ダンジョンに霞龍がいるのは間違いだろうか?   作:デキンハンザー

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第六話 異端児

 

 「……おーい、大丈夫か?……って、コイツ火傷してんじゃあねえか!!おい!!フェルズ!!」

 

 「なに?……本当だ……何があったらこんな全身に火傷なんてするんだ?……まぁ、いいだろう。『ピオスの蛇杖(つえ)、ピオネの母光(ひかり)、治癒の権能をもって交わり、全てを癒せ』ディア・パナケイア……どうだ、違和感はないか?」

 

 ………ハッ!!リザードマンが喋っているのに驚きすぎて意識が飛んでた!!いつの間にか火傷どころか節々の痛みもなくなってるし疲労も消し飛んでる!!

 

 「クルルルルル………!!」

 (意識飛んでたからどっちかわかんないけど、高級なエリクサーをオレに使ってくれてありがとう!!)

 

 「いや、エリクサーは使ってないぜ!このフェルズが魔法でお前を治したんだ!!」

 

 そうリザードマンがフェルズとかいう全身黒衣の魔導士の肩を叩きながら言う

 

 「クルルルルル………!!」

 (フェルズさん!!治癒魔法ありがとう!!火傷も節々の痛みもないし、何より疲労が消し飛んでる!!凄い魔法だな!!)

 

 「……感謝はなんとなく伝わるが、リド、ヴェミスドラゴンはなんて言っている?」

 

 「治癒魔法ありがとう!!すげー魔法だな!!って言ってるぜ」

 

 「……そうか、感謝されることではない、君の拠点に勝手に入っていたんだ。このぐらいはさせてもらうさ。」

 

 ………ん?………ちょっと待て………

 

 「………クルルルル………」

 (………ちょっと待ってくれる?リドさん……でいいかな?)

 

 「あぁ、オレっちがリドだが……どうしたんだ?」

 

 「クルルルルル………」

 (オレの言葉、わかるのか……?)

 

 「何言ってんだ?わかるに決まってんだろ。」

 

 「……クルルルルル……」

 (……オレの言葉、復唱してくれないか?)

 

 「復唱?いいぜ。」

 

 「クルルルルル!!」

 (アメンボ赤いなあいうえお!!)

 

 「アメンボ赤いなあいうえお!!」

 

 「クルルルルルルルル!!」

 (赤パジャマ青パジャマ黄パジャマ!!)

 

 「赤パジャマ青パジャマ黄パジャマ!!」

 

 「クルルルルル!!クルルルルル!!」

 (ラ◯ュタは滅びぬ!!何度でも蘇るさ!!)

 

 「ラ◯ュタは滅びぬ!!何度でも蘇るさ!!……ラ◯ュタってなに?知ってるか、フェルズ?」

 

 「……私も知らないな。」

 

 ………確定だ………!!

 

 

 「キシャャャャャャッ!!!」

 

 (オレの言葉、伝わってる!!) 

 

 

 「うるせぇよ!!」  

 

 「クルル……」

 (すいませんでした。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……で、落ち着いたか?ヴェミスドラゴン?」

 

 「クルルル……」

 (はい……すいません。落ち着きました。)

 

 数分後、ようやく動揺がなくなり落ち着いたオレは、拠点の最奥でフェルズとリドの一人と二匹で腰を落ち着かせて話しようとしていた。

 

 「ちゃんとした自己紹介がまだだったな。私はフェルズ、神ウラノスの使いパシリみたいなことをしている。」

 

 「オレっちは、リド!!異端児(ゼノス)のまとめ役みたいなことをしてるぜ!!」

 

 異端児(ゼノス)?なんだそれは?疑問に思っていると、疑問に思っていることが顔にでていたのか、リドが説明してくれる。

 

 「異端児(ゼノス)っていうのは、オレっちやお前みたいな心や理性といった理知をもったモンスターのことだ!」

  

 ほお……そんな存在がダンまちにいたのか……これは本編に関わりそうな存在だ。オレの原作知識はアニメ、ダンまち2期までとアニメ、ソード・オラトリアの知識で終わっている。おそらく、思い出そうとすると急に霞がかかったように思い出せないようになるアニメ、ダンまち3期、4期に出てくる重要な存在に違いない。

 他の異端児(ゼノス)の特徴についてフェルズとリドに聞くとこうだ。リドみたいに流暢に人間の言葉を理解し話す異端児(ゼノス)もいれば、オレみたいに喋れない奴もいるし、他にも片言で喋れる奴、単語のみ喋れる奴がいるとのこと。

 なんで喋れるのかとリドに聞いたら、気がついたら喋れていたらしい。

 さらに喋れる異端児(ゼノス)が喋れない異端児(ゼノス)に言葉を教えてみたが失敗に終わったようだ。

 何故、喋れる奴と喋れない奴がいるかは、分からないとのこと。

 何故、異端児(ゼノス)が生まれるのかは、わからないが、前世で強い情景を持って事切れたモンスターの生まれ変わりで自身が通常のモンスターだった頃の、つまり前世の記憶を夢として見ることがあるとのこと。

 そして1人、例外を除いて異端児(ゼノス)達は、地上や人間に対する強烈な憧憬を持っていて、いつか地上で人間と暮らすことを夢見ている……らしい。

 オレは、異端児(ゼノス)に近いようでやはり違うようだな。

 オレの前世の記憶は、人間のもの、しかも現代日本のものだ。そして、オレはそこまで地上に興味はない。

 そんなこと思いながら、リドとフェルズの話を聞いていると不意にリドに聞かれた。

 

 「……そういえば、オレっちってば、お前の名前を聞いてなかったぜ。お前、名前は?」

 

 名前?名前な〜、オオナズチに転生した時、前世の名前は思い出せないし、喋れないしで考えたこともなかったぜ。

 

 「……まさか……名前がないのか?ヴェミスドラゴン?」

 

 「まぁ、珍しいことでもないだろう?フェルズ?しかし、名前がないと不便だし、つけようぜ!!名前!!……なにがいいかな?……うーーん……」

 

 たしかに意思疎通出来る奴が出てきたんだ。どうするかな……?

 

「クルルル……………」

 (そのまま、オオナズチはな……捻りがないし………)

 

 「……待ってくれ。そのオオナズチ、っていう名は何なんだ?」

 

 「クルルルルルルル………」

 (ん?ああ、オレの種族名だ。詳しくは、古龍種、古龍目、霞龍下目、ナズチ科のオオナズチだ。)

 

 「おう……そこまで聞いてねぇけど……種族名か……ヴェミスドラゴンじゃねぇのか?」

 

 「クルルルル……」

 (それは、ギルドが勝手につけた名前だし………ホントの種族名はオオナズチだ!)

 

 「そ、そうか……と、とりあえず!!そのオオナズチからもじったらいいんじゃないか?オレっちの名前もリザードマンのもじりだしよ!!」

 

 「そうだな……ナズー……なんてどうだ?」

 

 う~~ん……なんか違う……というか、間抜けっぽいな。オオナズチ以外の名前、な………英名は確か……カメレオスだったな……

 

 「クルルル……」

 (レオス………とか?)

 

 「レオス?どっからでてきたんだ?その名前?」

 

 「クルルルル………」

 (オオナズチの別名、カメレオスからとってみたけど……どう?)

 

 「……いいんじゃないか!フェルズのよりは全然いい!!」

 

 「悪かったな……でも、いい名前じゃないか」

 

 「クルルル………!!」

 (そうか……じゃあこれから、オレの名前は、レオスだ!!)

 

 「これからよろしくな!!レオス!!」

 

 「よろしく頼む。レオス。」

 

 リドが笑顔で、フェルズは声に喜色を乗せて言ってくれた。レオス……レオスか……気に入ったぜ!!

 オレが自分の名前を頭の中で復唱しているとフェルズからオレに声がかかる。

 

 「さて、レオス。いくつか質問をさせてもらってもいいか?」

 

 「クルル……?クル」

 (質問……?イイよ)

 

 「いいってよ。フェルズ」

 

 「ありがとう。では、まず、なぜ、君は全身火傷なんて怪我を負っていたんだ?」

 

 「クルルル……」

 (それは話すと長くなるが……)

 

 オレは、今日起きた18階層のことをリドを通してフェルズに伝えた。

 

 「なるほど……そういうことか……」

 

 「だから母ちゃんが哭いたのか」

 

 「クルル……」

 (そうなんだよ……休暇を楽しみたかっただけなのにな……)

 

 18階層の話を掻い摘んで話終えたらフェルズとリドは、納得の顔をしていた。そして、フェルズは、次の質問に移る。

 

 「……では、次の質問だ。ここ3週間、20階層から24階層での食糧、ポーションの盗難事件の首謀者は、君か?レオス?」

 

 「クルルルル……」

 (そうだよ。備えあれば嬉しいなって言うだろ?)

 

 「それ、絶対に使い方ちげぇだろ。」

 

 「リド、レオスはなんと言っている?」

 

 「ああ、そうだ。オレが犯人だって言ってる。」

 

 「そうか。」

 

 ポーション、食糧を盗んだことを聞かれて、ふと思ったことができた。聞いてみよ。

 

 「クルルルルル………」

 (そういえば……どうやってオレの拠点を見つけたんだ?あと、オレが理知があるといつ気づいたんだ?)

 

 「あぁ、そのことか。」

 

 「どのことだ?リド?」

 

 「レオスの拠点の特定の仕方といつレオスが異端児(ゼノス)だと気がついたか聞きたいんだとよ。」

 

 「それは順を追って説明しよう。まず、君が初めて【剣姫】と交戦した時、ギルドの報告を聞く限り、君は最終的に逃げた。そうだな?」

 

 フェルズの問に頷く。

 

 「……逃げる、というのは普通のモンスターではあり得ない行動だ。何故なら、通常のモンスターは本能で動き冒険者を襲うものだ。例外として、モンスターも冒険者との力の差があったら逃げるという事例もあるが、君の場合その例外に当てはまらない。このことで私は君が異端児(ゼノス)ではないかと疑った。そして、君の発見から3日後から被害が出てきた盗難事件だ。最初の盗難は24階層。ギルドに上がった君の能力と異端児(ゼノス)の知能を知っている私は、すぐに君の仕業だとわかった。だから、リドたちを頼って見つけようとした。」

 

 「そして、オレっちたちはフェルズに頼まれてお前を探したわけだ。鼻が利く奴を連れてな。最初は、全然見つかんねぇなと思ってたら、ここの拠点周辺は急に鼻が利かなくなることがわかったんだ。それで周辺を探ったらちょうど拠点になりそうな洞穴があったわけだ。」

 

 「クルルル……」

 (なるほど……防犯対策で五感を鈍らせる毒を周囲に蒔いていたのが裏目に出て特定されたか……)

 

 「そして、この拠点を探ったらポーションが出てきたから、犯人が確定したと言うわけだ。これで質問には答えられたかな?レオス?」

 

 「クルルル……」

 (大丈夫だ。)

 

 「大丈夫だってよ。フェルズ。」

   

 「そうか。では、ここから我々からの提案だ。」

 

 「レオス、オレっちたちのところに、隠れ里に来ないか?オレっち以外にも他に40体の異端児(ゼノス)がいるんだ。オレっちたちはお前のこと歓迎するぜ。」

 

 隠れ里?どんなところだろう?と思っているとフェルズから説明が入る。

 

 「隠れ里とは、冒険者たちにも知られていない安全地帯(セーフティポイント)だ。異端児(ゼノス)たちは、いくつかある安全地帯(セーフティポイント)を転々と移動しながら生活している。」

 

 ……オレと意思疎通ができる存在が40体も……しかも安全地帯(セーフティポイント)か……ここよりいい拠点だし、いいんだけど……

 

 「クルルルルルルル………クルルルル……クルル?」

 (オレ……そんなに地上に出たいとか思っていないんだ……それに憧憬なんて持っていないし……迷惑にならない?)

 

 「オレっち達は、そんなこと気にしないぜ!」

 

 「君の透明化能力にも限界があるだろう?……それにこのダンジョン内に隠れ里以上の拠点はなかなかないだろう……まあ、私としては想定レベル7の君には異端児(ゼノス)を守って貰いたいというのが本音なんだがな。」

 

 「クルルルル……?」

 (守ってもらう……?)

 

 「あぁ、オレっちは強いから大丈夫なんだがな……」

 

 リドは、頭をボリボリと掻きながらフェルズを見る。フェルズはそのリドの視線で察しリドの説明を引き継ぎ続ける。 

 

 「他の異端児(ゼノス)たちは、そうはいかない。もちろん、リド以外の異端児(ゼノス)たちにも強い者もいるがそんなに多くはいない。それに異端児(ゼノス)たちには敵が多い。モンスター、冒険者はもちろん異端児(ゼノス)たちを狙うハンターなんて者がいる。」

 

 ハンター、その単語を聞いてオレの顔が強張る。しかし、モンハンみたいな化け物ハンターはいないはず……オレはリドに意を決して聞いてみる。

 

 「クルルルル……クルルルル……?」

 (ハンター……どういう存在だ……?)

 

 「そいつは……」

 

 リドが言いづらそうにしているとまたフェルズから察して説明してくれる。

 

 「ハンターは、異端児(ゼノス)を傷つけ、生け捕りにしてオラリオ外の貴族などに高額で売り飛ばしている者たちだ。」

 

 なるほど……クズだな!!しかし……そんなクズ共にも狙われている……か……よし!!

 

 「クルルルル……クルル!クルルルル!」

 (わかった……いいよ!仲間になる!)

 

 「おお!!本当か!!」

 

 「クルル!!クルルルル!!クル!!」

 (あぁ!!これからよろしく!!リド!!)

 

 「あぁ!!これからよろしく頼むぜ!!レオス!!」

 

 「どうやら話しは纏まったようだな……これからよろしく頼む、レオス」

 

 「クルル!クルルル!!」

 (よろしく!フェルズ!!)

 

 「よし!じゃあ早速オレっちたちの拠点、隠れ里に案内するぜ!!」

 

 そう言ってリドは勢いよく立ち上がり洞穴の外に行こうとする。がそこにフェルズが待ったをかける。

 

 「待て。リド、この洞穴にあるエリクサー、ポーションそして食料を全部運ぶぞ」 

 

 「おっと、忘れていたぜ!レオス!さっさと荷物をまとめて行こうぜ!」

 

 「クルルルル!!」

 (わかった!!) 

 

 そういってオレは、ポーション、エリクサー、食料を纏める。

 

 「クルルル!!」

 (行こう!!)

 

 そういって洞穴の外に向かう。紅い鱗のリザードマンと漆黒のローブの2人と一緒に……

 

 

 

 

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