 リリの話の途中でヴェミスドラゴンが咆哮を上げる。ゴライアスとは比較にならない、圧がある咆哮だった。リリがヴェミスドラゴンの咆哮の後、指先を震えさせながら言う。

 

 「……ギルドは、ヴェミスドラゴンの推定レベルを……レベル7に設定しました。」

 

 「………正真正銘の化け物ってわけか……」

 

 「……しかし……なぜ、18階層にヴェミスドラゴンがいたんでしょう?」

 

 「18階層は、モンスターの憩いの場としての意味合いが強い階層です。たまたま、休憩しに来ていただけかもしれません。」

 

 「おい!!ドラゴンが動くぞ!!」

 

 ヴェルフの言った通り、ヴェミスドラゴンが動こうとしている。体勢を整えてゴライアスに突進しようと構えている。

 

 「……あのモンスターは今のところゴライアスに意識が集中しているようですね。」

 

 「そして、ゴライアスもヴェミスドラゴンに意識が集中している。」

 

 固唾を飲んでゴライアスとヴェミスドラゴンの様子を見守る。そして、

 

 「ヴェミスドラゴンが!」

 

 「仕掛けた!」

 

 「速い!」

 

 ヴェミスドラゴンが突進を仕掛けた!!思ったより突進が速い!!ただ、ゴライアスまで距離がある!ゴライアスが口を開け咆哮(ハウル)を撃とうとしている。

 

 

 

ウオオオオオオオオオオ!!!!!

 

 

 

 

 

 ズドン!!ズドン!!ズドン!!ズドン!!ズドン!!

 

 ゴライアスが咆哮(ハウル)をヴェミスドラゴンに5発撃つ!!しかし、

 

 「なっ!?」

 

 「全部避けた!?」

 

 「……想定レベル7は、伊達ではないようですね。」

 

 ヴェミスドラゴンは、ゴライアスの咆哮(ハウル)をジグザグに突進し、最小限の動きで避けた!!ゴライアスは、咆哮(ハウル)を連続で撃った影響ですぐに動けないようだ。その間に、ヴェミスドラゴンが距離を詰め、ゴライアスの顔に飛びかかる!!そして!!

 

 「おい!!なんかゴライアスにかけたぞ!!」

 

 「あれは……緑の液体?ですか?」

 

 「おそらく、毒でしょう。」

 

 ヴェミスドラゴンが至近距離でゴライアスの顔面に緑色の毒液をすごい勢いで吐きかける!!ゴライアスは毒液を食らって倒れてしまう。毒液を吐き終わったあとヴェミスドラゴンは後ろに素早く下がり、倒れているゴライアスに追い打ちをかけるように黄色い液体を玉状にして撃ち、続けて紫色の液体も玉状にして撃った!!

 

 「今度は、黄色いのと紫の液体を吐き出したぞ!!」

 

 「……まさか……あれも毒?」

 

 「3つ……いや……それ以上の毒を扱うと思ったほうがいいですね。」

 

 2つの毒玉は、倒れているゴライアスの胴体に命中し、激痛が走っているのか、のたうち回っている。

 

 「なぁ…おかしくないか?」

 

 「何がです?桜花殿?」

 

 「あのゴライアスは毒に苦しんでいるはずだ……それなのになんで叫び声を上げない?普通は上げるものだろう?」

 

 桜花さんの疑問にハッとなる。確かにおかしい。あんなに毒を浴びたら普通は、叫びを上げるはずだ。なのになぜ?その疑問にリリが推測を上げる。

 

 「……おそらくですが……ヴェミスドラゴンが最初に放ったあの毒……麻痺の効果があるのかもしれません。最初に放った毒は、ゴライアスの顔に命中しました。麻痺の効果があるならゴライアスの喉が麻痺してもおかしくありません。」

 

 リリの推測を聞き、僕は決意し、みんなを見る。

 

 「……皆さん、行きましよう。」

 

 「はぁ!?行くってあの戦場にか!?」

 

 ヴェルフが驚愕しながら、ヴェミスドラゴンとゴライアスの戦いを指を差して言う。

 

 「うん、どちらにしてもゴライアスとヴェミスドラゴンの2体を倒さないと、この18階層から出れない。なら、やらないと」

 

 「……今は、ゴライアスを倒す好機です。喉を麻痺していて咆哮(ハウル)を撃てない。それに、ヴェミスドラゴンの毒でゴライアスは、だいぶ弱っています。そして、ヴェミスドラゴンは、ゴライアスに集中しています。隙をつけばダメージを与えられられるかと。」

  

 「……ヴェルフ……」

 

 「……ったく、そんな目で見るなよ。ベル、行こうぜ!!」

 

 「ベル様!!行きましょう!!」

 

 「千草さん、神様をお願いします」

 

 「はい、任せてください」

 

 「ベル君!!」

 

 「はい」

 

 「絶対に帰って来るんだ!!ボクのもとに!!」

 

 「はい!!」

 

 僕は、みんなを見る。みんな戦う覚悟が出来た顔をしていた。

 

 「いきましょう!!」

 

 そういって僕たちのパーティは、戦場に全力で走っていく。絶対に倒す!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜オオナズチside〜

 フハハハハハハハハ!!!!見たか!!このデカブツが!!お得意の咆哮(ハウル)は、俺の毒で使えまい!!

 俺が最初にゴライアスの顔面にブッ掛けた緑色の毒液は、声帯麻痺の毒だ。

 モンハンの時の効果はチャット封印、つまり、今、ゴライアスは叫び声は愚か、一言も声を上げれない!!

 さらに!!猛毒玉と防御力を下げる溶解液玉をゴライアスにぶつけた!!もう相当弱体化しただろう。

 そのゴライアスは、俺に拳を向け、俺の上から連続で殴ってきている。俺はその拳を避けて、または、舌で捌いて耐えていた。時々、拳が俺の身体に当たるが毒で拳にキレがなく、そんなに痛くない。

 なぜ、俺がゴライアスの攻撃を耐えて、時間を稼ぐようなことをしているか?それは、毒玉をゴライアスに食らわせた時、俺は思った。ベルくんの強化イベント潰してね?と、そして、もう一つ気付いたこと、ゴライアス倒したら俺、狙われるくね?と言うことだ。 

 その2つのことに気付いた俺は、ゴライアスの攻撃に耐え、時間を稼いでいるというわけだ。そうこうしていると、こっから少し遠いところにリヴィラの顔役のボールスとリヴィラの街の冒険者、そして、ヘルメス・ファミリアの団長のアスフィが来たようだ。そして、ベル君たちも動きだしてこっちにきている。

 よぉ〜し、役者が来た!!どうにかなりそうだぜ!!とりあえず、だ。

 

 

いつまで殴ってくれてんだ!!このデカブツが!!うっとしいわ!!

 

 

 俺は、舌を使い未だに殴ってくるゴライアスの拳を絡め取り、ゴライアスのバランスを崩して転倒させる!!

 ゴライアスが転倒した影響で大きく砂煙が上がる!!よし!!このタイミングで霧を展開だ!!

 

 「!?なんだ!?この霧は!?」

 

 「この霧は……」

 

 「!!わかるのか!!アンドロメダ!!」

 

 「えぇ……この霧は、ヴェミスドラゴンが作り出し、操る霧です。ボールス!!注意してください!!」

 

 「お、おう!!お前ら!!ヴェミスドラゴンの霧だ!!注意しろ!!」

 

 ボールスとアスフィの会話が聞こえ、冒険者たちの雄叫びが響く。とりあえず、ステルス発動させてと、よし!!………ゴライアスを冒険者に擦り付けて逃げるんだよお〜!!目指すは18階層の出口だ!!!今、ゴライアスと俺の討伐のために冒険者は、ここに集まってきている!!ゴライアスを擦りつけている隙に出口を確保だ!!いっくぞ〜〜!!

 

 

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